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北方領地の魔王  作者: ルケア


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闇に灯る明かり

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 ニブルヘイム20体で北の森を走り回る。とりあえずはトルクメニア山脈の東側を重点的に探そうと思う。西側に行くのは後だ。まずはこっち側で異常を探さなければならない。ただ、魔物が気が付いていない可能性もあるので、俺も必死になって探さなければならないんだが。だから、ある程度は速度を落としてもらっている。全速力で走られたら前が見えないからな。ニブルヘイムの鼻が効かないとなると、中々に厳しい所があるんだが。魔物、特に狼型の魔物は臭いに敏感だ。それを利用して普段は異変を探しているんだ。それが効かない相手となると、どんな魔物が想定されるのか。臭いの無い魔物なんて居るのかという話だ。


 心当たりは無い訳では無い。臭いが発生しないであろう魔物は居る。居るんだが、どうにも今回の事件とは違うと思っている。いやなに、ゴースト系の魔物なんだが、それなら臭いが出ないのも頷けるんだ。だけど、雹が降るとなると、ゴーストなのかと思うだろう? 確かにじめっとした空間を好みそうではあるんだけど、寒い空間を好むわけではない。それに、出てくるとしてもな? 森に出てくるというよりは、人のいる場所に出てくると思うんだが、違うんだろうか? ゴーストは推定魔物なんだ。アンデッドではない。アンデッドであれば、死霊魔法でなんとか出来そうではあるんだけど、ゴーストは何ともならないんだよな。死霊魔法で作れるのは、下位のスケルトン系とゾンビ系のみ。だからこその不遇判定をくらっている魔法ではあるんだが、労働力としてはかなり優秀なんだよ。アンデッドだから疲労も感じないし、そもそも嫌という感情がない。上位のアンデッド、リッチなんかになってくると、今度は死霊魔法ではどうしようもなく、結果テイム系のスキルを使わないといけなくなってくるし、感情もあるから使いにくいんだけど。


 話が脱線したな。だからゴーストの可能性は低いと思うんだよな。冷気系のゴーストに進化していたとしても、それなら魔物が見つけるんじゃないかと思うんだが、どうなんだろうか。難しいのかね? そんな事は無いと思うし、それならそう遠くには居ないはずなんだよな。近くで雹を降らせている元凶が居てもおかしくはないんだよ。……だけど、見つからないからな。何が今回の原因なんだ? 本当に異常気象ってだけなのか? それでも調査はしなければならない。流石に放置は出来ないからな。春になってからも雹が降り続けると、町人や村人が危険に晒される。全員分のヘルメットを用意できるわけもないんだから、なるべくなら異変の原因を見つけて解決できることが望ましい。


「かといって、必ずしも何かあるとは言えないのが辛い所だ。ニブルヘイム、そっちでは何か解らないか?」


『我の鼻は異常を感じられない。偶然だったのではないか?』


「何も感じないか。偶然であれば良いんだが、仕方がない。とりあえず予定通り海の方から回り込んでトルクメニア山脈の方向に向かうぞ。出来れば探索範囲を広げたいが、俺は1人しか居ないからな」


 俺が何人も居てくれれば良いんだが、そういう訳にもいかない。アルマイア君を動員するには少しばかり可哀そうだしな。他の兵士では魔物と会話が出来ないし、どうしたものか。


 とにかく走り続けて5日目。何も異常らしき異常はない。……というか、魔物村がかなり遠くまで出来ているなと感心したくらいだ。もう少しで海まで届くぞ。海に隣接すれば、塩が取り放題になる。今まではスライムに頼っていたが、これからは海水から塩を取り出せるぞ。石炭を燃やしてどんどんと塩を手に入れるのだ。塩田も考えたが、どうせ海は凍るのだ。塩田を作るよりも、石炭でどんどんと燃やした方が効率が良いと判断した。どうせ流氷が漂っているような地域なのだ。下手をすれば年中凍っている場合もあるだろう。そんな事なら初めから面倒な事をするよりも、石炭でガンガン燃やした方が効率的だ。石炭はダンジョンから無限に取れるんだから、問題は無いだろう。


 そして8日。今日も何も無かった。寒い中での野宿はかなり堪える。危機感が薄いせいもあるんだろうとは思うが、いつもよりも寒く感じる気がする。危機感があれば、そんな事を言っている暇はないんだが、今回みたいに確実に何かがあると解っていない状況だと大分感覚が鋭敏になるというか、鈍くならないというか。とにかく夜が辛い。寒いし何も考えない分寒い。とにかく朝を待つのみって感じなんだよな。周りは闇しかないし。こんな所に明かりがあった方が不自然……明かり? 待て。なんだあの明かりは? ニブルヘイムが反応していない。どういうことだ?


「ニブルヘイム、あそこの明かりはなんだと思う?」


『明かり? 何の話だ?』


「いや、明かりがあるだろう? 解らないのか?」


『……解らん。我には闇しか見えん。臭いも何も無い。見間違いでは無いのか?』


「見間違えてたら、相当疲れているんだろうな。いや、まあ、疲れていないと言えば嘘になるんだが、流石に見間違えることは無いと思う。そっちに近づいてもらう事は可能か?」


『出来るが……。何事なのだ?』


 何事なのかは俺も聞きたい。こんな所に明かりがある方がおかしい。太陽が昇ってきているって時間でも無いし、そもそも向こうは西側だ。トルクメニア山脈の方向である。


 ニブルヘイムを誘導しつつゆっくりと向かう。……明かりは移動をしている。向こうもゆっくりと移動しているが、なんなんだ? そもそも人間であればこんな所にいる訳がないし、魔物に関しては臭いがするはずで、ニブルヘイムが感じる筈である。そもそもニブルヘイムには見えていないのだが。あの光はなんだ? 何故移動するのか。


 そして、5分ほど移動をし続けていたんだが、明かりが増えた。今は3つ程明かりがある。何処かに向かっているのか、それともただ漂っているだけなのか。解らないがとりあえずついていくしかない。見つかるとかそういうのを気にしては居ないんだが、移動の速度が同じくらいだから追いつけないんだよな。夜でも早く走ろうと思えば出来るんだが、俺が怖くて歩いてもらっている訳だしな。それに、追いついたら追いついたで何をしていいのかが判断が付かない。あれが何なのかすら解っていないんだからな。


『どうだ? まだ見えているのか?』


「見えているな。見えているんだが、ずっと移動をしているんだよ。こっちに気が付いている感じでも無いし。気が付いているのかもしれないが、気にしていないだけの可能性もあるが……」


『なんにしても我には見えん。そちらの指示に従うほかない。声はかけられないのか?』


「解っているんだがな。あれが敵であった時、どう対処するのが正しいのかというのが解らない。お前たちなしで戦う事になるからな。そうなると、雪で足を取られたらまともに戦闘が出来ない。故にゆっくりだが追いかけるしかない」


 見えてはいる。そう、見えてはいるんだ。明かりだけが見えている。それが敵なのか味方なのか、無関係の第三者なのかが解らない。簡単に声は掛けられる。それで敵だった場合のリスクが高すぎるんだ。むやみにリスクは負えない。早く追いつけば簡単なんだろうが、勇気が出てこない。一応推定3体はいる。それが何なのかが解らない。解らない恐怖がこれほどとは思わなかった。戦争をしていた時よりも遥かに怖い。あれは一体何なのか。それが解るまではゆっくり追いかけたいと思う。解る時が来るのかは解らないが。

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