第1章 9話~~試合~~
久しぶりに書いたらやっぱり楽しいww
ついに試合の日になった。
朝起きて、いつものように咲と鍛錬をし、いつものように登校した。
学園に着くと、いつもは早く来ないリディーが珍しく修達よりも早く着いていた。
今日のリディーは昨日とは少しだけ雰囲気が違うような気がしたのだが、変わったところは何もなかったため気のせいなのだろう。
そんなことを思っていると、リディーが修と咲のところに近づいて来た。
「今日は楽しみにしてるぞ、立花。すぐにくたばっちまうなんて言うつまらない落ちにはならないようにしてくれよ?」
「逆に自分が簡単にくたばらないように気を付けてた方がいいんじゃないのか?」
リディーが笑いながら修を煽ってきたが、修も冷静にリディ―を煽り返した。
正直なところ、昨日のリディ―の魔法で痛めた手のことを考えると、今言ったような簡単に倒してしまうということはできそうにない。
それどころか、ちゃんと試合に勝てるのかも心配になってきていた。
リディ―トどういう風に戦うのかを考えていると、いつの間にか先生が教室に入ってきていて、朝のホームルームが始まっていた。
「おはよう。今日はクラス内試合の日だ。せいぜい私を楽しませてくれることを期待している。ルールについてはこの後に説明するからよく聞いとくように」
それだけ言うと、さっさと教室を出て行ってしまった。
あの先生は、気づかないうちに現れたり消えたりする神出鬼没な人だった。
先生が出ていったあと、クラス全員が試合会場である中央闘技場まで移動し始める。
中央闘技場は学園にあるいくつかの闘技場の中で1番大きく、剣舞祭でも使われるこの学園の代表的な建物だ。
中央闘技場は学園の大きなイベントがあるとき以外は使うことができないはずなのに、たかが一クラスの小さなイベントで使えるということは、ねる先生が学園側に申請を出したということだろう。
あの人はどのくらいの力を持っているのだろうか。
そんな事を考えながら歩いていると、中央闘技場が少しずつ見えてきた。
「修、大丈夫?」
「ん?あぁ、大丈夫だと思う。咲も大丈夫か?」
「私はちょっと緊張してる」
咲の実力はかなりのもので、クラス内でも上の方にいる事は間違いないだろうが、緊張してしまうとちょっとした隙ができてしまうかもしれない。
「咲なら大丈夫だよ。試合を楽しめば心配することはなんにもないと思う」
咲の緊張をほぐすためちょっとした事を言った。
「そうだね。試合を楽しむことに専念することにする!」
修がかけた言葉は咲の中でしっかり残ったようだった。
二人が中央闘技場につく頃にはクラス全員が集まっていた。
クラスの人たちが集まっているところに行くと、先生が立っていた。
「全員集まったな。それじゃあ今回の試合のルールを説明する。今回は基本剣舞祭と同じルールで、相手を戦闘不能にするか、降参させれば試合終了だ。まぁ今回はお前らの実力を見るだけだから気軽にやってくれ」
話を終えると先生は上の観客席に向かっていった。
修の試合は一番最後で、咲の試合は修の1試合前なので一度観客席に上る。
「それでは、クラス内試合始め!」
この先生の一言を合図に、第一試合が開始した。
第一試合が始まってから、しばらくしてクラスの半分ぐらいが試合を終えた。
人によって使う武器や立ち回り、攻め方などが様々で、試合を見ていてかなり楽しめた。
そして気が付くと咲の試合の番が回ってきて、咲は闘技場に移動していた。
(もう咲の番か)
咲の対戦相手の武器は見たところライフルのような武器だった。
それに対して咲の武器は刀、相性としては最悪と言っていいだろう。
だが修は心配は一切していなかった。
多少苦戦はするだろうが咲のスピードなら確実に勝てるだろうと信用していたからだ。
スピードだけならこのクラスに咲以上のスピードを出せるやつがいるとは思えない。
相手が遠距離武器だとしても自慢のスピードで得意距離に入りさえすれば、あっという間に咲が敵を倒すだろう。
そして、ついに咲の試合が始まった。
開始と同時に相手から、かなりの量の弾幕が飛んできたが、この広い会場を活用して丁寧に避けて相手の隙を窺う。
だが、想像していたよりも相手がなかなか隙を見せない相手だったため、徐々に体力を削られ始めていた。
(このままじゃ、こっちの体力が持たない...)
相手の弾幕の中、咲の攻撃の間合いまで近づくのは、相手も咲が近づけないような立ち回りをしてるのもあり簡単なことではない。
(あれしかないかなぁ...)
