とりあえず解決
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1日、また1日と日付だけが過ぎていく。調査範囲を広げながらの地道な作業だ。まずは敵側の動きがない事には話が始まらない。徹夜での作業は2日で打ち切った。今は昼勤と夜勤に切り替えて調査を行っている。……新しい被害が出たという報告はない。村人からはそういった報告が上がって来ていないのだ。これは、もしかしたら面倒な事になったのかもしれない。
面倒な事態その1、繁殖期に入ったので、貯め込んだ食料で子育てをしているパターン。これをやられると、本気で面倒なんだよな。何体倒せばいいのかが解らないからだ。既に何度かの繁殖を行っているのであれば、3桁に届かない位の個体が居る筈である。流石に3桁も個体が居るのであれば、ここ数日で見つかっても良いんだけど、見つからないという事はまだそれほどの数ではないと言う事なんだろうと思う訳だ。これで数千も居たら、流石に困るが、まだ大丈夫だと思うんだよな。
面倒な事態その2、警戒心が強くて振動で大型の何かがやってきたと察知して逃げているパターン。これもあり得るから困る。振動に敏感になっていてもおかしくない。何か来たと思われて、逃げに入っているパターン。これが意外に面倒なんだよ。既にここには居ないという事が起こり得るからだな。
面倒な事態その3、既にこの村に見切りを付けて移動してしまったパターン。これが最悪の事態になるんだけど、移動してしまったらどうしようもない。このパターンは無いと信じているんだけど、可能性が無い訳では無い。全くの無関係な場所に現れたとかになると、色々と面倒しか起きないので、とっとと見つかって欲しいんだけどな。
そんな訳で、色々と面倒な事が起きているという仮定もしつつ、ちょっとずつでも追い込んでいけたら良いなと思って毎日追跡をしている。村人が元気なのが幸いだな。農作物の被害が余り多くないのも救いなんだろう。本番前に俺がきたからなんとかなると思っている節がある。こういうのは1年後くらいが本番だからな。最悪な事態になっていなければ、なんとかなるはずなんだよ。まあ、捕まえてみない事には解らないんだけどな。
そんなとき、大神に反応があった。
『!? 掘る音が聞こえた! ここだ!』
「マジックワンダー! 魔法で拘束しろ!」
『おまかせあれ!』
氷魔法で地面ごと凍らせた。農地としては余りよろしくないが、まずはとっかかりを掴まない事には意味がない。凍った場所を掘り起こしてみると、そこには1匹のネズミがいた。……ほぼモグラだな。手が大きいが、かなりすばしっこそうなネズミだ。モグラは掘るのは早いが、動きは遅い。これはそんな事は無いと思う。……そもそも何の魔物なんだろうか? こういう時にメルカバが居てくれればとは思うが、ダンジョンコアを持ち運ぶのはちょっとな。一応、念のために持ってこなかったんだけど。
「ネズミだな。……大きさ的に子供か? だが、なんとか1体目だな。ケルベロス、この臭いを追跡してくれ。残留した臭いよりもこっちの方が追いかけやすいだろう?」
ケルベロス2体に臭いを嗅がせたら、一斉に森の方を向いた。……そっちに居るのか。面倒な方向だとは思うが、行くしかないだろう。これ以上畑を荒らされても問題しかない。解決出来るのであれば、解決してしまわないといけないからな。臭いを辿って森の奥へと進んでいく。……結構深いな。こんなに奥から来ているのか? それはそれでご苦労な事なんだが、もっと近場に居ると思っていた。
そうすると、穴の入り口を発見した。なるほどな。普段から穴の中で生活をしている訳では無いと。穴を掘るのは手段なんだな。という事は、何処かに固まって生活をしていると思うんだが、どうなんだろうか。そして、ケルベロスたちが1本の木に辿り着いた。
『ここだ。ここを凍らせろ』
「マジックワンダー!」
『承知!』
木を根から葉先まで凍らせた。とりあえずはこれで良いんだろうとは思う。……問題は木の何処に居るのかなんだけどな? こういう時には大神を使うのがベターだ。という事で大神に色々と頼んだ結果、21体のネズミが木の幹に潜んでいた。幼体の個体もいたので、ここが巣だったんだろうな。問題は、これで全部なのかという事なんだが。まだいる可能性が高いよな。
「ケルベロス、更に追跡だ。まだいる可能性が高い。根絶させるぞ」
森の中をさ迷い歩いて、結果的に3本の木を凍らせた。モグラの様なネズミを68体殺し、とりあえずこれで全部なのではないかと言う事で村に帰ってきた。そこで村長に話をして、事態は解決したと思うが、まだ完全ではないかもしれない。よってこの魔物たちを1年間おいておくようにとお願いした。1年間経ったら勝手に帰ってくるように命令をして、今回の魔物被害の問題は恐らく解決したとして帰ってきた。そして、直ぐにメルカバに取り込ませて、今回の魔物がなんなのかを調べて貰った。
「それで? 何か解ったのか?」
『解ったよ。突然変異個体で間違いないね。進化とは違うから解りやすいよ。グレーラットっていう動物が突然変異した個体だね。名前はディグラット。れっきとした魔物だよ。これ以上の進化もしないけどね。突然変異した動物は進化しない。これはある程度解っていることだからさ。前にオークがフロストジャイアントに突然変異したこともあったでしょ? あれは進化先に合理的に突然変異を起こしたから進化出来なかったんだよね。特殊な環境で育つと、そうなる時があるって感じなんだよ。それが今回は動物に起きたって事なんだろうと思う。珍しい事だけどね。だって、突然変異を起こしても繁殖能力はあるみたいだし。珍しいとは思うけど、そもそも弱すぎて使えないけどね。畑を荒らすのが精一杯でしょ。ダンジョンの壁を掘り起こす力は無いと思うし、僕も使わないかな。登録だけはしておくけど、余程がない限り使わないんじゃない?』
「そうか。突然変異が急に起きるのも困るな。予定が狂う」
『突然起きない突然変異ってのもおかしいけどね。急に起きるから突然変異なんだし』
それはそうなんだが、こう言った事で足を引っ張られても面白くない。そもそもが下振れている所で、更に下振れる要因を引きたい訳では無い。上振れる事件であれば歓迎するんだが、そんな事件は起きそうにない。下振れなんて引くだけ無駄だ。どうせなら上振れて欲しいんだよな。その対処であれば、割と何でもやってのけられると思うんだがなあ。
ともあれ、問題は解決した、と思う。まだ終わっていない可能性もあるんだが、残りの時間を魔物たちが警備してくれる。問題が無ければそれまでだし、何かあったら対処してくれるだろうと思う。その為の編成だからな。ついでに魔物被害も抑えてくれると思うぞ。……冒険者にとっては、邪魔かもしれないけど。冒険者に依頼をしてって事も考えられたんだけど、解決が遅くなりそうだったのと、無理っぽいなってのが頭にあった。ガチの戦闘系の冒険者でも、原因を探す所からだと流石に厳しいのではないかなと思ったんだよ。こういうのは臭いだったり音だったり気配だったりを拾える魔物の方が良かったりするんだよ。今回はそれで迅速に解決出来たわけだし。まだ終わったのかどうかは解らないけど、多分大丈夫だろう。あれ以上見つかるかどうかはちょっと解らない。まあ、なんにせよ終わってくれてよかったよ。次回が無い事を願いたいな。正直、こういったちょっとした下振れ要因が積み重なることが色々と大きな問題に発展していくんだよ。




