第1話 ここは・・・・えっと、どこ?
書き直し第二弾
そうして電車に轢かれて死んだらしい俺は、目を開けると知らない場所で倒れていた、
と言うわけなのだが・・・・
「ここって・・・・」
辺りを見渡してみればひたすらに生い茂る木々が目に映る。
足元には湿った土と、水気を含むコケで構成された地面が広がっている。
どうやらここは山の中らしい。
木々の隙間から顔を覗かせる太陽が俺の頭上に位置していることから昼間だと分かる。
「確か俺、電車に轢かれたはずなんだけど。」
それに時間が経過している。
電車に轢かれた時点では夕方だった。
もし奇跡的に助かってこの時間帯まで眠っていたにしても、こんな場所にいるのはどう考えてみてもおかしい。
普通なら死にそうになってるやつを病院まで運ぶと思うのだが。
そもそもなぜ、電車に跳ねられて生きているのかが不思議でたまらない。
グチャグチャになったはずの体も元の状態に戻っている・・・・
あれやこれやと色々な情報が頭の中を行き来しているせいで、どうにも考えが纏まらない。
「わっかんねぇ!!」
とりあえず、今わかっていることといえばこれだ。
・電車に跳ねられたがなぜか生きている俺。
・目を開けると知らない場所(というか山の中)にいた。
・分からないことがわかっているという状況。
うん、全くもって理解できない。
「んんーーーーー。頭使ったら喉乾いた!」
水が飲みたい。
そうは思っても目の前に出てくるはずもなく。
とはいえ、このままここに留まっていても状況が良くなることはまずない。
ここが山なら何処かに川が流れているはずだ。
「ひとまずは水の確保が優先だな。飲んで頭を冷やすか。」
俺は水を探すためその場を離れた。
「おいおい、マジかよ・・・・」
どこを探しても、どんなに歩き回っても景色は変わらないし、川も見つからない。
果てしなく続く砂漠を歩いているかのような気分だ。
俺は発狂しそうになる気持ちを押さえ、心を落ち着ける。
「迷ったときのために木に印をつけて歩くか。」
近くに落ちていた石で、通った場所にあった木へ傷をつけていく。
サバイバルではよく用いられる手法だ。
何もない以上、こういった工夫は必要であろう。
そして俺はまた歩みを進める。
「あれっ?」
ずっと真っ直ぐ進んできたはずなのだが、どうしてかこの木には俺のつけた印がついている。
迷わないように曲がったりはしなかったため、一周してきたということもない。
つまり、ここから導き出される答えは・・・・
「ループしてるよな、これ。」
それなら果てしなく感じていたこの道のことも合点が行く。
そもそも終わりがなかったのだから気は遠くなるばかりだろう。
だったらどうする?
喉の乾きを潤すものはない。歩き回るうちに空いた腹を埋めるものもない。
「つ、詰んだ・・・・」




