恐怖心いっぱいのボクらの肉を人間たちは何故食べるの?
“恐怖心いっぱいのボクらの肉を人間たちは何故食べるの?“
ボクは、”ブヒブヒ”とこの世に誕生した。
ボクのママは、ボク以外にも10匹の子供を産んだんだよ。
そして何より、ボクが産まれる前から既に居た人間のおじさんとおばさん。
ボク達のお世話を毎日欠かさずしてくれるんだ。
朝早くからボク達の糞や部屋の掃除をしてくれるよ。
その間ボク達は、ママの母乳をゴクゴク飲んで日に日に大きく成長している。
・・・ただ気になる事は?
人間のおじさんとおばさんが、ボク達兄弟や同じ時期に産まれた子供達の
歯を抜いたり、耳にパチッと穴を開けたりするんだ。
でも一瞬の事だから、痛みもその時だけで終わってしまいボクはまたママの
おっぱいに吸い付いて母乳をゴクゴク飲むんだ。
『この子は少し他の子より小さいからこっちの部屋に移すか?』
『あの子は、まるまる太っているからあっちの部屋に移すわ。』
【ブヒブヒ】
ボク達は生後3か月でママから引き離された。
ボク達兄弟はどうなってしまうのか心配だったけど、、、?
両隣を見たら、兄弟達がみんないるから心配しなくてすんだんだ。
それにね! 優しい人間のおじさんとおばさんはボク達兄弟や仲間の
体をキレイに拭いてくれるんだよ。
凄く優しい言葉でボクに話かけながらボクの体を拭いてくれるんだ。
“何を言ってるのか分からないけど、ニコニコしながらボクの体を拭いて
くれるから、きっと優しい言葉をボクに話しかけてくれてるんだろうな。“
『“まるまる太って、美味しい肉になーれ! 美味しい肉になーれ!”』
ボクも人間のおじさんとおばさんには心を開いているよ。
こんなに優しい人間はいないと思う!
ボク達は、“この人間のおじさんとおばさんに世話をしてもらって凄く
ラッキーだった!“
ご飯もちゃんと3食、食べさせてもらえるしお昼になるいと?
みんなを一斉に外に出してくれる。
いい時間になったら? またおじさんとおばさんがボク達を呼んで
また各々の部屋に戻るんだ。
優しい人間のおじさんとおばさんにボクは出会えてよかったな。
*
・・・でもある時、両隣に居たボクの兄弟達が居なくなっていた。
ボクがひとり戻ってくると? もう兄弟達は居なくなっていたんだ!
ボクは兄弟達が居ない事で涙がボロボロ零れて泣いていると?
一番端に居るボクの叔父さんがボクにこう言ったんだ!
『“お前の兄弟達は、みんな人間に食べられるんだぞ!”』
『そんな事ないよ! 人間のおじさんとおばさんはあんなに優しいじゃ
ないか! 噓ばっかりつかないでよ!』
『“本当にそうか? じゃあ、なんで俺達の世話を人間達はなんの見返り
もなしにすると思う?“』
『“ボク達が好きだからでしょ!”』
『“違うな! 俺達を食べるためさ!”』
『じゃあ、なんでボクはここに居るの? 叔父さんだってそうだろう!』
『そんなの知らねーよ! 病気かなんかあるんじゃないのか。』
『“病気?”』
『“人間が食べられない肉って事だよ!”』
『“ボクは人間が食べられない肉?“』
『心配するな! 俺もお前と同じだよ。』
『・・・・・・』
ボク以外の兄弟達や同じ時期に産まれた仲間達はみんな何処かへ
連れて行かれたんだ。
ボクはボクを産んでくれたママに相談しようと思っていたら?
まさか? “もう新しい兄弟達が産まれていた!“
ママはその子達に母乳を与えて産まれたばかりの僕の弟や妹達に
おっぱいを飲ませていた。
・・・あんな姿のママを見たら? もうママに相談なんか出来ないな。
*
その頃、ボクの兄弟達は知らない場所に連れて行かれていた!
人間のおじさんとおばさんの指示に従い、一列に並んで何かを待っている。
『“なんだか怖いよ、嫌な予感しかしないよ!”』
『今日の人間のおじさんとおばさんはいつもと違うし!』
『恐い! 怖いよ!』
『ぼくたちどうなっちゃうの?』
『“大丈夫だよ、人間のおじさんとおばさんの言う通りにしてたら、
何の問題もないさ!”』
『・・・でも、今日の人間のおじさんとおばさんは殺気がムンムンして
嫌な予感しかしないんだ!』
『オレ達、死んじゃうのかな?』
『そんなはずないよ。』
『そんな事、人間のおじさんとおばさんがする訳ない!』
『あんなに優しい人間のおじさんとおばさんがそんな事、、、。』
【ブヒィ、ブヒィ、ブヒ――――ン、ブヒっ、】
『・・・な、なになに? 何が起こってるの?』
『恐いよ、怖すぎる!』
『悲鳴がしたね。』
『”恐怖を感じた時の声だー!”』
『仲間たちが人間のおじさんとおばさんに何かされてるんだよ!』
『あんなに優しい人間のおじさんとおばさんが、信じられない!』
『“人間はやっぱり怖い存在なんだ!“』
『ぼくたち、死んじゃうの?』
『・・・そ、そうなのかもしれないな、』
恐怖に怯えるボク達の兄弟達や仲間を人間のおじさんとおばさんは容赦なく
ひとりひとり手を掛けて殺していく。
人間のおじさんとおばさんは他にもたくさんの人間を呼んでボク達兄弟達や
仲間を殺したんだ!
熱湯につけ、口に大きな針を刺し吊り上げてお腹から大きな切れ味のいい
包丁で裂いていく、お腹の臓器がぶら下がり人間達が各々の臓器と分けていく。
最後には、体の部位の肉をパック詰められて大きなトラック積み込まれ、
スーパーに並ぶんだそうだ。
“恐怖心いっぱいのボクらの肉を人間たちは何故食べるの?“
あんなに優しくボク達を育ててくれてたのに、なんで人間はボク達を食べるの?
亡くなったボク達兄弟や仲間は、凄く怖かったはずだ!
それでも、“流れ作業なのか? 心を持たない人間達は淡々と作業をする!“
だからみんな人間達のせいで、亡くなっちゃった。
”みんな人間に食べられるんだ!”
・・・ただね? “恐怖心いっぱいのボク達の肉を食べた人間達に
必ずボク達は復讐するよ。“
体にじわじわと何年もかけて病気の元を作るんだ!
それもこれも人間達が悪いんだからね!
ボク達の恐怖心いっぱいの肉を食べるから、体に影響をもたらす。
たくさん苦しんで、たくさん恐怖を感じればいい!
ボク達の肉を食べるからそうなるんだ!
これから人間達に“復讐する。“
絶対に兄弟達や仲間達の命を無駄にしない、
ボクもこの後、病気が見つかり人間に殺されたんだ。
ボクの肉は腐っているらしい。
人間に食べられる事はなかったけど、絶対にボクは人間を許さない!
最後まで読んでいただいてありがとうございます。