依頼その17 作戦の白魔術師
「国王暗殺未遂事件、か……」
ノヴァさんがそう呟いて考え込む。
暗殺未遂……!
殺されていないだけまだいいですが、大事件じゃないですか……。
私は不安げなマリアを抱き寄せ、考え込むノヴァさんを見た。
「なあ……今の放送に、何かおかしな事は感じなかったか?」
顎に手を当てて考えていたノヴァさんが、顔を上げて聞いてきた。
「おかしな所は特に無かったと思いますよ?」
私はマリアと顔を見合わせながら答えた。
「なぜ五日後なんだ? もっと早くてもいいはずだ。その間に脱獄されたら堪らないだろう?」
ここ最近よく見る、真剣な顔でノヴァさんが言った。
確かに、五日も待たすのはおかしいかもしれませんね。
でも、この国では昔からそのくらい大雑把で、逃げられても魔法で何とかする、という思考ですし……。
ほかの街に行って初めて、マセントシアは少しおかしいと知ったくらいですし……。
「アイツが国王ならば、こんな大雑把な事はしない筈だ。もしかすると違ったのかもな……」
ノヴァさんはそう言うと、残念そうな顔をした。
「とりあえず、明日はアカデミーに行ってみましょう! それで国王に会ってみましょうよ!」
私はノヴァさんを励ますと、マリアを自室へと連れて行き、ベッドに潜った。
──マリアと一緒に寝てもらえず、1人で泣いて寝た次の日。
私達はアカデミーへと向かっていた。
「ねえマリア、なんで昨日はお姉ちゃんと寝てくれなかったんですか!?」
私の隣を歩くマリアに、未だ立ち直れない私は聞いた。
「俺と寝てたからだよ」
「違います! お姉様と一緒に寝るのが恥ずかしかったんです!」
ノヴァさんにちょっかいを出され、頬を膨らますマリア。
か、可愛い!
今日こそは一緒に寝ましょうね?
「やっほー! アカデミーに行くんでしょ? 私も一緒に行かせてよ!」
「巨乳ポニテか。いいぞ。女は多い方がいい」
「ノヴァさんは黙っててください!」
アカデミーへと歩いていると、エリスがやって来た。
「ところでエリスはどんな仕事してるの?」
私はふと気になって尋ねてみると。
「ん、んーと、まあ、あれかな! 一人でで働いてる感じかな!」
途端に汗を流し始めるエリス。
なんか怪しいですね……。
「おい巨乳ニート。アカデミーはどっちだ?」
「二、ニートじゃないもん!」
「ノヴァさん、女の子になんて事言うんですか!」
「お兄様は口が悪過ぎです!」
私達三人が言い寄るも、無視してスタスタと歩いていくノヴァさん。
昨日の真面目なノヴァさんはどこに行ったんですか……。
私達がアカデミーに着くと、学長が出迎えてくれた。
「久しぶりだな、ソフィーよ。っと、その黒髪の人は初めまして、私は学長のゼノンと申します」
学長がノヴァさんに挨拶をすると。
「おう、俺はノヴァだ。この3人の彼氏をやってる」
「なんですと!? 私と変わってください!」
「ノヴァさん、またそうやってデタラメを!」
「ノヴァ君と付き合うのは悪くないけど、浮気性だなぁ……」
「お兄様は女たらしですか!」
ノヴァさん、いい加減その嘘をつくのはやめてくださいよ……。
毎回ツッコむのも疲れるんですよ?
「それで、今日はどんな用件で?」
──私達はアカデミーの中に入り、学長と話をしていた。
「なるほど……ノヴァさんが国王に会いたい、と仰っている訳ですね?」
「そうみたいです。それで学長の力を借りれたらなと思いまして」
私が学長に説明している間、ノヴァさん達は私を放っておいて談笑している。
張本人のノヴァさんは、私のアカデミー時代の事をエリスに聞き出しているようだ。
「ソフィーは今はあんなのだけど、昔は凄かったんだよねぇ」
あんなのってなんですか。
「あいつはここでなんの勉強をしてたんだ? 豊胸魔法でも探してたのか?」
違うって前に言ったじゃないですか。
「お姉様の胸は小さくありません! 私と同じ大きさにしてくれてるんです!」
マリア……!
お姉ちゃん感激!
「男は大きい方が好きなんだ」
ノヴァさんにそう言われ、マリアが顔を暗くして落ち込む。
私の可愛い妹を傷つけたなんて許しませんよ!
「それじゃ、あいつはここでなんの研究をしてたんだ?」
再びノヴァさんがエリスに聞く。
「魔法抵抗だったかな? 抵抗力を下げたり上げたりとかね。因みに私は魅了や洗脳系だよ!」
「ソフィーが真面目に勉強してたなんてなぁ……今となっては信じられん」
そろそろ私、泣きますよ?
なぜこんなに悪口言われないといけないんですか?
「…………という訳で、明日またここに来るといい。今日のうちに国に伝えておくよ。作戦は考えておくから、しっかりと休んでおきな」
私の意識がノヴァさん達の方に向かっている間に、長々としていた学長の話が終わった。
しまった、全く聞いてませんでした!




