プロローグ
お久しぶりです。暁海洋介です。今回、昨日まで開催しておりましたコミックマーケット95で先行頒布しておりました異世界転移モノを公開いたします。本作品シリーズはなろうにて基本的には公開し、一定話数ごとにまとめ本としてコミックマーケットに頒布して行く形で参ります。これからコミックマーケット分を加筆・修正して連日投稿して行きます。新春初読みとでも題してゆっくり楽しんでくださいませ。
突然の光。いきなり日本列島を強烈な光が包んだ。激しい揺れが全国を襲った。永遠とも思えるようなその衝撃はやがて収まり、静寂とともに闇がやってきた。あの日のことを記録した人たちの文にはどれもそう書いてあった。
世界が終わりを告げるそんな日だとさえ書いた者もいた。一瞬で意識を刈り取られるような強い光と衝撃の後、五体満足でいるのが奇跡とも思える状態で次には再びまぶしい光が降り注ぎ、蒼い空が戻ってくる。人々はそれを自然に喜びながらも混乱する。恐怖が落ち着けば次には親しい人の無事を確認したくなる。それが人情というものだ。
その過程でさらなる混乱がやってくる。海外との連絡途絶である。衛星機器の反応が無く、さらにホットラインが物理的に切断されたかのような状態で大は各大使館や在日米軍、小は衛星放送やインターネットを楽しんでいる家庭とあちこちでパニックになる。放送局やら通信会社に家電量販店。
あちこちでクレームに怒号にと対応に迫られるが、怒られ、詰られている方も何が何だかさっぱり見当がつかないのでどうにもならない。中には混乱が発展して暴動にまでなってしまっているところもあり、手がつけられない状態のところもある。
「国民の皆さま。首相の中田でございます。このたびの事態に対し、政府はさる筋より、極めて非現実的ではありますが、異世界に国土丸ごと転移してしまったと結論付けることを決めました。国民の皆様におかれましては不要不急の外出を避けていただき――」
治安の悪化も酷い中、ついに政府から信じられない発表が飛び込み、国民は我慢の限界に達した。だが、これは転移災害と呼ばれる長い長い日本の苦難の始まりに過ぎなかった。
いかがでしょうか。まずはプロローグ。以前、連載し、現在は休止中の異世界日本奮闘記ですが、続ける意思はあるのですが、どうも気乗りしないので、「新しい年に新しい話を」と考え、同作をベースに新たに本作をスタートさせることにいたしました。この後の公開スケジュールは明日朝に第一話を投稿予定です。感想など受け付けてまいりますが、本作のコミックマーケット分は原則誤字の修正のみ行ってなるべく原文ママで進めていますのであらかじめご了承ください。それでは新たな年の新たな作品。よろしくお願いします。