咲は一度相手から距離を取りつつ魔法を形成させてみるが、そこを相手も見逃すわけもなく咲との距離を詰めて魔法を形成させないように圧力をかけてくる。
魔法を形成することにはある程度の集中力が必要になってくる。
敵の攻撃を避けながら形成するのはある程度の技術がないとできないため、咲も何とか集中するため距離を取ろうと何度も試みるのだが、相手もそれをさせないために何度でも攻撃をし続け魔法を形成する時間を咲に与えない。
「あいつ魔法主体で戦う相手の対処法が完璧だな」
修は咲の対戦相手の戦い方を見て感心していた。
当然、咲に勝ってほしいのだが相手の戦い方がなかなかに上手かったので咲にとっていい対戦相手になるだろうと思ったのだろう。
「咲はこんなことであわてるやつじゃないからなんてことなく対処するだろうけどな」
(さぁ、めんどくさいことになったけどどうしようかな)
修の考え通りに咲は慌てることはなく冷静に次の行動を考えていた。
魔法を構築しようとしても、相手はそれをさせないように攻撃を仕掛けてくる。
かといって、そのまま攻めるにはあまりにも無理がある。
何かしら対策を考えないといけないのだが、考えている間にも少しずつ体力を削られていっている。
(仕方ないか…)
あまり手の内を見せたくない状況ではあるのだが、ここで負けるよりかはマシだろう判断し、咲は少しだけ手の内を晒すことにした。
咲は今取っている間合いの倍くらいの距離を離すと、1度刀をしまい、言葉を綴り始める。
「ここに綴る」
今までは魔法を構築するだけだったのだが、それ以上に素早く魔法を発動するための手段の一つとして咲は、言霊というのを使っている。
言霊というのは、言葉に宿るとされている霊力で、それを媒体としてを強化し安定性を強化し、通常よりも早くそして強力な魔法を詠唱することができる。
「我、水神の巫女なり。我が体を依り代とし、その美しき水を我に与えたまえ」
咲は昔から言霊を利用して魔法を詠唱することが得意だったので、そこをしっかりと鍛錬していたのだろう。
昔、修と一緒にいたころと比べると段違いで安定性が増し、かなり強力な技になっていることだろう。
言霊で魔法を展開した咲は、水の衣のようなものを纏いながらゆっくりと歩きながら敵との距離を詰めていく。
当然攻撃は続いているのだが、水の衣のようなものが相手の攻撃を受け流しているため、咲の体までは届いていないようだ。
そしてある程度相手との距離を詰めた後、咲は一気に加速した。
以前、修に見せた技と同じものだ。
咲の加速魔法はかなりの物のため、たいていの相手には咲を追うことは不可能だろう。
少なくともこのクラスには修を除いて、あのリディーが追えるかどうかだろう。
その圧倒的なスピードで相手に近づき、相手の喉元に刀の切先を当てた。
「降参だ」
流石に懐に潜られてしまっては勝ち目がないことは相手も分かったらしく、降参してくれた。
結果的には少し手の内をさらしてしまったが勝つことができたので、よかった方だろう。
試合が終わった後、修は咲のもとへと向かうと称賛の言葉をかけた。
「お疲れ様、なかなか見てて楽しい試合だったよ。あの技完成したんだね」
咲が先ほど使った技は、昔から練習していた技で修と別れた後完成したらしい。
「あの技は“水神の羽衣”って言って、相手の飛び道具を受け流す水の結界を体の周りに纏う技なの」
「なかなか面白い技なんだな」
こんな感じでしばらく会話が続いていたが、ついに修の試合の時間が近づいてきた。
「じゃあそろそろ時間だから行ってくるわ」
「頑張ってね」
咲からの声援ももらい気合も十分な修は控室へと進んでいった。
試合まであと十分、修は集中力を高めるために瞑想していた。
この試合ではまだ魔法を使いたくはないのだが、魔法を使わないであのリディ―に勝つとなると単純に相手の魔法を含めた実力を、ただの剣術だけで勝たないといけないということなのだが、そんなことが可能なのか...
そんなこんな考えていたら試合の開始時刻になっていた。
修は闘技場へと入場をしながらもリディ―とどう戦うのか悩み続けていた。
闘技場の中央でリディ―と対面する。
「よぉ、楽しい試合になることを心から願ってるぜ」
「俺もそうなることを願うよ」
お互いに一言ずつ声を掛け合った後距離を取り、試合の開始位置についた。
お互いに武器を抜き、戦闘態勢に入る。
リディ―は大きめのバトルアックス、修は白雨を構え先生の開始の合図を待つ。
闘技場にはクラス勢員はもちろん、ちょうど昼休みの時間ということもあったため別のクラスの人や上級生の人、先生までこの試合を見に来ていた。
そんな人が集まっている会場だったが、二人が構えた瞬間に会場全体が静まり返った。
「それでは、最終試合はじめ!」
会場全体に緊張が走っている中、先生の試合開始の合図が響いた。
つぎはいつかな?w