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ep.63【後日談3】完

「私には前世の記憶があるんです」


「前世…?」


「はい。レオは覚えていないかもしれませんが、6歳の頃に倒れている子供と周りに数人いた子供を家に入れてくださったことを覚えていますか?」


「…覚えている」


レオの顔は見ずに俯いたまま私が質問をすると、真剣な声が返ってきた。

その声に、少なくとも私が冗談で言っている事ではない事が伝わっているようで安心する。


「倒れた子供の名前はルナですよね。」


「…!」


深く深呼吸をする。


「……そのルナは私です。私は前世で、レオ様に助けられた恩がありました。だから今世では恩返しが出来れば良いなと。新聞で見たレオ様の目はあまりにも光がなくてどうにかしたいと思ったんです。烏滸がましいことですが、小さい時のレオ様を知っている私なら、幸せに出来るかもしれないって…そう思ったんです……。それがまさか今のような関係になると思っていなくて、前世の記憶を利用した形になってしまって、本当にすみません…!」


私の言った事にレオはしばらく時間が止まったかのように何も言わなかった。

当然受け入れ難いだろう。しかし真実なのだ。


これを聞いて、レオは何を思ったのだろうか。話し終えた今も震えは止まらない。

身体が強張って弱い私が出て来そうになってしまう。今だってレオの目を見られずにいる。


怖い。怖い怖い。


こんな気持ち、もうニ度とないはずだと思っていたのに。

レオはそんな私の気持ちを察したのか、フワッと包み込むように私を抱きしめた。


「…ソフィアはつくづく俺を驚かせてくれる。俺を喜ばせる天才だな……」


どういう意味なのかが全く分からず気になってレオの方を見ると、レオは優しい顔をして私の頬を触った。


「やっとこっちを見たな。また敬称もついてるぞ。そんなことで俺がソフィアを嫌いになると思ったのか?ソフィアは今の俺がソフィアを嫌っているように見えるか?」


私は慌てて頭を横に振った。


見えなかった。

レオは今も好いてくれている。

触れてくれている。


それがとても嬉しくて、安堵で瞳に溜まっていたものが出てしまいそうだった。


「ソフィア…実はな、俺には初恋の人がいるんだ。その人は6歳の頃に亡くなって、もう2度と会えないのだと、しばらく嘆き悲しんだ。」


「…っえ」


「ソフィア。俺の今も1番大切で愛してる俺の初恋の人。これ以上に嬉しいことなんてないだろ」


レオはもう一度私を強く抱きしめた。


"信じられない……。"


レオは前世でも私のことを好きでいてくれたのか。

そう考えると、どうしても溜まったものが溢れずにはいられなかった。


「嫌うものか。前世も今のソフィアも愛してる。…ルナの時、救ってやれなくてごめんな。もう2度と離さない。今の俺には守る力がある。だからソフィア。俺にあなたを守らせてくれないか?」


耳越しに静かに囁いてくれるレオの声は心地が良かった。

それから顔を見合わせ、レオが頬に優しく触れ、流れた涙を親指でそっと拭ってくれる。


レオは、今の私と前世の私を丸ごと愛してくれる人なんだ。

そんな人からの愛が嫌なわけもなく、むしろ心地よくて、幸せで、近くでレオを感じていたい。

いつのまにか、私のレオへの愛もここまで大きくなっていたのだと驚いた。


私は普段から愛を囁けるような人ではない。

人前では弱みを見せず強がってしまう頑固で可愛くない人間だ。


だけど今なら言える気がした。


「レオ。私も、あなたと一緒に生きていきたいです。…その、愛しています。大好きです。」


「…!ああ、本当にソフィアは俺を喜ばせる天才だ。」


「ではでもう一つだけ…。前世の私と、今の私を受け入れて、大切にしてくださっているお礼です」


そうして軽くレオの頬にキスをする。


そういえば私からのスキンシップは殆どしたことがなかったなと思い、思い付いたお礼が私からのスキンシップだった。


レオは私がキスした頬を押さえて頬から耳まで真っ赤になった。


大丈夫かなと少し心配になった時、レオの手で押さえる箇所が頬から口元へと移動した。

最近分かったレオの癖として、口元を押さえるときは表情が緩みそうな時なのだと分かった。


嫌がっていないことが分かったので一安心していると、レオは独り言のように呟いた。


「俺の妻が可愛すぎる………」


その言葉をマジな顔で言うものだからこちらまで照れてしまう。

私から仕掛けたつもりだったのに二次被害を受けたではないですか…。


それからレオに前髪を上げて額にキスをされ、「愛してる」と言われてしまえば、私は顔全体を手のひらで覆うしかなかった。


私も間違いなく、レオを愛してる。


【この世で1番大切で大好きな人】

これで完結となります!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

私の好きな作品が令嬢系でどん底から這い上がってくる強い女の子なのですが、他の系統も書いてみたいと思い始めて来ました…!

次作もまたまた令嬢系のお話ですが、ガラッと雰囲気を変えたものを投稿しようと思っていますので気長にお待ちくださればと思います!

改めて、最後まで読んでいただきありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
面白いですね、一気に全部読んでしまいました。
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