第十話 呪いの対象と共に生きる事になった件について
悪霊として使役されていた夜魅子。
しかしその正体は火災で意識不明となった身体から抜け出た生き霊でした。
その事実を知った夜魅子は……?
どうぞお楽しみください。
あぁ、何て晴れやかな気分!
死んだと思っていた私の身体は、病院で生命維持装置で生かされていた!
そこで私を使役していた男とその友人のお医者さんにお願いして、私は生き返った!
「……オ、オレ……、故郷に帰ったら実家の神社に行くよ……。神力が弱いって他のヤツにバカにされるのもけっこういいかもな……」
「……医者が無免許医の真似事をして荒稼ぎしようなんて、おこがましいとは思わんかね……」
そのついでに日英さんを呪おうとしていた人とも、ちゃんとお話しして謝ってもらったし!
「つ、次はど…… 、どこから…… 、い……いつ 『驚かして』くるんだ!? オレは! オレはッ! オレのそばに近寄るなああーッ! ……ごっ、ごっご、ごめーん! ワァーッ!」
私の事を『コンサートホール火災で唯一行方不明の少女発見!』ってニュースにしようとした取材の人も穏便に帰ってもらったし!
「……おれは しょうきに もどった! これからは正義のジャーナリストになる! ……だからもうあんな地獄は見せないでくださいお願いします何でもしますから」
これからは日英さんと一緒の人生を歩めるんだ!
身体には呪いの……、いえ、幸せパワーが宿ってるんだし!
「あ、夜魅子ちゃん」
「日英さん!」
私は幸せパワーで自分の身体を浮かせて飛ばし、日英さんの胸に飛び込む!
あぁ、幸せ……!
こうして触れ合える時が来るなんて……!
「ちょ、ちょっとまずいよ夜魅子ちゃん……」
「……え?」
まずいって何……?
まさか私の事が嫌いなの……?
それとも他に好きな人が……?
だとしたら……!
「君はまだ高校生なんだから、清いお付き合いをしないといけなくて……」
「え?」
「だけどこんな風に抱きつかれちゃうと、その、僕も健康な男だし、その……」
え?
あ、日英さんの顔、真っ赤になってる……。
そういう事、意識してる……?
……それならもう行くしかないでしょ!
「大丈夫ですよ!」
「な、何が……!?」
「お巡りさんだろうと法律だろうと、私がぜーんぶ説得しますから!」
「え、う、うん……」
幸せパワーを全開にすれば、どんな相手だって怖くない!
「だから一緒に幸せになりましょうね?」
「……そうだね!」
こうして私は運命の人と一生を共にする事になった。
……いえ、きっと一生を終えてからも、ずっと……。
読了ありがとうございます。
おもいつき とうこうは たんぺん。
つよし おぼえた。
それでも何とか完結に漕ぎ着けました。
ヤンデレはツンデレ同様まだまだ私の手に余るので、もっと修行していきたいと思います。
ではまた何かの作品でお会いできるのを楽しみにしております。




