夢中
ここは……どこ?…
なんでここに………
ようこそ
だ、誰……?
私はあなた。
君は僕じゃない……。
いいえ私はあなた。心の奥底に隠されたもう一人の自分。
違う。
違わないわ。誰もが持っているもう一人の自分。それが私。誰もが持っている隠された自分。それが私。
どうして?ならなんで君がいるの?
あなたが死んだからよ。
死んだ?死んでなんかないだろ。さっきから何ふざけてるんだ!もう一人の自分とか!馬鹿にしてるのか!!
いいえ。あなたは死んだ。それはあなたが一番知っている。でも知りたくない。だから私に押し付けた。それでもあなたに記憶が残っているはずよ。
違う!!!
いいえ。あなたは死んだ。
死んでなんかいない!!
いいえあなたは死んだ。
ならどうやって死んだんだ!言ってみろよ!
知らない。私の知ってることは、あなたの知っていることだけ。あなたの知らないことは私は知らない。
ほら、言えないじゃないか。本当は僕は生きてるんだろ。
いいえ死んだわ。
死んでない!死んでなんかない!僕はまだ生きたい!!!!
「吾子よ、それ程までに生きたいか?」
誰だ!
「吾子よ、何故に生に執着する?」
生きていれば良いことがあるからだ!
「それは真か?吾子よ。生きている間に何か良いことはあったか」
あったね
「そうか。しかしもう一人のお前は生に絶望し、死を享受している。その心は本物か?」
そうだ。
「下界に帰ればまた生の苦しみが待っている。それでもいいのか?」
いい。もうこんな何も無いところは懲り懲りだ。
「しかし。もう一人のお前は…」
私も行くわ。どこまでも付いて行く。もしかしたら変われるかもしれないから。
「ならば良し。吾子よ。しばしの別れだ。幸運を祈る。」