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最弱魔法の錬金術(アルケミー)  作者: 〆鯖太朗
プロローグ
3/11

第2話 俺は今日、二度目の死を体験するかもしれない

書き直し第三弾

あれからどれだけの時間が経ったのだろう。

体感的には一週間と言ったところか。

ここのところ俺をずっと苦しめているのは、位置が変わらない太陽と延々とループするこの森。

それに、ずっと食事を摂っていないため頭が働いていない。

「あんなところに旨そうな肉が・・・・」

時間の感覚が狂い、方向の感覚が狂い、ついには頭も狂い始めてきたようだ。

そこにはあるはずの無い肉が俺には見えている。

これが幻覚であることは重々承知しているが、今極限状態に陥っている俺には一筋の希望に見えていたのだ。

俺は必死になってそこまで走った。

途中何度も転びながらも一心不乱に走り続ける。

そしてそれに近づき手を伸ばそうとした瞬間、俺は現実に引き戻された。

「何してんだろ、俺。」

やはり幻覚だった。

分かってはいたが、虚しさがどっと押し寄せてくる。

目の前にあった旨そうな肉は消え、そこはかとない寂寥感だけが残ったその時、

「うっ」

意識が混濁を始めた。耳鳴りがし、視界がぼやける。

空腹に脱水。

俺は体に力が入らず倒れこんだ。

「くっ。」

これは以前にも体験したことのある感覚。

______『死』の予感。

電車に轢かれた時の俺は何とも思わなかった・・・・

いや、そうじゃないな。

絶対に死んでやるという目的があり、そこには強い意思があった。

意思があれば、その通りに動くのが人間ってやつだ。

しかし、今度は違う。

俺は今、必死に生にしがみつこうとしている。

これが人間、引いては生物の本来あるべき姿なのかもしれない。

飢えれば口にものを入れたくなるし、喉が乾けば水を飲む。

生存本能とはまさにこの事を言うのか、と俺は身をもって経験した。

まぁここで死んでしまえば、そんな経験なんて意味の無いものになるのだが。

「とりあえず大ピンチなのは分かってる。けど、どうしようもねぇよな。こんな状況。」

まさに絶体絶命。

助けは来ない、と思う。

根拠としては、俺がここに来てからずっと人と会っていない。というところだな。

全くもって人気がない上に水も食糧もなく、こんな状況になるのは薄々気づいてはいたのだが、

どうしようもない。

逆にこの状況下で打開策が取れるほどの頭があれば、

そもそもこんな状況に陥ってはいないだろう。

ともあれ、俺の意識は遠退くばかり。

手も足も出ない俺は、自分の死を確信しゆっくりとまぶたを閉じていく。

「・・・・っと、だい・・・・で・・か!?」

______そこに誰かいるのか?

俺は薄れる意識のなか、誰とも知らない声に耳を傾けていた。

ここは是非とも助けにあやかりたいところだが、体が言うことを聞いてくれない。

「・・ょっと!ねぇってば!」

朦朧としていた俺の意識はそこで途切れてしまった。

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