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北方領地の魔王  作者: ルケア


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学校は必要ないと判断したんだ

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 春。また1つ歳を重ねてしまった。制限時間はもの凄く短い。何をするにも時間が必要になって来るのにも関わらず、容赦なく過ぎ去っていく。内政を安定させたいのにも関わらず、必要な時間が無いんだ。十分に安定しているという状況まで持っていかなければ、戦争に勝てる訳がない。俺はそう思っているんだよ。


 それでも、新しい生命が誕生する。4人目の次男が産まれた。カロスという。毎年冬に子供が産まれているが、これは仕方がない面があるとも言うんだよ。そういう事をやるにしても時期があるからな。出来れば出産は冬の方が有難いというのもあるし、春先にはそういう事をやりやすいというのもある。まだ本格的に忙しくなる前だしな。普通の家では、冬の間に仕込んで秋に産まれるという。俺たちはちょっとズレているんだよな。


 それと長男のケリーが大分分別がついてきたので、ユニークスキルとギフトを確認した。ユニークスキルが以心伝心、ギフトが戦略の心得となっていた。……司令官ポジションかな。代官を相続することになったら、ケリーで良い様な気がする。代官は軍を指揮する立場にもなるからな。少しばかり心もとないが、十分に良いユニークスキルやギフトを貰ったものである。


 以心伝心とは、ある程度の距離までなら言葉に発しなくても意思が通じるというスキルだ。通常のスキルにも伝心や共鳴と言ったものがあるが、それの強化版になるだろう。もしかしたら、魔物とも伝心可能かもしれない。まあ、一方通行になるとは思うけどな。戦略の心得は、戦略に強くなるというか、そういった思考の強化になる。心得自体がそこまでの上位のギフトでは無いにしても、十分すぎる思考力を得られる。因みにその系統では、心⇒心得⇒素養⇒深慮⇒加護⇒祝福と6段階あることが解っている。経験的にそうなるよう解っているらしい。つまり、魔の心とは、それだけ弱い方のギフトという事になる。俺のギフトはそこまで強い訳では無いというのがよく解ると思うが、そもそも魔の祝福でもそこまで変わらない気がするのは気のせいだろうか。


 子供の将来はまだ解らない。他の子供がどんどん良いユニークスキルやギフトを貰う可能性もあるんだ。ケリーに決めないといけない訳では無い。ただ、ケリーが向いていないのかと言われたら違うと思う。かなり向いていると思うぞ。後は教養をどれだけ積めるかどうかだな。代官には教養が必要だ。それもかなりのものを要求される。下手をすると、俺のように王様と会わなければならなくなる可能性もあるんだからな。本来であれば、学校なんかを作るのが良いんだろうが……。


 問題は学校を作ったとして、効果があるのかという事である。住民の教育水準は上がる。確実に跳ね上がる。だが、跳ね上がったとして、どんな仕事につけばいいのかが解らないんだよ。教育はユニークスキルやギフトを超えられるのかという問題がどうしても出てくるんだ。例えば鍛冶師なんて仕事は、中卒であっても、大卒であっても、大した差がないと思っている。金属に向き合った時間が関係してくるのであって、学歴ではないと思うんだよな。簡単な算数が出来ればそれで良い気がする。


 ハイテク産業を育てようと思ったら、教育は必須だろう。だが、そもそも電気の使用が禁止されているんだ。変わりになるものが何かといったら魔力になるんだろうが、そもそも魔力をどうやって産業に落とし込むのかという話もあるだろう? 解りやすさで言えば、物語では魔石を使った道具類を作るというのが王道だが、この世界には魔石は存在しない。魔物の中にある訳でもないし、ダンジョンコアも知らないという。純粋に魔力をどうにかして使わなければならないんだが、こう言った事になってくると、教育がというよりも天才を待つしかない。天才が好きなように作ってみた結果、魔力を扱う道具が出来る可能性があるってだけなんだよな。凡人にはそもそも使用することも出来ない。


 俺だって死霊魔法を使える身である。魔力はなんとなくだが解る。だが、これをどうやって活用したら良いのかの見当がつかない。発想が凡人だから仕方がないと言えばその通りなんだが、それでも転生者という特異な存在でも、魔力をどうやって扱って良いのかが解らないのだ。そもそも、体外にあるのかどうかも解らない。魔力を感じるのは体内であって、体外の魔力は感じられないからな。それに、もしかしたら魔力視なるユニークスキルやギフトもあるかもしれない。それが無ければ解明できないのであれば、そもそもお手上げである。町村の調べでは、その様なユニークスキルやギフトを確認できなかったからな。


 そんな訳で、学校というか、教育機関だな。そういったものは作らなくても良いのではないかと思う。冬の間に各家庭で教わることでもあるんだし、そこまで間違った教育をする人も居ないだろうというのが現状だな。纏まってやらなければならない訳でもないんだ。……ただ、あえてやるのであれば、スキルを覚えるための学校を作るべきだろう。それにはスキルに精通した誰かが必要になる訳なんだが、そういった人材に心当たりがない。元貴族であるとか、そういった人材でなければ難しいと思う。それか、そういった家庭教師をやる人間が居るのかもしれない。そういう人を探さなければならないんだが、そもそも当てがない以上はどうしようもないんだよな。


 誰でも良いのであれば、魔物を使うんだがなあ。マジックワンダーなんかは魔法が得意だし、コボルトヒーローは物作り系が得意だ。それらに教師をやらせることが出来るのであれば、出来なくはない。人間の言葉さえ理解出来ればという話になってくるんだが。マジックワンダーならなんとかなるかもしれないが、コボルトヒーローは難しそうである。最終手段というか、生産性の向上をしたいのであれば、それも1つの手段として使えるという事だけ覚えておけばいいだろう。


 そうなった場合、俺の仕事量が半端では無くなるんだけどな。もの凄い量の仕事量になるはずだ。しかも戦争までになんとかしないといけないとなってくると、もっと難しい。それならもっと前から準備をしていなければならなかっただろう。そこまで考えておきながら、実行しなかった俺が悪いという事になる。まあ、そもそも、魔物と人間で理屈が同じであればと言うだけなんだが。理屈が違う場合、無意味になるからな。実験的にやるのも有りだったのかもしれないが、もう既に今更である。人間と魔物が同一のスキル形態なのかが解らない以上はどうしようもない。……同じだとは思うんだぞ? 過去にゴブリンに教えたら覚えたんだから。


 人間から魔物へと伝授は出来たんだ。逆も出来てしかるべきだとは思う。……教師が良ければの話だがな。感覚派と理論派があると思う。その両方の講師を見つけないといけない訳なんだが……もうこの話は止めた方が良いな。どうしても後悔が先に来てしまう。理屈をつけてやらなくても良かったんだという結論にしてしまう。時間は戻すことが出来ない。現在から過去を見ると、どうしてもそれが美化されてしまうんだ。故に終わったことをここで考えていても時間の無駄になるだけなんだ。俺は学校を作らないという判断を下したんだ。それが間違っているのかもしれないというのは、もしもを語るからなんだよ。もしも、過去を遡れたら、そう考えるのは止した方が良い。前を見た方が建設的だ。過去に出来た話を今やるのは無意味でしかない。学校は諦めたんだ。そう判断したのは俺なんだから。

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