第2話 俺は今日、二度目の死を体験するかもしれない
書き直し第三弾
あれからどれだけの時間が経ったのだろう。
体感的には一週間と言ったところか。
ここのところ俺をずっと苦しめているのは、位置が変わらない太陽と延々とループするこの森。
それに、ずっと食事を摂っていないため頭が働いていない。
「あんなところに旨そうな肉が・・・・」
時間の感覚が狂い、方向の感覚が狂い、ついには頭も狂い始めてきたようだ。
そこにはあるはずの無い肉が俺には見えている。
これが幻覚であることは重々承知しているが、今極限状態に陥っている俺には一筋の希望に見えていたのだ。
俺は必死になってそこまで走った。
途中何度も転びながらも一心不乱に走り続ける。
そしてそれに近づき手を伸ばそうとした瞬間、俺は現実に引き戻された。
「何してんだろ、俺。」
やはり幻覚だった。
分かってはいたが、虚しさがどっと押し寄せてくる。
目の前にあった旨そうな肉は消え、そこはかとない寂寥感だけが残ったその時、
「うっ」
意識が混濁を始めた。耳鳴りがし、視界がぼやける。
空腹に脱水。
俺は体に力が入らず倒れこんだ。
「くっ。」
これは以前にも体験したことのある感覚。
______『死』の予感。
電車に轢かれた時の俺は何とも思わなかった・・・・
いや、そうじゃないな。
絶対に死んでやるという目的があり、そこには強い意思があった。
意思があれば、その通りに動くのが人間ってやつだ。
しかし、今度は違う。
俺は今、必死に生にしがみつこうとしている。
これが人間、引いては生物の本来あるべき姿なのかもしれない。
飢えれば口にものを入れたくなるし、喉が乾けば水を飲む。
生存本能とはまさにこの事を言うのか、と俺は身をもって経験した。
まぁここで死んでしまえば、そんな経験なんて意味の無いものになるのだが。
「とりあえず大ピンチなのは分かってる。けど、どうしようもねぇよな。こんな状況。」
まさに絶体絶命。
助けは来ない、と思う。
根拠としては、俺がここに来てからずっと人と会っていない。というところだな。
全くもって人気がない上に水も食糧もなく、こんな状況になるのは薄々気づいてはいたのだが、
どうしようもない。
逆にこの状況下で打開策が取れるほどの頭があれば、
そもそもこんな状況に陥ってはいないだろう。
ともあれ、俺の意識は遠退くばかり。
手も足も出ない俺は、自分の死を確信しゆっくりとまぶたを閉じていく。
「・・・・っと、だい・・・・で・・か!?」
______そこに誰かいるのか?
俺は薄れる意識のなか、誰とも知らない声に耳を傾けていた。
ここは是非とも助けにあやかりたいところだが、体が言うことを聞いてくれない。
「・・ょっと!ねぇってば!」
朦朧としていた俺の意識はそこで途切れてしまった。




