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セレスタン 1

草原を数時間かけて歩いていくと目の前に町のようなものがあるのが見えた。この世界の情報収集にはピッタリの場所ではないかと考え、歩みを止めず歩いていく。

そして門の前まで行くと門番の衛兵に止められた。

「待て、君はどのような要件でこの国に来たのだ。」

「えっと...。」

なんて答えるか考えてきていなかった。現実世界でも空港で入国審査官にどのような目的で来たか言われていた。大体観光と答えれば通して貰えたがここで同じことが果たして通じるのか。とりあえず言ってみるか

「観光で来ました。」

「観光だな、分かった。とりあえず君のセリュンカードを見せてくれ」

セリュンカードってなんだ??

現実世界でも政府が発行してる個人カードのようなものがここでもあるのだろうか。

当然ある訳無い、かと言って異世界から来たなんて言われても信じれないだろうから嘘を混ぜながら答えるか。

「すみません、私はとても遠くの田舎からやってきたものなのでセリュンカードというものを持っていません。先ほど観光と言いましたが田舎を追い出されてここまでやってきたのでどうか入れてくれないでしょうか」

「そうか...それは不憫(ふびん)だったな。だが決まりでセリュンカードを持って居ないなら1日滞在料として1000セリューンを頂くことになっているがそれでも大丈夫か?」

1000セリューンなら持っていたな。この世界の通貨なのかもしれない。星のマークと女神のマークが書いてあった綺麗なコインだった。

「それならあります!どうぞ。」

俺は衛兵に1000セリューンを支払い1日滞在証明書を発行して門を開けて貰った。

「あ、忘れていた。町に入ったら真っ直ぐ進んで役所に行ってセリュンカードを発行して貰うといい。発行手数料はかかるが1日滞在料に比べたら安いもんだ。」

「どうも丁寧にありがとうございます!でも、さっき払った1000セリューンが全財産でして...」

「それも役所に行けば仕事はある。大変だと思うが頑張れよ!」

「何から何までありがとうございました!」

俺は丁寧にお辞儀をして真っ直ぐ役所に向かった。

真っ直ぐ歩いていると目の前に大きな建物が目に入った。

《セレスタン役所》

ここだな。

木のドアを開けると中はゲームに出てきそうな『ギルド』って感じの内装だった。

俺はそこの『市民課』と書いてある所に行き受付の職員さんに話しかけた。

「すみません、セリュンカードを発行したいのですがお金が無いので仕事を紹介して頂け無いでしょうか。」

「すみません。基本的にセリュンカードを持っていないと仕事は受けられません。」

最初からつまづいてしまった。

これからどうしようと受付の横の掲示板を眺めながら悩んでいると後ろから声をかけられた。

「あのー、すみません」

後ろを振り向くと長い髪をした落ち着いた雰囲気の女の人が立っていた。知的な感じが漂っていて学者みたいだ。

「はい、どうされましたか?」

「先ほど職員の方とお話されているのを聞きまして、お仕事を探されているんですよね?もし良かったらやりませんか?」

「良いんですか!?なんでもやります!!」

「そうですか!ありがとうございます。」

これはチャンスだと思い仕事の内容も聞かずに承諾してしまった。


女の人に案内をされたのは役所から左に行った所にある大きな図書館だった。

どうやら彼女は司書らしく、この図書館を管理しているそうだ。いつも本の整理や片付けをしてくれた用務員さんが怪我で1週間来れなくなってしまったので役所に求人の募集をしに来た所で俺と会ったようだ。

「では、改めまして。私はラディアと言います。」

確か貴族以外は苗字がないはずだよな..ここで俺が苗字を言うと変な事に巻き込まれるかもしれないから名前だけにするか

「俺の名前はシュウイチと言います!よろしくお願いします!」

「シュウイチさんですね。では、1週間よろしくお願いしますね。」

その日から俺は図書館で働くことになった。

基本的に肉体労働であり図書館も大きいので端から端まで歩くことなどよくあったが何故か疲れなかった。

これも【身体強化】のおかげだ。あまりの体力の多さにラディアさんも驚いていた。

ボランティア扱いなので給料は無賃だが図書館には住み込みで働いて1日3食寝床付き、セリュンカードの発行料も負担してもらった。休憩時間に歴史書などを読んだ。元々この国に俺はこの世界の情報を収集する為にやってきたので図書館のボランティアは渡りに船である。

この世界はセリュンティアと言うらしい。気づいていたがやはりここは地球では無い別の惑星だと言うことを認識した。

そしてこの町はセレスタンと言い、セレストラ神という知識と魔法の神を(あが)めているセレストラ教を信仰しているそうだ。

さらにこの町を出て先に進むとセレンドリアという国があるらしい。

セレンドリアを含めてこの世界には12個の国がありそれぞれが別の神を崇め信仰している。

俺はこの1週間で数多くの本を読み知識を身につけた。


あっという間に1週間が過ぎて8日目の朝にラディアさんに感謝を伝えた。

「ラディアさん1週間ありがとうございました!図書館で沢山のことを学べたと思います!」

「こちらこそ非常に助かりました!シュウイチさんの体力や熱心さに感動しました。貴方にセレストラ様のご加護があらんことを。」

最初つまづいたと思ったらいい人に巡り会えたものだ。

ステータス

名前:シュウイチ・ユメノ

種族:ヒト族

レベル:1

HP100/100

MP0/0

所持金:0セリューン

スキル:【鑑定】

EXスキル:【言語理解】【身体強化】

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