ラクメヴィア帝国軍人学校の魔術事情
『第81部分 オレガノ邸への帰り道にて』でイルシュの魔力が「C」だったという部分についてお話しします。
ラクメヴィア帝国の軍人学校は十歳から入学が可能になります。
そこから三~五年かけて卒業するのですが、その中で修めた成績によって配属先が決定します。
配属先は大きく陸戦部・海戦部・魔戦部の三つに分けられています。
ただし、ラクメヴィア帝国は接岸部が少ないために海戦部はあまり強くありません。
陸戦部が最も強く、その次が魔戦部なのですが、魔戦部は隣国ガヴィーター帝国には敵いません。
イルシュの所属は陸戦部ですね。
当然授業の中には「魔術」の授業もあります。
一年生の時は魔力適性の授業があって、そもそも魔力が発動できるかどうかを試験されます。
生徒の中で魔力適性が高い生徒は二年生の段階で魔術の授業が始まり、魔力適性の無い生徒はこの段階で魔戦部への配属は絶望的になります。
そして三年生になると通常のクラスとは別に「魔戦部候補生」という特別クラスが編成されて、そこからまた熾烈な争いが始まります。
成績は大きく分けて七段階に分けられています。
E 魔力適性なし。一年生でこの評価をもらった生徒は二年生になったら魔術の授業が無くなります。また自動的に魔戦部へは進めなくなります。
D 魔力適性あり。魔術発現不可。体内に魔力はあるが、それを魔術として使えない生徒はこの評価になります。一応二年生になっても魔術の授業は受けられます。二年生で魔術が使えるようになれば、三年生以降も可能性はあります。
C 魔力適性あり。魔術発現可。要は普通に魔術が使えるレベルです。ただし、日常レベルでの魔術であり、戦闘で実践使用が出来なかったり、攻撃能力としては使えないレベルの魔術なので、魔戦部には入れません。ただし、三年生になっても魔術の授業は受けられます。イルシュはここ。
B- 魔戦部候補生対象のギリギリレベル。一対一で敵を倒すことができる魔術を使えたり、味方を守る魔術が使える生徒が評価対象。
B+ 魔戦部候補生。複数の敵を相手に戦える魔術レベルを持つ生徒。しかし、陸戦部と海戦部にも配属可能になるように体力系の授業もまだ行われる。
A- 戦術に組み込むことができる大規模な魔術が使える生徒。一般的に魔術師と呼ばれるレベル。また帝国騎士団に入るには最低限このレベルの魔力がないとダメだと言われている。魔戦部志望であれば体力系の授業を免除されるようになる。
A+ 現役魔術師に匹敵する能力を持っている生徒。魔戦部で即戦力になる。また魔術開発部への配属も可能になる。
以上の七段階ですがあくまでも学生相手の評価なので、魔戦部に配属されてからは周りがAランクばかりになり、さらに厳しい争いが起こります。
魔戦部に入れば魔力の強さや魔術の巧さ、戦績などで階級が決まります。
一般的にはBランクで魔戦部二等兵からスタートで、Aランクだと軍曹からスタートします。
ちなみに魔道帝国と呼ばれるガヴィーターでは魔戦部に入る最低基準が、ラクメヴィアで言うA-からなので魔戦部のレベルが非常に高いのです。
しかしキルトランスの魔力は、もうこの表で示せるレベルではありません。