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ep61.後日談1【ソフィアとカルロス】

みなさまお久しぶりです!m(_ _)m

ここからは後日談となっております!

最後まで温かい目で見て頂けると幸いです。

レオといっぱい話した後、カルロスがみんなに知らせてくれたのか、一斉に執務室に人が来た。

リアム兄様にルイス兄様、お義父様、公爵家で働いている使用人一同。


みんな泣いて抱きついたり喜んでくれた。


その夜、私はカルロスのいそうなところに向かった。


「やっぱりここにいたんですね」


「あれまぁ、見つかっちゃった」


どこか寂しそうに見えるのは気のせいだろうか。

誰もいない地下牢でただ佇んでいる姿が酷く寂しげに見えた。


「カルロス…何かありましたか?」


「ううん、何もないよぉ。ソフィアちゃんは早くレオのところに戻りなぁ。心配しちゃうよ?」


「今私が心配なのはカルロスです。みんなを呼んでくれたのはカルロスですよね?」


「うん、そうだよぉ。」


やはり何かあったのだろうか。

一見いつもと一緒に見える態度や声色にも、違和感を覚える。


「みんなに会いたかったのは確かですけど、私が1番にお礼を言いたかったのはカルロスですよ。」


「…!?………どうして…?僕は元殺し屋だよ?君に危害を加えた人だよ?君の事情も知らずにただ言われるままに鞭打ちを続けた殺し屋なんだよ…。」


先まで平然な声で話していたのとは打って変わって、自分を卑下する声は焦っていた。

最後の一言は、だから自分は私と関わってはいけないのだと、自分に言い聞かせている気がしたのだ。


自分はこんなにも酷い人なんだと言って、自身のことを自分で認めることもしなければ人にカルロス自身を認めさせることもさせない。

そうやって今までカルロスは生きてきたのかもしれない。


私はカルロスの昔を知らない。

知っているのは私が出会ってからのカルロスだけ。


だけど、それだけでもカルロスという人を知るには充分な時間だった。


昔が何だ。

元殺し屋が何だ。

拷問をしたから何だ。


今までカルロスがしてきたことは、それは悪いことだと教えてくれる大人がいなかったからしてしまったことだ。

もちろん良くないことだ。

でも、その行いの良し悪しを、私はこれから教えていける。

たまに意味なく笑うカルロスはとても辛そうだ。


私は今こうして無事に生きていて、それは紛れもなくカルロスのおかげだ。

その事実を伝えたところで、カルロスは結局自分を認めはしないだろう。


確かに過去は消えない。


どれだけ良い行いをしたところで昔やったことを取り消せることはない。

だからといってずっと過去を見るわけにもいかないのだ。


私はカルロスが人として好きだ。


「カルロス」


「………なぁに?」


カルロスは困ったような笑みを浮かべて返事をした。


「私にはカルロスが必要なんです」


「…えっ__…?」


カルロスの予想とは違う言葉を私が言ったからだろう。

心底驚いたような表情で私の顔を見た。


「カルロスがいたから今の私がいるんです。カルロスがいたから、今私はこうして生きているんです。あなたが今苦しんでいるのなら、私の側をあなたの居場所にしてください。」


「………っ!?」


「カルロスが今何に苦しんでいるかは私には分かりません。聞くこともしません。ですが、その苦しみは吐き出せる場所がないとずっと溜め込むことになるでしょう?だったら私の側で少しずつ吐き出してしまえば良いんです。」


私が昔して欲しかったことを、今カルロスは欲してるんじゃないだろうかと勝手ながらに思ってしまった。

昔、父と母が亡くなって兄も寮に行った頃から、私も泣ける場所が欲しかった。


負の感情を吐き出せるような場所が必要だった。


だけど、その場所が私に与えられることはなかった。むしろどんどん奪われていった。

辛いも苦しいも寂しいも悲しいも全部、私の心の奥底で溜まっていった。


もしかしたらカルロスも同じような状況なのかもしれない。


負の感情を全て心の中に溜めて飲み込んでいる状態。 その状態はいつまでも続かない。


必ずいつか爆発して、頭の中も心の中もごちゃごちゃになって気持ち悪くなる。私はそれを知っている。


「ソフィアちゃん…僕さ、ソフィアちゃんが名前をつけてくれた時救われたんだ。」


「救われた?」


「うん。それまで僕の世界って何を見ても何も感じなくて、ずっと息苦しかったんだ。ずっと海の底に身体が沈んでるように重くて、適当に生きてた。でも名前をくれて初めて、呼吸が出来たんだ。」


私はそんな大層なことはしていないのに。

ただ、名前をつけただけ。


だけどきっと、カルロスにとっては救われるくらい嬉しかったのだろう。

カルロスは普段自分のことをあまり話してくれないにも関わらず、今こうして話してくれている。


カルロスの目はとても真剣だった。


「僕、初めて下じゃなくて前を見て生きようって思えた。どれも全部、ソフィアちゃんと出会ってからの事だったんだ。」


「…そうだったんですね」


素直に嬉しかった。


私を信頼してこうして話してくれていることも、名前を気に入ってくれていることも、私を必要としてくれていることも。


「私にとっても、カルロスは恩人ですよ。」


「僕が恩人?」


「はい。カルロスは鞭打ちのことを後悔しているそうですが、あれはカルロスの意思ではありませんよね。それに、今回だって私は命を助けてもらいました。だからお互い様です。」


「そう…なのかな……。」


カルロスがどこか寂しそうだった理由が分かったかもしれない。


「カルロス」


「どうしたの?」


「おかえりなさい」


「…___っ〜〜!!!…どうしてっ……」


「私が言いたくなったんです。お帰りなさい。カルロス」


カルロスが今必要としていたのは帰る場所だ。

何故か確信めいていた。

おかえりもただいまも言われないのはとても寂しく悲しいことだ。


前までこの身を以て感じていた私はそれが痛いほど分かる。

カルロスは気軽にただいまと言えるような場所が欲しかったのではないだろうか。


勝手な憶測でしかないが、外れてはいないようだ。

目を輝かせて、でもその興奮を抑えるように唇をキュッと結んでいる。


これはカルロスの癖だ。

確か名前をつけた時も今みたいな顔をしていたような気がする。


「…良いのかな。僕は、おかえりって言われる存在じゃ「良いんですよ」」


「誰だっておかえりと言われ、ただいまと言われても良いんです。逆も然りです。だからカルロスも言ってください。」


「っあはは、やっぱりソフィアちゃんはイケメンだねぇ。ありがとうソフィアちゃん。僕に帰る場所をくれて。…ただいま。そしておかえり。ソフィアちゃん。」


「…!ただいまかえりました。カルロス。それと、カルロスの帰りを待っているのは私だけではないと思いますよ。明日執務室に行ってみてください。レオ様が待っていますよ」


「…?分かった。」


カルロスは不思議そうな顔をしているが、明日になれば分かることだろう。

私以外にも、カルロスにおかえりと伝えたい人はいるのだと。

カルロスの身を案じる人は私だけではないのだから、もっとカルロスが自分に自信を持てるようになれば良いなと思う。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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