表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
常冬の惑星  作者: 堀川士朗
3/5

第三話

常冬の惑星第三話をお届け致します。

極寒の地球でのサバイバル、お楽しみに!


 「常冬の惑星」(第三話)


         堀川士朗



太陽の光は届かない。日中は常に夜のような状態。

朝が来ても同様だ。

また強い風が吹いている。

風力発電にはもってこいの日だ。



地下牧場施設では家畜は牛を十数頭、豚を二十数匹、鶏を六十羽ほど飼っている。食べるためにシメたらまた自動的に次の世代が産まれてきて頭数にバランスを取るシステム。

食肉加工場も完備。

調味液を加えた缶詰めだって、燻製ベーコンだって何だって作れる。

缶詰めは重宝するので大量のストックが既にある。

要するに、僕は食肉を処理し加工する施設を最重要に考えた。

味気ない食事ばかりでは、生きる気力もなくなるだろう?



魚と野菜はアクアポニックスにより育てている。

21世紀初頭、SDGsが叫ばれていた頃に流行ったやり方だ。

SDGs、全くの無駄になっちゃったけどね。

AHAHAHAHAHAHA!

魚は淡水魚だ。

魚のフンが野菜の肥料となり、同時に水耕栽培による野菜は水を浄化する。

循環型の手法。

採れる量はそんなに多くないが、そもそもそんなに僕は野菜や淡水魚を食べないから大丈夫だ。

海水に棲む魚介類も循環海水養殖している。

鮭、ブリ、イワシ、エビ、タコ、アサリその他。

家畜と同様、解体所があって自動的にサクにおろされた魚は真空パックされ、外気温を活用した長期冷凍保存が可能に。

全て磐石だ。

僕しあわせ。



大量のストックはあるものの、大麦、小麦、米、大豆も小規模ながらオートメーションで農業している。

そう。僕の完璧過ぎるコテージは地下施設が広大なんだ。

地下は六層に分かれている。

充分な電力により、これら農業畜産漁業施設には地上と遜色ないだけの紫外線が今も降り注がれている。

適温の中で育てられている動物たちもとても元気だし、僕もいたって健康だ。

磐石だ。



芯から冷える。

温熱靴下を二重に履き、足の指をニギニギ、パッする。

もう、どの季節かも分からない。外の気温はマイナス50℃を示しているから、きっと今は春頃なのだろう。

酒を飲んで沈潜化していく。

このまま、眠りたい。



ビュオオオオオオ。

ビュオオオオオオ。

風の音を聴く。

風の音。

死の音。

心地良い音。

寝袋に入りながら、風の音を聴いて足を外反母趾のところをスリスリ擦り合わせているとそれだけでウトウトしてくる。

絶対安全領域にいる中で聴く激しい風の音は、最強の子守唄だ。

僕はこのまま、眠りたい。

深く。

深く。



           続く



ご覧頂きありがとうございました。

来週次回から物語は動きます。

お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