触媒と魔鉱石
本編第一章の魔術説明でも軽く説明はしましたが、今回は魔力付与および魔術道具について、もう少し詳しく説明をします。
まず、エンチャントは物に魔力を籠めて保存をする行為を指して、マジポは発動することによって魔術を使えるようになる道具の事を指します。
本文中でマジポやらエンチャントやらと複数の表現が出てくるので、混乱されるかもしれませんが、エンチャントは専門用語、マジポは大衆用語だと思ってもらえれば大体合ってます。
さて、エンチャントする「物」を「触媒」と呼びます。
これが何でもいいわけではなく、魔力に耐えられる物質と、そうでない物質があります。
籠められた魔力に耐えられなくて壊れてしまう物もあれば、そもそもどんなに頑張っても魔力が貯まらない物もあるのです。
で、その触媒には「魔力容量」というのがあり、性能によって価値が変わります。
一般的には「水<木<土<金」の順番で魔力容量が大きいと言われていますが、素材や純度などによっても例外はいくらでもあるので、あくまでも一般論です。
風の魔術はあるのに、風の触媒はないの?と思うかもしれませんが、気体に魔力を籠めるのは人間程度の魔力ではほとんど無理な上に、気体を保存できる技術が今のアルビにはありませんので出来ないだけです。
もし仮にやれたとしても、魔力容量は水よりも下になるので、実はあまり意味もないのですが。
同じように火も固形化出来ないので、触媒にはなりません。
で、その触媒の最高峰が魔鉱石なのです。
高位魔術も余裕で籠められるほどの容量を持つ魔鉱石は、戦場での心強い味方になります。
しかし金属としては比較的柔らかいので、魔鉱石を武器に鍛造しても攻撃力はあまりありません。
ところが柔らかいという欠点は、裏を返せば加工しやすいという事なので、武器や防具などに装飾具として付けられる事も多いです。
それらの武具はエンチャンテッドソードなどに分類され、いわゆる「伝説の武器」などになっています。
キルトランスの首輪も魔鉱石から作られています。
しかしそれはアルビの高品位と呼ばれる魔鉱石とはくらべものにならない、高純度の魔世界産の魔鉱石で作られています。
そのキャパは、キルトランスが毎日生み出される魔力の余りを貯め込んで300年ほど経っても、未だに底が見えないほどです。
ちなみに、触媒と魔術の相性というのも当然あります。
水の魔術は水に籠めるのが当然良いです。木の方が容量が多いからと言って水の魔術を木に籠めるのも、あまり効率がいいとは言えないかもしれません。
ただ、火の魔術に関しては、木の触媒に籠めるのが効率的だと言われています。
もちろん魔鉱石であれば、容量が多いためにどんな魔術にも対応可能なのですが、いかんせん高いので一部の人しか使えません。