女の子の視点6
ツインソウルは、魂の学びが進み中年になって巡り会う事が多い。
何方か又は両方が、結婚又は恋人の居る状態で巡り会う人が多い
年の差ツインソウルも多い。
それ故苦悩する。
それがツインソウル。
【神緒家の玄関】
「お帰りなさい。早く早くー」
「コラコラ、引っ張るな」
「はい、これ美貴の好きなタルト」
「ありがとう。早くこっちに来て」
「今日は、お店の人が届けてくれたから、並ばないで済んだんだ」
「良いから早く」
「ハイハイ」
【リビング】
「お帰りなさい、おじゃましてます」
「えっ?!」
「無理言って来てもらったの」
「って、どうしてゆりさんがここに?何で美貴とゆりさんが?」
「今日お友達と一緒に、私のサロンに来てくれたのよ。それで、無理を言って来てもらっちゃったのー」
「私は、付き添いで行ったんですけど、お友達に勧められて、ヒプノセラピーを受けたんです」
「名前を聞いて驚いたわ」
「これはさすがに僕も驚いた。少々の事では驚かなくなっていたんだけど…妹がああだからね」
「何よ、それ」
「やっぱり中世ヨーロッパのシスターローラは、ゆりさんだったわよ」
「平安時代は巫でした。幼なじみだったんですね、私たち」
「本当に…一緒に転生しているのか…?」
「二人とも皇子に生まれて、幼い頃は、いつも一緒に遊んでいたのに、貴方は臣下に下り、私は斎宮になって、会えなくなってしまって…」
「あの夜、僕が青海波を舞った夜、祭りの興奮覚めやらぬ僕は、斎宮の所に行って抱き締めた」
「神に使える身の私は、貴方を愛していながら、その気持ちに応える事は出来なかったの」
「愛していながら?貴女は、僕の腕をすり抜けて行ってしまった」
「貴方は、色々な女性とうわさが有ったわ」
「ま、まあ、あの時代の宮中だからね」
「中世ヨーロッパでも、マリアさんと」
「過去世で学んだのかしらね、今生のお兄ちゃんは、ちょっと違うから大丈夫よ」
「大丈夫って…」
「あのね美貴ちゃん、僕たちはまだね」
「今生は、二人とも奥手みたいね」
「聞いてないし…」
この日から、美貴ちゃんと私は、すっかり仲良くなってしまったの。
そして、何度かヒプノセラピーもしてもらったわ。
お家にも、度々お邪魔するようになったの。
「ただいま」
「ゆりちゃん来てるわよ」
「お邪魔してます」
「随分仲良くなったみたいだね。縁が有るのは、僕じゃなくて、美貴なんじゃないか?」
「平安時代は私も居たから、会った事は有るかもね。でも、縁が深いのはお兄ちゃんだわ。ローマやギリシャでも一緒だったし」
「ローマやギリシャ?そんな過去世見てないぞ」
「この前のヒプノでは、中世ヨーロッパと平安時代で、わんわん泣くから、他は見れなかったものね。もう一度やる?」
「も、もう、とうぶん良いよ」
「フフフ、洸貴さんも泣くのね」
「そうよ。だから、ティシュをたくさん用意しておくの」
「余計な事を…」
「私も泣きました。今の自分じゃないのに…不思議ね…」
「ローマって、どんなだった?」
「まさしくRPGの世界よね」
「武器や鎧を売っている町で、私達は道具屋をしていたの。洸貴さんが道具を作ったり、薬草を採取して来てくれて、私が薬を調合していたのよ」
「ふーん…って、一緒にやってたの?」
「婚約してたんだって、お兄ちゃんたち」
「そ、そうなんだ…」
「何か…二人して赤くなってる?」
「からかうなよ。過去世の話しなんだからな」
「ギリシャって、ああいう島今も有るわよね?」
「外敵から守る為に崖の上に町を作ったのかしら?ロバでしか通れない道を上がって行った所に町が有るの。そこで洸貴さんは絵を書いていたわ」
「この時二人は夫婦だったのよね」
「…ええ」
「で、今生は?」
「えっ?」
「コラコラ、からかうなって」
「他の人は嫌だけど、ゆりさんならお兄ちゃんのお嫁さんになっても良いかなー、って思ってるのよ」
「他の人は嫌か…小さい頃良く言ってたな…お兄ちゃんを取られたくないって」
「フィンランドの過去世も聞く?」
「あれはやめて。悲しいから、今は思い出したくないの」
「まあ、そうよね…」
フィンランドの過去世…
それは、あまりに悲しくて…
私…耐えられなくて…
途中でセラピーをやめてしまったの。
【園庭】
フィンランドの過去世では、トナカイの放牧をして暮らしていたの。
私たちは、男の赤ちゃんが生まれたばかりで、幸せ一杯でした。
ある時村のトナカイが盗まれる事件が続き、夜に交代で見張る事になったの。
犯人は彼が見張りの時に現れて…
そして、彼は…
刺されて死んだの。
「おじちゃんだ、おじちゃーん!」
「美咲先生!おじちゃんだよー」
子供たちと、お庭で遊んでいると、時々彼が通りかかるの。
この時間に会社に向かう時も有るのね。
【レストラン】
今日は、美貴ちゃんと明希ちゃんと三人でお食事に来ているの。
「ねえねえ、美貴さんのお兄さんて、彼女居るの?」
なんて…明希ちゃんたら…
「え?彼女?居ないわよ…今はね」
「今は?」
「だって、お兄ちゃん今年で25よ。過去に彼女の1人や2人、居ない方がおかしいでしょう。それともそんなにモテない男がお好き?」
「私は、シスターになりたかったから、1人も居ないません。それに…」
「それに?」
「過去世の洸貴さんのせいで、恋をするのが怖くなっちゃったの」
「まあね…過去世のお兄ちゃんは、浮気者だったり、ローマ時代は婚約中に町に攻め込まれて死んだり、ギリシャでも、流行り病で若くして亡くなってしまったのよね…フィンランドの時は、あんな悲しい事件だったし…」
「今生でそんな悲しい思いをするのは嫌だわ。それに、浮気者だし」
「それは、過去世でしょう」
「どうかしら?」
「お兄ちゃんはお兄ちゃんで「人を好きになっちゃいけない」っていうブロックが有るのよね。過去世で聖職者にばかり恋をしていたせいかしらね」
「聖職者…シスターは、恋愛も結婚もしないで、一生修道院で暮らすんですものね」
「でもね、過去も未来も無いのよ。今生では幸せになって良いんだからね、まあ、今生は別々っていうのも有りだけどね」
そして…
過去世から縁が有る魂だからと言って、今生で巡り合っても深い関係にならない事も有る。
そう教えてくれたの。