帰り道
杉並木の横をテクテクと二人で歩いている。
左手にはさっき遡上した川が見える。
そんなに大きな川じゃないけどウナギとか釣れるかもしれないなぁ。
右手は林、木漏れ日がキラキラとしている たまに風でざわざわと鳴る。
懐かしいような気がする景色だなぁと思いながら 僕たちは町へ戻ってきた。
海岸のほうに行ってみる、町のはずれには塔のようなものが見える。
「あそこが町の端っこ 岬の先は山なのよね」
その手前に綺麗な海岸がある。
僕たちはちょっと下りてみる 白い砂浜と思ったら、全部貝殻。
「ここ昔貝殻を捨てる場所だったみたいで」
波に洗われて真っ白になった貝殻の海岸
ざくっ ざくっと音を立てて歩く。
「単なるゴミ捨て場だったはずなのに、こんなにきれいになるのよね」
波の音が聞こえる。
砂浜と違って、貝殻だからちょっと掘ると海水だ。
ふっと振り返るとメグがいる、逆光に体のラインが透けててすごくドキッとした。
貝殻の海岸から僕たちは上に移動して、町の方へ戻る。
お酒屋さんがあったりお店がぽつぽつとある ザ漁村という感じの街並み。
波止場の近くには網が干してあったり、古い網やロープが山になっていたりもする。
潮の香りっていうけど こういう匂いなんだろうな。
ぐるっと回って町の中心部、さっきの酒屋さんの中にはお酒を飲めるコーナーがあるみたいだけど、さすがに初デートではハードルが高い。
無難にスイーツを選ぶことにした。
ケイちゃんの食堂以外で食べるのは初めてだ。
何が何だかわからないので、メグに選んでもらった。
運ばれてきたのは ホットケーキみたいな丸いおかし。
「甘いのかな?」
「スイーツだもの」
「そりゃそうだよね」
「甘いの苦手?」
「いや大好き」
ナイフで切って食べてみる。
おいしい はちみつとかクリームとかかかってないのに おいしい。
ケイちゃんの料理もそうだけど、地球と変わらない味付けなんだ。
「歩き疲れてない?」メグが僕に尋ねた。
「ううん メグこそ大丈夫?」
「私はぜんぜん平気よ もちろん!」
「2時間くらいいろんなところを歩いて、メグの住む町を見て回ったよね」
「今までぜんぜん外に行かなかったもんね」
「メグの町を見ることができて新鮮だったよ」
「よかった」
お茶もおいしいし、食べ物の心配はないな。
「この後どうする?」
「そろそろ帰りの時間じゃない?」
「また来週かぁ 明日は仕事だな」
「だめよお仕事はちゃんとしなくちゃ」
「メグも明日はお仕事だよね がんばってね」
「まかせて!」
いつも前向きなメグ まっすぐ見つめる目が大好き。
僕たちは船宿に向かった。