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闇魔法士の契約  作者: るりり
7/10

第1章 7話〜〜目的〜〜

久しぶりの更新でげそ

 

  ガチャ


 修と咲は鍛冶場を出たあとまっすぐ部屋まで帰ってきたのだが、修が何やら考え事に集中していたため、帰る道は辺りが暗くなってきているのもあるのだろうが、いつもより静かに感じた。


「咲、俺は晩飯の準備をしてるからその間にお風呂に行って来ていいよ」


「本当?じゃあお言葉に甘えて先に入るわねー」


 そこまで時間は経っていないはずなのに咲は数ヶ月ぶりに、修の声を聞いたような感覚になりながらも風呂へと向かった。

 その間に修はご飯の準備に取り掛かった。


「さっき先生が言っていた話だと、夜宵姉の闇魔力を白雨が吸い取ったって事になるのか?」


 フォグ先生から聞いた話では、闇魔法士である夜宵のオーラのようなものを修の母、舞花が白雨を使って吸い取ったという現象が起きたという事だった。

 その現象は舞花の力だったのか、もしくは白雨の特殊な力によるものだったのか。

 もし白雨の力だとすると、この刀は特別な何かなのかもしれない。


「俺はこの刀を使ってもいいのか?」


 修には、白雨を使うことに疑問と責任のようなものを抱いた。

 白雨の本当の力を自分が引き出すことができ、さらにそれを使いこなすことが出来るのか。

 考えれば考えるだけ不安が増えてゆく。

 1度このことを考えることをやめ、夕飯を机に並べ始める。


「今たくさん考えても無駄だ」


 あっという間に夕飯の支度が終わり、あとは咲が来るのを待つだけなのだがその必要はなかったらしく、ちょうどお風呂から上がったようだった。

 風呂場の扉が開き、寝巻きに着替えた咲が出てくる。


「ご飯の準備ありがとね」


 二人が机の前に座りご飯を食べ始める。


「明日から授業が始まるんだよな?」


「そうだよ、そのあと休みを挟んで試合がだね」


 試合、修は白雨のことよりも前にこっちのことを心配しなくてはいけなかった。

 バルドはどんな戦い方をしてくるのか全く分からない相手だ。気を抜いていては勝てるものも勝てなくなってしまうだろう。


「あのリディー・バルドって人と戦わなきゃいけないんでしょ?」


「そういうことになっちゃったな」


 咲は、バルドとの論争については全く触れてこなかった。修としてはとても助かっているのだが、やはり咲は心配してくれているのだろうと感じた。


「相手のことがわからない以上、その時の状況判断力が大事になってくるな」


「何か作戦的なのは考えてないの?」


 魔法士の戦いにおいて自分の特性に合った作戦や戦術があったほうが有利に戦いを進めることができるのだが、相手のペースに取り込まれてしまうとなかなか対処するのが厳しくなっていってしまう。

 だからなるべく相手の戦い方などを分かっていればいいのだが、今回戦う相手は今まで一度もあったことなく、さらにどんな特性の持ち主なのかもわからない相手と戦うことになる。


「特に何も考えてないんだよな」


「それって大丈夫なの?...」


 並べられた夕食を少しづつ食べながら、そんな話をしていく。


「強いて言うのなら、あまり手の内を見せたくないってことかな」


(というか、見せてはいけないんだけどな…)


