恐らくだが村人が蜂起するだろう
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秋になり、やっぱりかという感じで収穫をし冬を迎える。去年よりも悪くなることは無かった。だが状況は据え置き。致命的ではないがかなり痛い。が、正直なところほっとしている面もあるんだ。これが最悪であると。最悪の状況でもなんとか食料は余っている。外に出すわけにもいかないが、町村の人たちを食わせるだけの食料があるという事は、為政者としては良かったと思っているんだよ。
なんとか今年も食いつなげたと。これ以下は無いのだという安心感。他の町は知らない。どうなっているのかは考えたくもない。だが、自分の守るべき場所は守ったのだという自負がある。これで良かったのだ。他の地域は他の代官がなんとかしているはずだからな。俺が考えるべきことは、自分の領地の人間の命だ。それ以外は考えない。考えるだけで鬱になるからな。来年からの動きを考えないといけないだろう。色々と対策を考えないといけない。
「デーデル。来年の話だ。状況は悪化していない。だが、農民の負担はギリギリを大きく超えただろうとは思っている。税収で来年の種麦すら無いと考えてもおかしくないと思うんだが、どうだ?」
「その可能性は捨てきれないでしょう。野盗となる可能性があります。単純に食べ物が足りないからと、老人や働けないもの、働かないものを切り捨てるでしょう。そういった者たちが野盗になり、村や商人を襲う事になるかと思われます。ですが、そんな事は解り切っている筈なんですがね。本家からは何も連絡が無かったことを考えるに、本家は地方を切り捨てたと見るべきでしょうな。そうなると、農民の向かう矛先は領都になる訳です。私たちが狙われるよりも先に、領都へと向かうでしょうな。そちらには食べ物があると思うのが普通です。税がどうやって流れているのかを、流石の農民も知っている筈ですからな。町には無いのだとすれば、領都を襲うでしょう。そして、それは失敗する。領都の守りは硬いですからな。こんな辺境と比べれば、しっかりとした守りを固めているでしょう」
「まあ、そうなるよな。地方に来るよりも中央に向かう方が食うには困らないかもしれない。そういう期待で動くだろう。そして、俺たちはそれを見ているだけで良いのかという話になる」
「見ているしかないでしょう。そもそもですが、その野盗を引き入れても大して役には立ちませんからね。所詮は口減らしの人々なんですよ。そんな人を受け入れても利益は無いどころか、食料が無くなります。それは望むところでは無いでしょうし」
当然そうなる。働けて、子供が望めて、将来が見込める人材であれば、受け入れる事も考える。だが、まずは口減らしだ。必要な人材を外に出したりはしない。必要ない所から吐き出すのだ。……口が悪いが、要らない人間から捨てるのだ。未来の無い者から捨てていく。種としての未来を託せる者たちを残して、要らないものを全部捨てるのだ。まずはそこから始めないといけない。そして、その者たちが向かうのは、領都になる。食べ物を求めて、自分たちの境遇を恨んで。領都へとなだれ込むだろう。それで領都が落ちるのであればそれまでだったという事なのだが、そんな戦力で落ちる訳もない。死体だけが残り、……下手をしたら共食いもあり得るか。貧民が食うに事欠いて、人間を食べる。そんな外道にまで落ちないと、生き残れない未来がありそうだ。
「現実を見れば、どう考えても受け入れる事は出来ない。村から追い出された者たちを受け入れる余裕はない。口減らしを養うだけの食料がない。……まあ、ちゃんとした労働力であれば、受け入れられるがな」
「でしょう。本命はその次ですな。来年は無いでしょうが、再来年も同じ状況が続いた場合、更なる口減らしを行うはずです。……もしくは、蜂起ですな。示し合わせて領都を攻撃する。これが出来る環境になるでしょう。その時が一番の好機です」
「ああ、村を捨てて突撃する若者を俺たちの村で保護しよう。一気に村の人口が膨れ上がるが、そこは来年の大開拓を拡大すればいい。来年の大開拓は魔物人を総動員する。今までにないくらいの開拓を推し進める。そこからの畑の収穫で養えば、なんとかなるはずだ。そうすれば、人口が一気に増える。そうなってくると、有用なユニークスキルやギフトを持つ若者もいるだろうし、子供が生まれれば、その子供たちの才能も使える事になる」
俺たちが欲するのは口減らしの先。必要であるが、切り捨てざるを得なかった人々だ。それらを受け入れる。そして、畑を耕してもらい、野菜を多く収穫する。それならばなんとか暮らしていけるだけの収穫量を確保できるはずだ。麦も減税しているのだ。種麦を使う事無く養えると判断する。大規模な開拓を進めるには魔物人を大量に動員しないといけないが、それくらいの人員はいる。……人語を話せないだけで、なんとかなるとは思うぞ。各班には人語を理解する魔物人もちゃんと配置するからな。その辺りの事は任せておいてくれ。
「そうなると、村の人口が倍近くになる気が致します。蜂起するために私たちの村に訪れた村人を受け入れるのですから、ますます村が大きくなりますな。……町の規模を超えてしまわないか、心配ではありますが」
「そこは臨機応変に動こう。なに、村が町よりも人口が多くては駄目だという決まりはないんだ。町に住みたい者も当然出てくるだろう。最終的には町の方が人口が多くなってくれるはずだ。流石に農地も無限には増やせないからな。……村を新規に作るという事で解決するという方法もあるが。だがそれは最後の手段という事にしておこう。まずは人口の増加計画を立てる。そして、人口が増加してくれば、色々と出来る事も増えていく。悪い話では決してない」
そもそもなんだが、同じ国内で人口の奪い合いをするなという事でもあるんだが。やるのであれば他国が良かったのだがなあ。そもそも他国に隣接している訳では無いんだ。人口を一気に増やすだけの余力があり、受け入れざるを得ない状況になるのであれば、喜んで受け入れるというだけなのだよ。決して他の村を壊滅させたい訳では無い。結果的にそうなるだけである。戦争が近づいてきているのだ。本当であれば、こんなことはやりたくもない。だがしかし、そうなるしかない様に動いてしまっているのだ。荒波には抗えない。流れるままに流されるしか方法が無いんだ。俺たちではどうしようもない。太陽活動の弱化が原因なんだ。太陽神が何を考えているのか知らないが、とんだ迷惑である。
「そうなると、本格的に商人たちを引きこもらせないといけないだろう。領都に向かうのは全力で阻止しなければならないな。早ければ春にでも暴動が起きる。それに巻き込まれては堪らないだろうからな」
「そうですな。流石に商人を失う訳にもいきませんから。……今までは情報が欲しかったために行かせていましたが、今回の事を考えるに、来年からは領都に行かせない方向で考えましょう。理由を話せば解ってくれるかと思われます。流石に命は惜しいでしょう」
そうだな。死ぬか儲けるかという所で、しかも大した儲けにもならない話で。商売にいくか? 命をベットするか? 俺ならばそんな賭けはしない。レッタニンは解っているだろうから良いんだが、他の商人たちだな。ここ数年で見違えるように成長しているが、成長を止めると言っているんだから、気が付いていない可能性もある。レッタニンから言わせるのもなんだ。ちゃんと俺が説明しておく方がいいだろう。




