週末に向かう アナゴ釣り 出船
土曜日 お昼過ぎ
通常営業を終えたメグが船宿に帰ってくる。
「はーい お疲れ様 またよろしく~」
お客さんを送り出して軽くお昼ご飯を食べて 3時過ぎごろ船を掃除し終えたら部屋に戻る。
急いでお風呂に入って夕方の準備。
「お姉ちゃんお風呂に入ったニャ? いつもだったらそのまま出るのに」
「うるさいわね」
「はい、これ晩御飯のお弁当ね」
料理番のケイちゃんが渡してくれた。
私は船の冷蔵庫に入れる。
「来ないニャ?」ニヤニヤとケイちゃんが見ていると
「こんにちはー」
「いらっしゃいませニャん! お待ちかねニャン」
「来たわね いらっしゃい」
僕は竿と少しの荷物を抱えていつもの船宿にやってきた、異世界船宿だ。
今日はアナゴ釣り、暗くなる前に出船の予定。
「あたしはお留守番ニャ」宿のお仕事があるので妹のケイちゃんは船宿に残るのだ。
「でもお弁当作ってるから後で食べてニャ?」
僕と船長のメグは一緒に船に向かう。
アナゴ釣りは夜が勝負。
「キスとかと同じような場所でいいのよね?」
「砂泥って書いてあったから多分ね」
「漁に使ってる場所は聞いてるから大丈夫よ」
荷物を積み込んでそろそろ夕焼け空かなという時間 僕たちは出船した。
操舵室に座ってるメグの隣、格納式の椅子に座っている僕。
湾を出ると低くなった太陽が横からメグの顔を照らす。
僕はメグの顔をちょっと見る。
針路を変えると次は逆光になった。
もうすぐ日が沈む。
夕焼け空反対側を見るとすっかり濃い色になった空。
もう一度振り返るとメグの横顔のシルエット。
「きれいだ」
「え?なに?」
「あ、いや ほ ら 夕焼けっ!」
僕はメグの前に腕を伸ばして指を差した。
「あ、そうね」
メグもちょっと夕焼けの方を見る。
夕焼けの太陽がオレンジ色の道を作っていた。
「どのくらいの場所?」
「30分くらいかな だからあと15分くらいかしら」
「暗くなっても場所がわかるの?」
「そう思って あっちに岬があって灯台とかあるの そのあたりよ」
僕たちはもう少し夕焼けの中 二人の海を楽しんだ。
このあたりかな、だいぶ暗くなってきたけど辺りの様子がわかる。
海はべた凪、船のライトを付ける。
遠くに見えるのは赤い灯台と白い灯台が見える。
「あの二つの灯台を目印にするの」
場所をあらかじめ調べてくれていたみたいだ。
僕たちは甲板に出て準備を始めた。