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革命の白魔術師  作者: みらい
オリジナル (リメイク版から読むことをオススメします)
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依頼その6 温泉の白魔術師

テンタクルホワイトスライム、通称ホワスラを倒した後も、ひたすら互いにヌルヌルのまま取っ組み合いの喧嘩をし、そのヌルヌルを取るために近くの街で温泉に入る事になった。


お互いの服まで白濁液まみれになってしまい、仕方が無いので、温泉に入っている間に洗濯屋に洗濯してもらう事にした。


「──はあ……今日はとっても疲れましたよ……」

温泉の更衣室で服を脱ぎながら私は一人呟いた。

ヌルヌルの状態で街を歩き、周りの人達にヒソヒソと何かを言われた事を思い出し、頬が赤くなった。

ホワスラは絶対許さない!


下着も脱ぎ素っ裸になった私は、ヌルヌルの服をカゴに入れ、従業員の人に渡した。

申し訳ないですが、洗濯屋まで届けてもらう事にした。

もちろん、ノヴァさんのお金で。


この街に着いて、真っ先に温泉に向かった私達。

そこでノヴァさんにこう提案された。

50万ネル払うから混浴温泉に入ろう、と。

私はハイと即答していた。


なんだか体を売っているような気がして来るが、ギリギリセーフのはずだ。

うん、セーフに違いない。

さすがに、更に金を払うから一緒に寝ようなんて言われても、絶対に断ってやります。

まあ混浴くらいなら、と思ったのには理由があるのです。

フフ……フフフ……!


──更衣室は男女別々ではあるが、その扉の先には混浴の温泉。


「『ミスト』!」

私は魔法を唱え、扉を開けて温泉に入った。


「お、遅えじゃねえか。さっさと裸を拝ませ……お前ふざけんなよ!」

局部が霧魔法によって隠された私の姿を見て、ノヴァさんが憤慨する。

「あなたなんかに、まだ私の裸を拝める訳無いじゃないですか!」


勝ち誇った顔で高らかに笑う私を哀れな目で見てくるノヴァさんが。

「そっか……そうだよな。プロポーションに自信が無いんだもんな……悪かったよ……」

「この温泉に沈めてやる!」

ノヴァさんに掴みかかろうとした私を、その場にいた数人の女性温泉利用客が制止する。


「ったく……公共の場で暴れるんじゃねぇよ、アバズレが」

「お金払うから混浴に入ろうって言ったのはノヴァさんじゃないですか!」

「「「!?」」」

私の一言でその場にいた利用客が驚き、皆が一斉にノヴァさんを見つめる。


「お、お前だって嬉嬉としてついて来たじゃねぇか! こんな所で何言ってんだよ!」

皆に凝視されたからか、上擦った声で焦り始めるノヴァさん。


「畜生! 元はと言えばお前がそんな霧でガードしてんのが悪いんだ! 鉄壁過ぎんだよ! 湯気の比じゃねぇんだよ! 温泉に浸かっても有効とかふざけんじゃねぇよ!」

みんなの視線に耐えかね、激昂するノヴァさん。

ノヴァさんはいきり立ち、立ち上がる。

その拍子に腰に巻いていたタオルがズレかけ、ブツが見えそうになる。


「『ガスト』!」

私はすかさず濃霧魔法でそこにモザイクをかける。

そしてパサリとタオルが落ちる。

危ないところでした……。


しかし、本当に濃霧魔法は有能ですね。

お湯に使っても効果が持続するので決して見られません。

あははははっ、私は無敵だ!


「その霧みたいなのを引っ剥がしてやる!」

手をワキワキさせながら近づいてくるノヴァさんと両手を掴み合い、一進一退の攻防を演じる。


その騒ぎを聞き付けたのか、浴室内に入ってきた従業員らしき女性が申し訳なさそうに。

「あの……他のお客様の迷惑になりますので……」


──私はその場に居づらくなり、そそくさと湯から上がった。

そして更衣室でパジャマに着替え、コーヒー牛乳を買ってチビチビ飲みながら、ノヴァさんが上がってくるのを待っていた。

ノヴァさん、長風呂ですね。

女の人をこんなに待たせるなんて嫌われますよ。


私が椅子に座って待っていると、体から湯気を出しながらノヴァさんが歩いてきた。

「お待たせ」

「お待たせ、じゃないですよ。どれだけ人を待たせるんですか! 長風呂過ぎます!」

私が抗議するも。


「俺は風呂が好きなんだから仕方ないだろ……待て。お前、今朝俺を何時間も待たせたよな?」

私はプイと顔を逸らした。


そして早くその場を離れようと。

「さ、さ、適当にご飯でも食べましょう! 私、お腹がすきました!」

「別にいいけど奢れよ?」


──レストランで夜ご飯を食べ終えた私達は、街の入口近くに止めた馬車に戻り、そこで一晩を越すことにした。


「やっと二人きりになれたね」

「次変な事言ったら警察に突き出しますよ」

ノヴァさんがそんな気持ちの悪い事を言ってくる。

2人で寝ていたら、襲われるのではないでしょうか。


「ノヴァさん、いくら美少女が隣で寝ているからと言って、襲わないでくださいよ?」

「分かってる分かってる。フリだろ?」

「ちっとも分かってませんよ! 私、今日は宿屋で寝てきます!」


ノヴァさんの近くにいるだけで寒気がしてくるので、私は馬車を飛び下り、宿屋目指して暗い住宅街を駆けていった。

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