第四話 呪いの対象に電話をかけて来た相手を呪った件について
相変わらずストーカー中の夜魅子。
日英の電話にも反応するようで……。
どうぞお楽しみください。
あぁ、今日の日英さんも素敵だったわ。
日英さんを見守り続ける生活最高!
幽霊だから食事も睡眠もいらないし。
……これってまるで恋人みたい……!
やだっ、私ったら、まだ自己紹介もしてないのに……!
「ん? 電話だ。……非通知?」
日英さんに電話?
誰からだろう……。
女だったら……!
『よう。俺俺』
「え、誰だろ」
『何だよ冷てーな。声でわかるだろ? 俺だよ俺!』
「えーっと、武?」
『そう! 武だよ! やっぱ親友ならわかってくれると思ったぜ!』
……何こいつ。
男で良かったけど、日英さんに馴れ馴れしすぎる!
「で、どうしたの?」
『実はさ、俺のダチが事故っちゃってさ。何か大変な額の賠償をしないといけない事になったらしいんだ』
「え、大変じゃないか!」
『そんで皆でカンパして助けてやろうって話になったんだけど、ちょっと俺今月苦しくてさぁ。だってさぁ、そんな事あるなんて思わないだろ?』
「あぁ、そうだよね……」
『来月になったら返すから、幾らか貸してもらえねーかなって』
「うんわかった。どうすれば良い?」
『今から言う口座に……』
ふざけるな!
そんなの自分の金でやれ!
『あ、あれ……? 何かノイズが……』
「え? こっちは何も聞こえないけど……」
『……ひ、ひぃ! ごめんなさい! う、嘘です! 自分で何とかしますから! はい!』
「え、もしもし? もしもし? ……切れちゃった」
まったく、日英さんが優しいのを良い事に、友達を助ける当てにするなんて。
そういうのは自分のお金でやらないといけないのよ。
……でもお金を出してあげようとする日英さんも素敵……!
も、もう特殊詐欺なんかやらねぇ……!
何だよあの不気味な女の声……!
『人ノ金ヲ当テニスルナ……。次カケテキタラ呪ウ……』
あああもう二度と聞きたくねぇ!
携帯も解約して、これからは真っ当にバイトしよう……!
読了ありがとうございます。
今回は一人の若者の未来も救ったような感じになりました。
次回もよろしくお願いいたします。




