港へ
港に戻る船の中、貸し切りってこともあってメグと一緒に操舵室に入る、といっても二人でいっぱいになるような広さだ。
ベンチシートに二人くっついて座りながら話す。「エンジンじゃないから 静かだね」波を切る音だけが響いていた。
「エンジン?」地球の船はエンジンで動くことを説明した、異世界の船は魔動船だから滑るように動いている。
「なるほど、反重力装置みたいなものか」船倉にある魔動機が行きたい方向に動くので固定されている船も一緒に動く原理らしい。
何度か通っているけど、こんな話をするのは初めてだった。
Tシャツをまくりあげた日焼けした腕がスラっと伸びているメグに船が揺れるたびにちょっと触れる。
間が持たないので話を続ける「いつから船乗ってるの?」「覚えてない」「10歳くらいのときには操船してたなぁ お客さん乗せたのは成人になった16からかな~」
メグと二人、メグの貸し切り仕立て船に乗るようになってちょっと船のこと勉強したんだ、「そういえばこっちって船の免許とかあるの?」「免許?なにそれ?」ないのね。
ライフジャケットも不要だし、そもそも加護があるからもしものことがあっても船宿に転送される安全装置みたいな保険みたいな何とも言えない魔法がかけてあるんだって。
なんかいろいろメグと船に付いてるものについて 地球と 異世界の違いを話しながら港へ走る船、二人とも狭い操舵室で前を向いてたくさん話をしてた、気のせいか行きよりも揺れが少なかった。