第八話 呪いの対象に存在を認識された件について
夜魅子は幽霊。
日英に霊能力はなし。
さて、どうやって存在を認識するのか……?
どうぞお楽しみください。
火事に遭って死んだ時にはいないと思ったけど、やはりこの世界に神様っているのね。
そうじゃなかったら、こんな美しい存在が生まれるわけないもの。
それは日英さん!
こんなに美しい存在が自然に存在するわけがない!
そして私と繋がれた縁……!
それだけでこの世界は調和していると感じるわ……!
「そこのあなた」
「え、僕ですか?」
んもう!
幸せを噛み締めてるのに何なのよ!
声の方を見ると、辻占の机に座る男。
胡散臭い……。
でも声かけられてちょっと驚いた顔の日英さんも素敵!
「あなた、悪いものに取り憑かれていますな」
「え? そうですか?」
……え?
大変!
日英さんが悪いものに取り憑かれているなんて!
そんな奴私の力でこの世でもあの世でもないところに叩き落として、存在そのものを消し去って……!
「髪の長い女の霊です。心当たりはありますか?」
「うーん、あるような、ないような……」
女!?
日英さんのイケメンフェイスならば致し方ない事ではあるけれど、私の日英さんに近付くのは許さない!
……日英さんの格好良さについて語り合えるなら、ちょっとだけ始末を待ってあげてもいいけど……。
「こちらを激しく睨んでいます。早く除霊した方が良いかと……。君学生さん? ならローンも組めるしリボ払いもあるよ? 今ならこの除霊塩も付けるから、ね?」
「え、でも……」
ははーん。
成程ね。
こいつは詐欺師だわ。
いもしない悪霊をでっち上げて、お金を巻き上げる奴だわ。
なら私が日英さんを守っている事を示して追い返そう!
『悪霊ナドイナイ……!』
「へっ!? あ、悪霊に自我が……!?」
『私ハ彼ヲ守ル存在……! 悪霊ナド寄セ付ケルワケガナイ……!』
「え、でもあなたは……」
『イイナ……!』
あ、睨んだら詐欺師の持ってた塩の袋が弾け飛んだ。
それ本当に塩?
花火か何かじゃなくて?
詐欺師だから、何持ってるかわかったもんじゃないわね。
「はいっ! わかりましたぁっ!」
あらいい返事。
すぐに日英さんに向かって頭を下げた。
「あの、あなたはすごい守護霊に守られているので大丈夫ですぅっ!」
「え、そうなんですか?」
「はいぃっ! もう絶対無敵、元気爆発、熱血最強な守護霊様なので、その、もう、何もかもオッケーです!」
「ありがとうございます。その守護霊さんって、今どこにいます?」
「え、あ、その、ひ、左肩の後ろあたりに……」
え、日英さんが私を見て……!?
「いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします」
きゃあああぁぁぁん!
詐欺師グッジョブ!
こんな言葉を日英さんにかけてもらえる日が来るなんて!
身体の底から力が湧き起こるのを感じる……!
もう誰が相手でも負ける気はしないわ!
「教えてくださってありがとうございます」
「いっいえっ! こちらこそありがとうございましたっ!」
大急ぎで荷物をまとめて帰っていく詐欺師。
あ、ちゃんとお礼を言っておけば良かったわ……。
まぁこれで日英さんも私の事が好きと確定したわけだし、式場はどこにしようかしら……!
「師匠! もう一度修行させてください! 今度は真面目にやります! 金儲けも諦めます! ちゃんとした力がないと、俺は、俺は……!」
読了ありがとうございます。
夜魅子に詐欺師呼ばわりされたこの男、霊を視る力はあるものの「俺が嫌いな言葉は一番が「努力」で二番目が「ガンバル」なんだぜーッ」と修行から逃げ出し、能力で小金を稼いでいました。
しかし夜魅子の前に手も足も出なかった事で奮起。
厳しい修行を耐え抜き、後に日本を揺るがす大妖怪を退治するとかしないとか……。
後一、二話で完結できる予定です。
よろしくお願いいたします。