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キス釣り大会(3/3)

 残り一時間

 あと20尾弱 100釣れたら帰ろうと言った矢先。


 僕の竿に「コココっ」とアタリ

 ゆっくり巻き上げる、「ガッ ぎゅーわーん」

「!?」

 レンジャー!な竿は柔らかいので全体が放物線を描くようにしなる。

 メグが振り返って気づく

「マゴチかな?」

「そっかも どうしよ ライン1.2号」

「きっついわね~ ハリの方も心配ね」


「ジャっ、ジャっ」ドラグが効いてる、このままいけば大丈夫かな。

 ポンピングしながらちょっとずつ巻いてく。

「ジャジャジャッ」巻くとドラグが出てを繰り返す

「巻けてる 今がチャンスかな」

「タモ取れる?」

 ケイちゃんに呼びかけるメグ 相変わらずカッコいい

 タモを手にドキドキしながら見守るケイちゃん

 メグは反対側なので取れないのだ。


「あ、見えた」マゴチっぽい頭でっかちな細い魚体。

「バシャっばしゃっ」跳ねる水。

 ケイちゃんがするっとすくう 

 30センチ以上はありそうなマゴチ。


「いいの釣ったね」

「お刺身にするニャー」

 すぐにナイフで締めるケイちゃん 素早い。


 気づくと残り30分。

「時間食っちゃったね」

「でもマゴチ釣れたしね」


「87尾かな、おまけ入れたら軽く100超えるけど」

 メグは数えていた。


「もう一投づつ入れて納竿にしよっか」

 みんなで「せーのっ!」ぽちゃんぽちゃんぽちゃん と投入した。

 10分くらい待ったけど、群れが散っちゃったのか釣れず仕舞い。

「はいあげてー」メグがノリノリでいつものセリフ。


 僕らは巻き上げて戻ることにした。

「計量のところまで漕いでいくニャ」

 キコキコと桟橋まで戻る クーラーボックスを下ろすケイちゃん

「あとで持っていくニャ ボート戻しといてにゃ」 ニヨニヨしながらケイちゃん。


「じゃ いこうか」

 キコキコと海岸と並行に漕いでいく。

 チラホラと先に沖上がりしたボートもいるのかな

 

 ボート置き場の砂浜に到着

「ねーメグ、乗り上げたほうがいいんだよね?」

「そうねボートもう上げるだけだもんね」

 僕は沖のほうに舵を切る。

「あ、そういうことね」

 メグは気づいたようだ

「このくらいでいいんじゃない?」

 僕たちは少しづつ回転数を上げて、舵を切り、速度を増しながら船首を乗り上げる砂浜に向けた。

「いっけー」

 僕とメグは笑いながらすごい勢いでペダルを漕いだ。

 スピードが上がってくる、バシャバシャと後ろから聞こえる。

「乗り上げるよ」

「うん」

「ざーっ」多分数十センチしか変わらないとは思うけど、砂浜に乗り上げてボートは止まった。

 僕とメグは笑顔で 意味もなくハイタッチしていた。

「さて荷物下ろそう」

 荷物を砂浜に下ろして、軽く船内をお掃除。

 二人で完全に水から上がるくらいまで船をひっぱって、おっちゃんに合図。

 あっちも手を上げたので多分いいのだろう。

 砂浜のベンチに腰掛けてメグと話す。

「楽しかった!」

「おもしろかったわね ありがとう 誘ってくれて」

 楽しみで釣りに行くことはしばらくなかったからすごく楽しかったみたい。

「僕のほうこそ、メグと一緒で楽しかったよ」

「ふふふっ」

 そして、一緒にキス以外の魚を入れてた予備のクーラーボックスを開けてみる。

「マゴチでかいな」

「ヒイラギとメゴチとハゼかなこれ」

「そうね 普段船釣りだとあまり釣れないわね」


「ぷおーん ぷおーん ぷおーん」

 ホーンが三回聞こえる、終了時間だ 12時30分


 遠くのボートが戻ってきているのを眺めながら帰る準備のために荷物を整理している。

 発表までの間に、お昼ご飯を食べる人たち、釣れた魚を捌く人たち さまざま。


「ケイちゃんは帰ってこないな?」

 面倒だから計量後は残っているのか それともすでに捌いているのか

「順位発表されたら戻ってくるわよ それまでアソコに座ってよっか」

 ちょうどいい木陰になっている海辺のベンチ、そういえば

「飲み物結局飲まなかったね」食べ物用ボックスから取り出してメグにも渡す。

「そうね、ありがと」受け取るメグ

「ケイちゃんにも持たせればよかったね」

「大丈夫じゃない あっちなら売っているし」

 ちょっとにこやかに海をみるメグの横顔、ふと見た瞬間、きれいだなぁと思った。

 風が出てきたので気持ちいい、そよそよとなびく髪と耳。

 忘れそうだけどこっちは異世界なんだな。

「なんか、三人で勝負すればよかったね」突然ぽつりと言った。

「勝ったら賞品とか?」

「何が欲しい」

「うーん」「欲しいものかぁ、じゃ 賞品もらってたかも」

「えー? なんで?」

「わかんないけど」

「なぁにそれ ふふふっ」メグが笑った。

 僕もちょっと笑った。


「来ないねぇ」すっかり飲み物を飲み干した僕たち。

 噂をすればケイちゃんが帰ってきた。

「すごかったにゃ」

「すごかった?」

「これにゃ」クーラーボックスを指さす

「なんか大人気だったニャ 珍しいニャ」

 見せてたら帰ってくるの遅くなったニャ。


「はい順位表」

 うーんと、僕らのチームは

「12位ね」

「全部で34チームだっけ?」

「なんて微妙ニャ」

 トップは384尾だって かなり気合が入ってたに違いない。


「じゃ帰るにゃ 水捨てるニャ」

 僕たちは船宿に向かって歩き始めた。




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