雹が多い冬、異変か?
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冬になった。途端に何もやることが無くなる。いや、内政は忙しいんだが、外に出ることが殆どなくなるからな。町人も内職で忙しいだろうし、特に問題は起きていない。……そもそもスラムがあり得ない地域だ。問題なんて起きようがない。スラムなんて雪で埋もれて死んでしまうからな。環境ゆえにスラムが無いのは有難い事ではある。逆に言うと、なんとかして助け合わないと生きていけない環境でもあるという事だ。土木作業員なんて、本当はスラムの人間を使うのが普通だったりもするんだが、ちゃんと雇用して賃金を払わないとそもそもなんだが冬を越せない。そんな事をしていたら人口が増えない。こうするしかないというのが現状なんだよ。それでもなんとか内政は回っているけどな。
前世の話だ。子供の頃は比較的温暖な地域に住んでいた。祖父母の家は雪国。だから、正月に遊びに出かけて雪遊びをするのが好きだった。珍しい雪にはしゃいでいた。子供の頃はな。中学生にもなると、労働力として駆り出されるようになった。そして知る。雪国の生活を。重労働の毎日を。雪かきだけで半日が終わるんだ。それを毎日毎日続けなければならない。そうしなければ1階が埋まるんだ。下手をすれば1日で1階が埋まることもある。その為、非常口が2階についていたりもするんだよな。そんな生活をしていても、なんとかなったのは住んでいた国が先進国だったからだな。そもそもだが、雪国では先進国にならざるを得ないんだ。皆で協力して生きていかなければ生きられない。そんな環境で、他人を蹴落としている場合じゃないんだ。隣人は便利な労働力として考えなければ、そもそもの生活が成り立たない。買い物にしてもそうだ。地方だから車を使うのが基本だ。給油は毎日のように行うし、なんなら乗り合わせで買い物に出かけたりもする。隣人とのトラブルを起こす人間は、雪国では生きていけないんだ。
それは今世でもそう。隣人との付き合い方を考えれば解る。どうあがいても1人では生きられないんだから隣人を頼る。病気になることも多い。その時に助けてくれる人を探すようでは遅いのだ。積極的に助けて貰えるように日頃から努力が必要。隣人が困っている時には手を差し伸べないと、自分が困った時に無視される。町全体で1つの家みたいなものなんだ。頑固な人も、気難しい人も、なんとかコミュニケーションを取って生きていかなければならない。そんな生活で良いのかと言われたら、それしか出来ないんだから仕方がない。コミュ障でも他人と関わらないと生きていけないんだ。厳しい環境での生活を思えば、嫌いな対人関係も何とかしなければならない。まあ、普通であればそういったことによって治っていくんだけどな。治らない人は死んでいくだけだから。
「今年も例年通りだな。スライムが大分増えてきたおかげか、雪が積もっているが、歩く場所は確保できている。流石に屋根は皆が雪かきをしなければならないが、それでも労力は半分以下になっているな。実に良い事だ。このままの状態を維持していかないと、人口が増えてくれない」
「そうですな。……ただ、少しだけ疑問に思う事もあります。雪は普通なのですが、雹の回数が多くありませんか? 結局はスライムがなんとか食べてくれるのですが、例年よりも5割程度多いですな。天気の記録を取っていますので確認したところです。何か異変の可能性がありませんかな?」
「……天気の記録を漁ったのか。俺はそこまで気が付かなかったが、5割増しか。少々気になるな。普通なら例年通りのはずだ。それでも増減はあるが、2割程度で収まるだろう? 5割は少しばかり多い気がする。何かあるのかもしれない。だが、前回の時のような感じではないな。前回の時は異常に雪が降った。あの事件とは違うだろう」
「でしょうな。あの時は本当に異常でした。今回の事は些細な事ですが、それでも気にはなります。何かの前触れでなければ良いのですが……」
「……調べてくるか。何かが起きてからでは遅い。可能性があるとすれば北の森だ。定期報告では特に異常は無いと来ているが、……魔物ではない何かがあるのではないかと言う事か。どうやら、世界は俺にゆっくりとしている時間を余り与えたくないらしい」
「世界から好かれているのではないですかな? 放置しておきたくないのでしょう」
「やれやれ。俺はどちらかというとゆっくりとしたいタイプなんだがな。のんびりと代官をやれていればそれでよかったんだが……」
「内政に関しては殆ど終わっております。こちらは例年に比べて仕事量は増えましたが、人員も倍増しましたからな。余裕はあります。直ぐに準備を始めますかな?」
「そうだな。明日から本格的に探そうと思う。魔物では異常が見つけられなかったんだ。何かしらあるのかもしれない。……危険な可能性もある。十分に気を付けて行くさ。心配して無さそうではあるがな」
「なんだかんだと今までも帰ってきていますからな。実績というものがあります。何も無ければ心配するのですが、何故でしょうな。大事になる未来が見えないと言いましょうか。世界から好かれているお陰かもしれないですな」
「買いかぶり過ぎだ。世界からは嫌われていないだけマシだと思うしかない。それじゃあ準備をしてくる。後の内政に関しては任せる。何か大きなことが起こった場合も判断をしてしまえ。それが出来ない訳では無いだろう?」
「了解しました。それではまた何かあった時の報告をお願いしますよ? 出来れば、ちゃんと報告してくれると助かりますな」
ちゃんとな。ダンジョンコアの時のように黙っているなと言う事なんだろう。まあ、仕方がない。これに関しても実績があるからな。まあ、そこまでの事ではないとは思うがな。流石にスノードラゴンの上位種が出てきたら、こんな程度では済まないだろう。もっと荒れ狂っていてもおかしくはない。今回の異変は、ちょっとしたことなんだ。俺も気が付かないくらいの異変だ。デーデルが天気の記録を漁っていなければ、何事もない日常として過ごしていただろう。よくもまあ、そんな事まで気を配っているものだな。……代官として見習わなければならないな。
「おや? マクシミル様、どうかされましたか?」
「デーデル曰く、今年は雹が多いらしい。それで北の森に異変が起きていないのかの調査をしようと思った訳だ。危険だとは思うが、前回の例もある。何か起きているのであれば、解決しなければならないだろう。その為に戦力を連れて見てくる」
「それであれば、冬装備をしっかりとしておかねばなりませんね。それと、頭を守るためのものも必要でしょう。土木作業員が被るものがあります。それをお持ちしましょう」
「頼んだ。いつもの場所に置いておいてくれ。後は保存食の類だな。10日、いや20日分は用意してくれ。俺1人分だ。他の魔物に関しては、こっちでなんとかする」
「承知いたしました」
さて、これで準備はいいだろう。雹の対策としてヘルメットだな。実はアントヒーローの外殻を使ったヘルメットがあるんだよ。……安全対策にと一応準備はしてあったんだ。頑丈で軽いから、結構いいと思うぞ。まあ、倒木なんかは流石に防げないが、不意の落下物には多少の耐性を得ることが出来る。……加工しにくいと不評だったがな。一応、形にはなったがという感じだ。まさか自分で使う事になるとは思ってもみなかったが。案外作っておくべきものだな。いざという時に使えるようになる。……作ったら作ったで問題が出てくるなんてことは無いと思いたい。こういうイベント事が重なるのは何の因果があるんだろうか。俺が何か悪い事でもしたのか? 悪いことはしていないと思うんだがな。何か世界に影響を及ぼすような大それたことをしたか? そんな覚えは無いんだが……。世界に好かれているのか嫌われているのか解らんな。




