先天ケッペキ性論題。
「。」シリーズの第七作目です。
タイトル↑の「。」シリーズから他の作品が読めます。
「聞いてください………『拝啓』」
右手片手間走り出す、コードを切って憂うピックと刻む左手。
荒ぶる無縁の喧騒を、掻き乱すザマにエレキが響く。
いつだっけ。
いつだったか僕は、何かを失った。
もうもう何も覚えてない。小さく大きい代償は、払わず未計は奇怪漏らす。
大事な愛い人?
大事なタカラモノ?
酩酊狂わす8ビート、刻むカットはしゃくれて焦がす。
あの日を切り目に、僕は失った。
生きる資格も死角も視角も刺客も見えなくなったんだ。
六底、九暗、十声、一途。
僕は捜し物を踏み潰してるんだ。
結果は自家同着の咽び返し、結局結局ヒントはステレオデッキ綴られた、八行読経に書かれてあったんだ。
人。類。廃。退。
空は尻目に結局設定あの彼も転落死。
羽前依然毅然は空前、嗚呼。
読経。説教。立教。発狂。鉄橋。活況。埒狂。沈下。
イケナイと、わかってたけどそんな生温い妄言に呑まれてんじゃねぇ。
カットアップもすすり泣き、ピックも爪もボロボロボロボロ。
哀しみの埒動は僕を狂わせ、犬はそう言ったのさ。
「このザマか?」
この低迷運ぶ列底電脳世界に蔓延る無数のカタカナ。
引き換えは退化、対価は血統、それが今この僕さ。
こんな酩酊眩む学歴社会に犯された、末端の僕はもう。
嗚呼、先天ケッペキ性論題。
「。」で紡ぐ血路灯籠逃路は王の帰還で憔悴しきった原動世界のオハナシ。
どうせ。
なんにもない。
なんにもない。
不安定なクソ食らえの現世はケッペキには地獄も同然。
現代社会の、人類は廃退敗退王へと命を投了。
落ちて堕ちて、アホでクソな転落劇の絵本のページは見切れて消えた。
イケナイと、わかってたけど甘ったるい祝詞に踞ってんじゃねぇ。
笑うなら腹抱えて笑えよクソ共。
劣化に廃退合成樹脂の人と間は、心の臓なんていらないらしい。
最早「ヒト」として生きてくのを諦めたゴミには「感傷」なんてないらしい。
結果頓着の吹き溜まり、そこには何も残っちゃ無い亡い。
どうしようもないカス人間の君には救いの器なんて必要ないだろう?
そうだそうだそうだったんだ、僕が無くしたタカラモノは。
嗚呼、いつかあの時みたいに熱い夜を過ごしてたかった。
嗚呼、もう手遅れ、君の接吻は。
嗚呼、言論廃退。
言。論。廃。退。
「ありがとうございました」
エレキギターを肩から下ろし、群がる民衆に首を落とす。
手拍子は約7つ、血迷った眼でイカれた読経繰り返してる。
僕のケッペキ性の鼻には、ちょいと血生臭いか。