 内心では、そう呟く。

 手の内を見せたくないのも本当のことだが、いくら信用している咲でもこの事についての話をしたいとは思わない。

 できれば誰にも知られなければいいのだが…


「どうして手の内を見せたくないの?」


 素朴な疑問が帰ってくる。

 答えは単純だった。


「俺は“剣舞祭ミスティアス”に優勝するのが目的でこの学園に入ったんだ。だからそれまでに技を見せて目立ってしまうと優勝しにくくなっちまう」


 さっきもフォグ先生の話にも出てきていた剣舞祭で優勝すると、一つだけ願い事をかなえてくれるといわれている。

 修にはある願いがあり、それをかなえるためにこの剣舞祭に優勝しなければならない。

 そのためには、今この時点で手の内をさらしておくわけにはいかないのだ。


「修も剣舞祭のためにこの学園に…」


 咲が少し落ち込んだようにそう言った。


「ということは、咲も何か願い事があるのか…」


「まぁね、教えるわけにはいかないんだけど」


 咲も自分の願いをかなえるためにこの学園に入ったらしい。

 そうなると、剣舞祭の時いつか咲と修が戦うことになるということなのだ。


「とにかく俺は、必ず優勝して叶えないといけない願いがあるんだ。だから何としてでも変に不利になるようなことは避けておきたいってわけ」


「私も叶えたい願いがあるから、もし修と戦うことになっても勝ちを譲る気はないよ」


 お互いに優勝しないといけない理由があるらしく、いつか二人が必ず戦うことになるのは二人ともわかっていた。


「その時は全力で文句なしの戦いをしようぜ」


「私も少しは腕を上げたんだから覚悟しておいてよね!」


 二人は遠慮したりする様子はなく、逆にとても楽しみにしているような感じだった。

 そんな話をしているうちに、ご飯は食べ終わりあっという間に夜中が迫ってきていた。


「それじゃあ、おやすみ」


「おやすみ~」


 二人はベッドへ入り、次の日のため眠りについた。

 咲は、また朝早くに修が鍛錬に行くだろうと思い、少し早めに起きて修の鍛錬に参加しようと考えながら、眠りについた。



 次の日、咲は昨日修が起きた5時の30分前に起きて、鍛錬の準備をしていた。

 簡単な朝食のサンドイッチと飲み物、タオルなどの用意が終わる頃、ちょうど修が起きてきた。


「やっぱりこの時間から鍛錬をしてるんだね。私も今日から参加してもいいかな?」


 朝早くから鍛錬をしたりするところは昔からあんまり変わっていなくて、少し可笑しくなり笑いながら起きたばかりの修にそう言った。


「あぁ、うん。わかった…えっ?」


 完全に寝ぼけていた修は、咲がなんと言ったか理解する前に返事をしてしまいしばらくしたあと、とても驚いた。

 急いで止めようとするが既に遅く、咲は玄関の扉を出た後だった。


「あ…」


 修は諦めて服を着替えると、咲の後を追うように外へ出ていった。

 扉を出たすぐ横に先に出ていたはずの咲が、壁に寄りかかって立って待っていた。


「遅いよ」


「ほんとにやるのか?」


 修は念を押すようにそう言うのだが、咲は当たり前でしょと即答してきた。

 こういうときに咲は何を言っても食い下がらないため、こうなることはわかっていた。


「まぁ、咲が参加してくれるなら試合形式で練習できるしいいか」


「修と試合かぁ、ひさしぶりだね」


 二人は、昨日と同じ空き地まで移動した。

 空き地につくとまずは準備運動をし、少し体を温めるためにランニングもした。

 そして、ある程度体が温まるといよいよ対人練習の試合を始めることにした。


「じゃあ、対人練習をしたいんだけど、どうしようか…」


「どうしようかって?」


「単純な実力勝負にするか、魔法を絡めた勝負にするかってことかな」


 対人練習とは言ってもルール次第では色々な戦い方を選択できるためある程度の条件を決めておきたいようだ。


「咲はどっちがいい?魔法ありか、なしか」


「私はありの方がいいかな」


 修は咲に選択を任せ、結果魔法ありでやることになった。


「じゃあ、ルールは魔法ありで相手に刀を当てるか、降参させるかってことでいい?」


「あ、うん。それでいいよ」


 咲が修が決めるよりも先にルールを決めてしまって、驚いた修だが、基本的なルールのため修が決めていたとしても、結局同じような内容になっていただろう。


「それじゃあ、やろうか」


 2人はある程度の距離に離れ、向かい合って立った。

 そしてお互いに一礼をし、刀を構える。

 その後、お互いの刀の切っ先を当てる。

 これが2人で鍛錬している時の開始の合図だ。

 切っ先が触れた瞬間、2人はさっき立っていた間合いの倍以上の距離をとった。

 そして、咲が魔法の構築を始める。

 構築を始めると魔法効果範囲に魔法陣のようなものが出現し、美しい青色の光を発している。

 この光は、相手の魔法属性を見極めるのに大事な要素なのだが、大抵の人は出現しないように魔法を構築する。

 だが、咲は魔法陣をあえて見せているようだった。


「やっぱり、咲の魔法は綺麗だな。つい見入っちゃうよ」


「ふふっ、ありがとう」


 少し照れながら返事をする咲は、魔法の構築があっという間に終わっていた。

 修の方は、さっきから見ているだけで魔法を構築し始める様子は全くなかった。


「修も早く構築したら?」


「俺はあんまり魔法は使いたくないんだ」


「あ、そう。ケガしても知らないからねっ!」


 そう言うと完全に準備が整った咲は、魔法を構築しないと言う修に一気に近づき、刀を当てた。

 はずなのだが、当たった感触は修の刀に受け止められた時の感触だったらしく、咲の攻撃は修に完全に止められていた。

 普通であれば魔法を構築している相手の攻撃を生身で受け止めた場合、受け止めた武器は粉砕するはずなのだが、修は刀は粉砕するどころか傷一つ付かず、咲の攻撃を受け止めたのだ。

なんとなく戦うシーンを入れてみたw

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