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革命の白魔術師  作者: みらい
オリジナル (リメイク版から読むことをオススメします)
10/28

依頼その9 小便の白魔術師

サバンナスプリンター。

それは、速く走る物に追走し、突撃してくるモンスター。

決して強くはないが、群れで行動するため危険なモンスターだ。

そんなスプリンターに、私達は追いかけ回されていた。


「ノヴァさん、どうにかしてください!」

「結界外への攻撃手段が無いのにどうしろってんだ!」

「魔法を使ってくださいよ!」

「だから魔法は不得手なんだよ!」

私達は慌てたよう叫び、スプリンターが結界に突撃するのを眺めていた。


ガタガタと音をたてながら揺れている馬車の結界に、次々と突撃しては倒れていくスプリンター。

結界のお陰で何割かは自滅してくれるとは思いますが……。


「支援魔法をかけるので、何とかしてください! 『パワード』!」

「しかし、効果は無かった」

「!?」

私の魔法はノヴァさんに効かなかった?


「申し訳ないけど、俺は魔法が不得手な代わりに魔法抵抗力がとんでもなく強いんだ。味方の支援魔法すら弾くほどにな」

…………。

「ノヴァさんは使えませんね!」

「スプリンターの前にお前を討伐してやろうか」

しかし、ノヴァさんに支援魔法をかけられないとなると、どうすれば……。


その間に、スプリンター達が結界にヒビを入れ始めた。

「ノヴァさん、そろそろ来ますよ!」

「おう、任しとけ! ……これでも喰らえ!」

ノヴァさんは、床に落ちていたホワスラの遺骸を手に取り投げつけた。

そんなばっちいもの、まだ残ってたんですね…………。


ホワスラの遺骸が直撃した2体のスプリンターは、地に倒れ込み遠く離れていった。

そして結界が破れた瞬間、ノヴァさんは鞘から刀身を抜き放ち構えた。

細身の長い剣を構えたノヴァさんは、突撃してくるスプリンターの首を切って捨てた。

これで残りは8体!


「ノヴァさん、結界が決壊しましたよ!」

「うるさい、黙れ!」

スプリンターの首を切り裂くながら、ノヴァさんが叫ぶ。

乙女に黙れとは酷くないですか?


「オラァ! はあ……はあ……これであと6体!」

「頑張れっ、頑張れっ!」

「次に茶々を入れたら漏らさせるからな?」


私が顔を青ざめさせている間にも、ノヴァさんが着々とスプリンターを倒していく。

ノヴァさん、以外と剣の扱いが上手いんですね。


「ソフィー、街まで後どのくらいで……って、前、前! 前見ろ!」

ノヴァさんが必死の形相で前方を指さすので、私も首を回して見てみると。


この馬車は猛スピードで池へと向かっていた。


「あっ、ヤバいです! このままでは池に突入してしまいます! でも大丈夫です! まだ前方には結界がありますから!」

「お前ふざけんなよ! 池の中で漏らすつもりか!?」

ノヴァさんがまたセクハラじみた事を言ってくるが……それも悪くないですね。

そろそろ限界ですし。


「さあ、ノヴァさん! しっかりと掴まってて下さいよ!!」

馬車は勢いよく池に突入した!


「──で、どうしましょうか?」

「お前が決めろよ。お前のせいだからな?」

私達は今、池の中で浮かぶ島の上にいた。


四方を水に囲まれ、スプリンター達は追いかけることも出来ずにただこちらを見つめている。

それもそのはず、この池はかなり広く深いのです。

なんとか馬車が島まで走ってくれて助かりました。

途中で沈んでいたら……と思うとゾッとしますね。


「あ、私、少しお花を摘んできますね」

「お前……まじでここですんの?」

ノヴァさんが呆れた顔で見てくるも、それを背中で受けながら私は湖の中に浸かっていった。


「──ふう、スッキリしました」

「お前って本当に凄いヤツだよ」

用を足し終えた私は、ノヴァさんの元に戻ってこれからどうするべきかと頭を悩ましていた。


「なあスケパン黒魔術師、そろそろ魔力は回復したんじゃねぇの? ここからスプリンターを倒してくれよ」

私は馬車の中に戻り、慌てて仕切り用のカーテンを閉めた。


「着替えるので覗かないでくださいね!!」

「おう。黒が好きなソフィーたんよ」

後でこの池に沈めて帰りましょうか。


──換えの服にに着替えた私は、池の向こうから見つめているスプリンター達に魔法を放った。

「『クリムゾン・インフェルノ』!」

数体のスプリンターを業火が襲い、炎が止んだ時には黒焦げになっていた。

ついでに体も暖めれて一石二鳥ですね。


「なあスケスケ魔術師、魔法で外まで池を埋めれない?」

「ちゃんと名前で呼んでくれたら、やらない事もないですよ」


「『クリスタル・ブリザード』!」

池を勝手に埋めると怒られそうなので、表面を氷結させ、そこを通って池の外に戻る事にした。


ゆっくりと馬車を走らせながら、ノヴァさんがポツリと口を開く。

「なあ……お前に謝らなきゃならない事があるんだ……許してくれるか?」


「内容次第では池に沈めますよ」

気だるく重たい体を横にしながら、私は答えた。


「たいした事じゃ無いんだが……お前が池で用を足す前、俺もあそこで用を足したんだ……ゴメンな?」

……………………。


「『クリムゾン・インフェ』……」

「嘘だって、冗談だ! 許せ! ……許してくださいソフィー様!」

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