元帥閣下とお話
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元帥。確かスレドリッドは公爵家の1つだな。……無駄に名前が長いのは何でなのかは知らないが、意味があるんだろうな? 覚えきれなかったぞ? まあ、元帥閣下で問題ないはずだが。
「お初にお目にかかります。元帥閣下。俺はゴールドレッド子爵家の町マセルの代官をさせて貰っているマクシミル=ゴールドレッドになります。まさか元帥閣下が来られるとは思っても居ませんでした」
「そうだろうそうだろう! 俺は驚かせるのが好きなんだ。あと、閣下は止めろ。フェルナンド元帥で頼む。宰相の奴と同じに呼ばれるのは好かん。あれは物分かりが良い様に見えての日和見だからな。根暗で無ければ宰相は勤まらんのだ。無難に物事を進める事しか出来ん凡愚よ。それを重用している王も問題だがな。それよりもだ! マクシミル=ゴールドレッドと言えば、先の戦争では大金星を挙げたそうじゃないか。魔物を巧みに使い、大きく領土を切り取ったと聞いている。まあ、それを根暗が停戦の条件と一緒に返してしまったがな。面白い若者が増える事には歓迎する。お前の才能は非凡なものだ。俺はしっかりと評価している」
なんだかいきなり現王を批判し始めたが、大丈夫なんだろうな? まあ、かなりのおっさんではあるんだが、これでも軍部の最上位だ。交渉は慎重にな。出来る限り怒らせない方が良いだろう。まあ、向こうは既に俺の事を知っているみたいなんだが。
「それではフェルナンド元帥と呼ばせていただきます。先の戦争では運が良かった。主兵を魔物が務めて居るので、損耗は魔物のみとなります。魔物は替えが効く。その方が戦力としては大変ありがたいので、魔物を使っております。私のギフトがそれを成したと言っても良いでしょう。私は実に運が良かった。魔物を配下に置けるギフトを得ていたのだから」
「ふん。運が良いのは戦争では非常に優秀だ。結局は運なのだ。兵士の実力もそうだが、誰と当たるのか、誰と共に戦うのか。それも大きな運だ。それが無ければ死んでいく。兵士の命は重い。1人減れば、未来の兵士が5人は減る。そのことを考えて運用しなければならない。簡単に兵を揃えることは出来んのだ。兵士を抱え込むにしても金が必要になる。それでも王都は余裕があるがな。他の地方貴族ではそうもいかん。それは例え魔物であったとしてもだ。あれだけの魔物を用意できるのは才能以外にも運が絡む。運が良い奴は優秀な奴だ。俺はお前を評価する。よくぞあれだけの魔物を揃えた。勝てたのはお前の頑張りがあってこそだ。それ以上でもそれ以下でも無い」
「ありがとうございます。しかし、7年後にはまた戦争でしょう。こちらも魔物を増やしていますが、それでもまだまだ足りぬと思っております。なので今は人間の兵士の質を上げようとしているのです。人間の兵士が一騎当千の仕事をしてくれれば、魔物軍よりも強いですから」
「なるほどな。今度は人間の兵士を育てるのか。だが、そこまで強くはならないだろう? 才能のある奴も居れば、そうでもない奴がいる。軍にしても中々そこまでの人材を見つけることは出来ん」
まあ、そうだろうな。内政がそうなっているんだから仕方がない。元帥と言えども、内政には殆ど口を挟めないだろうしな。何よりも文官がそれで動くのかという問題がある。宰相と仲が悪いっぽいし、素直に動いてくれるとは思わんだろうが、何も調べるのであれば文官を使わなくても問題ない。兵士が沢山居るのだから、彼らに頑張って貰えば良いのだ。今の兵士よりも強くなる可能性はあるだろう。だが、安全性が高まるのだ。それは兵士にとっても悪い話では無いはずだ。ここらが切り時だろうな。
「フェルナンド元帥、これを。こちらが調べているユニークスキルとギフトのリストになります」
「うん? それがどうした? ……ふむ、中々の数が揃っているな。だが、知っているものが殆どだ。これがあるからと言って何か変わる訳でもあるまい?」
「いえ、変わります。それも劇的にです。それらは平民が獲得していたユニークスキルやギフトになります。今、俺の居るマセルでは、住民全員のユニークスキルやギフトを把握しております。この意味が解って貰えるでしょうか?」
「……なるほどな。それであれば兵士を選ぶのも簡単だ。だが、拒否者が出るのではないか? 無理やり兵士にしても、兵士としての心構えがなっていなければ、使い物にならんぞ?」
「ええ、それはそうなんですが、ユニークスキルやギフトの内容を平民が存じていないのはご存じで?」
「何?」
「平民は自分のユニークスキルやギフトの内容を把握していないのです。例えば、鍛冶師としての才能を持っていたとしても、樵をやっている平民が居る。というか、殆どの平民がそうなのです。自分のユニークスキルやギフトの内容を知らずに生活をしているのです。自身のユニークスキルやギフトを使う仕事をしている者は、1000人居れば2人か3人になります。それだけユニークスキルやギフトの内容が平民には知れ渡っていないのです」
「平民は本当に自分たちのユニークスキルやギフトの事を何も知らんのか?」
「知りませんでしたね。現にマセルでは誰一人として知りませんでした。なので今は仕事のミスマッチを解消するべく動いている最中です。平民としても、自分のユニークスキルやギフトの事を知って、他の仕事に移る事になることに困惑するものも居ますが、それは移ってみてから自分に合うかどうかを決めればいい話なのです。なので、俺の所の軍隊も、30人ほど雇用をしました。合わなければ止めればいいと思うんですが、まずはユニークスキルやギフトを活かす方向で考えた方が良いかと思います。……文官にはそれを断られたのですが。そもそも内容を聞いても貰えませんでした」
「クソッ! 文官は馬鹿しかおらんのか! 平民がユニークスキルやギフトの事を知らんだと? 貴族としては当たり前の事だと思っていたが、そうか。知らなかったのか。知らなければ今の状態も無理はない。自分が兵士に向いているのか、樵に向いているのかが解らない状態と言う訳か。よく知らせてくれた。これは文官共の頭を一度カチ割る必要がありそうだな」
「でしょう。まずは住民からユニークスキルやギフトの事を聞き出し、リストを作り、自分のユニークスキルやギフトでは何が出来るのかを知らせた方が良いでしょう。今の仕事で納得している平民は少ないと思いますよ? 出来るのであれば、得意で稼げる仕事の方が良いでしょうから」
「兵士の質も格段に上がるな。……一度聞き出してユニークスキルやギフトで整理をしないといけないか。知らないユニークスキルやギフトもありそうだから困るが」
「100や200はあると思いますよ? 俺の方でも知っているものに関しては書きましたが、知らないものについては曖昧な表現しか使っていませんから」
「なるほどな。だが、知らないユニークスキルやギフトをどうやって書いた?」
「文字に着目しました。槍であれば解りやすいと思いますが、この文字が使われています。ならば知らないものでもある程度は予想が付きます。……そして、王都で調べ上げた情報を各貴族家に流して欲しいのです。地方軍の強化も必要でしょうから」
知らないのは問題なんだよ。知っているのにも関わらず黙っている方も問題があるんだが、これに関しては貴族家では半ば常識的な事だから平民の事を知らなかったんだ。平民の生活の事なんて気にかけても居ないと思うからな。まあでも、これで話は一気にしやすくなったな。