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ep15.彼の秘密と私の秘密

四日目。拷問に関しては彼も仕事なので、鞭打ちは続いている。今日は四〇回だ。


それでも、鞭打ちが終わった後には必ず謝ってくれる。


「じゃ、約束通り質問に答えてねぇ。」


「良いですよ。誰にも言わないでくださいね。」


きっと今日彼が質問することは、私が誰にも言っていないことだと予想できる。

昨日も言ったことだけど、念には念をというやつだ。


「言うわけないでしょ〜。レオにももちろん言わないよぉ。ソフィアちゃんを大切に出来ない男にソフィアちゃんのことを知る必要はないからねぇ。」


「優しいですね。」


「…ハハっ。そっかぁ、優しいかぁ。…そう言うのはソフィアちゃんだけだよぉ?それでも、本当に僕が優しいって思うの?」


「はい。もちろんです。」


迷いなく私が応えると、やはり彼は優しそうに笑って、「ありがとう」と言われた。


それから、彼の質問タイムが始まった。

好きな食べ物、好きな動物、好きな音楽、好きな色、好きなこと、好きな本、好きな場所、


他にも、そんな何気ない質問ばかりを聞いてきた。


「……なんで」


「ん?」


「どうしてそんなどうでも良いような質問ばかりするんですか。」


「…あぁ〜、そっかぁ。だんだん分かってきたよぉ、ソフィアちゃんのことぉ。ソフィアちゃんにとってはどうでも良いかもしれないけど、僕にとってはどうでも良くないんだぁ。ソフィアちゃんだから知りたいんだよ。」


「…!」


こんなことを言われたのは初めてで混乱する。

引き取られて十数年一緒に過ごした家族でさえ、私の好きなことを何一つ知ろうとしなかったのに。


実の兄でさえ、私に興味はないというのに。


この人は、私の好きを知ろうとしてくれてる。

私という人間に興味を持ってくれてる。

やっぱり彼も優しい人だ。


「あの、私も質問して良いですか?」


「おっ!良いよぉ。何が知りたいぃ?」


「…お名前、教えてくれませんか。」


「…っあはは、実はねぇ、名前、ないんだぁ。」


「え…?」


衝撃の事実だった。


彼がずっと名前を名乗ろうとしなかったのは、自分の名前がないからなんだ。

彼も、苦労して生きてきたんだとすぐに分かった。


だって、前世の私も、親につけられた名前なんてなかったから。街の人たちからはルナと呼ばれていたけど、決していい意味ではなかった。


だから、名前は教えずに一緒にいた血の繋がっていない弟や妹にはずっとお姉ちゃんと呼ばれてきた。


「驚いたよねぇ。実は僕、元殺し屋なんだぁ。今は訳あってレオの情報員として動いてる身なんだけどねぇ。レオからは殺し屋って呼ばれてる。だからソフィアちゃんも……って、そんな顔しないでよ。もしかして、怖くなっちゃった?」


私が今している顔は、どんな顔なのだろう。

鏡もないのでわからないけど、彼が悲しそうな顔をしているのを見る限り、あまり良い顔ではないのだろう。


だけど私の今の気持ちは、怖いとかそういった類の気持ちじゃない。


「…怖い訳がありません。私を知ろうとしてくれてるあなたを、怖いと思う訳ないじゃないですか。」


「……そっか。」


「……カルロス」


「へ?」


「あなたを、カルロスと呼んでも良いですか?自由な男と言う意味です。どれだけ世界が腐っていようと、あなたは自由でいてください。自分の好きなことをして、幸せになってください。世界は広いのですから。」


勝手に名前を付けるのは、いけないことだと思う。それは分かっている。分かっているけど、私は名前のない辛さや苦しさも知っている。


彼が殺し屋なら、これまでも潜入するたびに、色々な名前を使ってきたのだろう。その時、彼は何を思って自分のことを偽の名前で呼ぶのだろうか。


想像するだけで、とても悲しくなった。

だけど今、私が名前を言った瞬間、彼は目をキラキラと輝かせた。


「カルロス…カルロスかぁ…!嬉しいよ、ソフィアちゃん。この名前、大切にするね。」


「喜んでもらえたなら良かったで……!」


ーゲホッ!ゲホッ…ア…ゥ……ー


"ああ、最悪ね…"


「どうした?!どこか痛いの…?!すぐに医者を…!」


慌てて口調が元に戻っているカルロスに対して、私は小さな声でダメと言った。

すると彼はとても困惑して、心配してくれている様子が伝わってきた。


「大丈夫です。…えっと、もうカルロスが聞かないから言いますが、私…後少ししか生きられないんです。カラミティ病、知っていますよね?一年以内に死ぬ病気。義両親にもお兄様にも愛されなくて、挙げ句の果てに病気で死ぬなんて、あまりにも惨めだと思いませんか?それが嫌で公爵様に依頼しました。半年後に私を殺してくれと。だから私は、今婚約者として公爵邸にいます。公爵様に殺してもらうために。」


「…治療法を見つけるって選択肢は、ソフィアちゃんの考えの中にはなかったの…?」


そうか。


そんな選択肢もあったんだ。


でも、生きるという選択肢が仮に私の中にあったとしても、その選択肢を私が選ぶことはない。


「ええ、ありませんでした。私に大切なものなんてないですし。」


「殺してもらうために、公爵家に来たの?」


「はい。」


カルロスの質問が一通り続いた後、カルロスは涙目になりながら声を荒げた。


「なんでだよ!なんで自分の人生全部諦めてるみたいな言い草して、僕には生きろだなんて言うんだよ…。逝くならあの世でもよろしくやろうよ。あの世ではレオもいない…!ソフィアちゃんを傷つける人は誰もいない…!俺も絶対に傷つけない…俺は地獄で罪を償った後に、絶対ソフィアちゃんのところに行くから。…だから…!」


カルロス特有の語尾がなくなっていることから、真剣に話してるのが伝わってくる。

確かにカルロスとあの世でよろしくやるのも楽しいと思う。


毎日話していて思ったけど、会話も弾むしカルロスと話すのは気楽で自然と笑顔が溢れた。


それでも


最後まで読んで頂きありがとうございました!

次話も見てくださると嬉しいです!

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m(_ _)m

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