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革命の白魔術師  作者: みらい
オリジナル (リメイク版から読むことをオススメします)
3/28

依頼その2 邂逅の白魔術師

「畜生! 華奢な体してる癖にこの俺が押さえつけられるなんて!」

私は、私の着替えている所を目撃された、この黒髪の男を床に押さえつけていた。


見たところ、男の歳は私と同じくらい。

黒髪という事は闇属性使いですね。

「残念ながら、身体強化魔法を掛けているので負けませんよ!」

うつ伏せの男に乗ったまま、私は勝ち誇った顔で言った。

街中でランク2以上の魔法を使う事は許されていないが、身体強化魔法はランク1なので問題無い。


「分かった、許せ! アンタに依頼があって来たんだ!」


私に依頼があって来たという男から降り、男が息を整えてから口を開いた。

「俺は今、人探しをしているんだ」

その人探しを手伝えという事でしょうか。

その男は更に続ける。


「軍事大国ガルムニアで俺と探してるその親友は一緒に居たんだ。あ、因みにそいつは俺と同じ黒髪黒目の男だ。そいつとはぐれてしまってな。そいつが居ないと俺は困るんだ」

つまり別れてしまった友達を探していると。

そして、その人が居ないと困る……まさか、禁断の関係でしょうか!?


「つ、続きをお願いします!」

「近い近い! どうしてそんなに鼻息が荒いんだ!」

ついつい興奮してしまった私が正気を取り戻して離れたことを確認すると、再び男が話し始めた。


「ガルムニアで一年近く探したんだが全く見つからなかった。俺達が暮らしていた所にも全然戻ってこない。そこで、商業大国ブレキアの凄腕占い師の元に来て、相方の居場所を占ってもらおうと思ったんだ」

なるほど。

その男の人は親友であり、相棒であり、とても大事な人なのですね。


「でも、どうして私のところに?」

私が疑問に思って尋ねると、その男は幾分か驚いた顔で。


「この街の高名な、ナントカって言う占い師を知らないのか? ガルムニアやブレキアの普通の占い師達は見透す事が出来なかったから、その人に会いに来たんだが、知らないのか?」

「私この街に来たばかりでして……。というか、肝心なその占い師の名前くらい覚えていてくださいよ」


ここまでの話を聞いても、何故私のところに来たのか理解できない。

私の表情からそれを読み取ったのか、男が呆れた顔で言って来る。


「この街に来たばかりで知らないのは仕方ないが、高名な占い師に、この街に来たばかりの、何処の馬の骨とも知れない俺が占って貰えると思うか?」


私は少しの間考えて……。

「なるほど! 確かにあなた、変ですもんね!」

「お前って凄いよな。初対面の人に、面と向かって変とか言えるんだもんな」

初対面でパンツ見た人に言われても。


というか、この人もブレキアに来たばかりなんですね。

「つまり、その占い師に紹介して欲しいって事ですか?」

私は紅茶を淹れて椅子に座る男に差し出しながら聞いた。


「そうだ。その占い師に門前払いされ、途方に暮れていた所にアンタの噂を聞いてな。ぜひ依頼させて貰おうと思ったんだ」

なるほど、そういう事でしたか。


「アカデミーの秀才、このソフィー・テレジアにご依頼ですね! 承りました!」

初日から大盛況の何でも屋。

その占い師に紹介するだけでお金が貰えるなんて、なんて美味しい仕事でしょうか!


「料金はいくらだ?」

男が財布を取り出しながら聞いてきた。

「料金はお客様自身に決めて貰っています。お客様が払いたい額を受け取っています」

私も椅子に座り、微笑みながら答えた。


何でも屋だから細かい料金設定が出来ないため、止むを得ずこうしているのだが、高い報酬を望まない謙虚な美女と噂されているらしい。

ホントは違うんです。

お金欲しさに、幅広く活動できる何でも屋を開いたんです。

お客さん、ごめんなさい。

お陰で多くのお金が手に入りました。


「任意の額か……なら2万ネルでどうだ?」

「ブッ、ににに2万!?」

私は驚いたあまりに口に含んでいた紅茶を吐き出した。


「おまっ、汚ぇな! 浄化魔法使え!」

身体中に紅茶がかかった男が大きな声でそう叫ぶ。

世の中には、美女の口から紅茶を吹きかけて貰いたい人だって居るんですよ?

知りませんけど。


「『ピュリフィケーション』!」

男の服に浄化魔法をかけ、紅茶はただの水になった。

「クッソ、服がびしょ濡れじゃねぇか。おいクソビッチ、お前ん家のシャワー借りるぞ。ついでに今日はここに泊らせて貰う。宿を予約して無いん」

「お断りしまっす」

男が言い終わる前に私は頭を下げて断った。



その時、ドサリと机の上に何かが落ちる音がした。

私が顔を上げてそれを見ると、金貨が入っている袋があった。

「10万ネルだ。今日の宿代として」

「ありがとうございます2階の空いている部屋を1つお使いください晩御飯と着替えはは私が用意しますねそれと何か困った事があったら」


「分かった、もういい、もういいから!」

早口で説明する私の肩を押して椅子に座らした男が焦った顔でそう言った。


「そういえば、まだ名乗ってなかったな。俺はノヴァだ。歳は18。よろしく頼む」

真面目な顔で言ってくるシヴァに。


「私は、舎弟を手に入れた!」

「おいクソビッチちょっと表出ろ、ぶっ飛ばすぞ!」

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