いじめっ娘と僕の過去
放課後の教室。僕は理沙に告白されたが遠回しに断った。理由は単純に好きじゃないから。
彼女も最初は納得していたが、アプローチが徐々に激しくなり、次第には理沙はあたかも僕の彼女のように振る舞い、周りも味方に付けるようになった。
完全に外堀を埋められたのだ。しかも、彼女は僕と違い、人気があった。
白髪のショートヘアーに、透き通るような白い肌。目元もキリッとしていて、まるで僕達一般人にとってはアイドルのような存在だった。それに親は知事と言うこともあり、かなりのお嬢様である。
そんな彼女に告白されたのである。普通の人はそれこそ泣いて喜ぶくらい凄いレベルだ。
しかし、好きではないという理由だけで、僕は断ったのである。勿論、彼女は驚いたが、その日は理由をきちんと説明し納得して貰えた。
しかし、次の日…。
悠希『おはよー!みん…』
教室を開け、僕は挨拶しようとした。しかし、教室を開けた瞬間、異様な空気が僕を襲う。
前日まではあんなに賑やかだったクラスが、まるでお通夜のように誰も一言も喋らず、その中央には、ニヤニヤと笑う櫻井 理沙の姿があった。
何があったのだろうか?僕は不思議に思いながらも、自分の席に着こうとした。
悠希『え?』
僕の机が明らかに可笑しい。机には彫刻刀のようなもので僕の机には、僕と櫻井の名前が机一面に掘ってあった。
な、何だこれ!?思わず、吐き気を起こしたが、何とか気持ちを押さえた。
きっと櫻井の仕業だろう…。昨日僕が彼女と付き合わないと言ったからだ。
しかし、周りの皆はそれをまるで何事もないかのようにまだホームルームさえ鳴っていないのに、自分の席に着いていた。
理沙「ふひっ…。ゆっきーはやっぱり可愛いなー。その困った顔すら可愛いよ!食べちゃいたいくらい」
悠希『ひっ…!』
僕は思わず彼女の発言に椅子ごと真後ろに倒れる。
後頭部を思いきり強打したが、今はその痛みよりも彼女の恐怖の方がヤバい。
取り敢えず逃げるか?いや、逃げると言ってもどこに?校門はすでに閉まっているし、警備員に止められる。壁から逃げようとしても壁は有刺鉄線で逃亡出来ないようになっている。
まさに万事休す。逃げ道はなくなってしまった。
理沙「ゆっきー。私からは逃げられないよ?仮に逃げたとしても、すぐに見つけてあげる。何処に逃げてもね?」
その日からだった。彼女が可笑しくなってしまったのは…。
挨拶をしても誰も見向きもせず、僕には近寄ろうともしない。
それもそのはず、もし僕に味方するような人が居れば、櫻井が敵と見なし、僕と同じかそれ以上のいじめを受けることになる。
まあ、一人には慣れていたし、別に困りはしないから良かった…。
しかし、それが気に食わないのが、櫻井のいじめはどんどんエスカレートしていき、しまいには僕の従妹までも目をつけて来た。
従妹はどちらかと言うと繊細で、泣き虫な所もあり、櫻井は従妹に手を出さない代わりに僕と付き合うことを提案して来た。
しかし、僕はその条件を断った。
その次の日、従妹は事故にあった。階段から足を滑らしたらしい。
僕は、櫻井の仕業だと思い、彼女を問い詰めると案の定彼女の仕業だった。
幸い、従妹の怪我は軽傷だったが、これ以上エスカレートしていくと従妹の身が心配だ。
僕は従妹に手を出さない条件に櫻井を彼女にする条件をのんだ。