女の子の視点20
ツインソウルは、くっついたり離れたりする。
また、離されたりもする。
本人の意思で離れても、また戻ったりもする。
それがツインソウル。
【神緒家のキッチン】
あれからお兄ちゃん達は、うまくいっているみたいね。
でも、相変わらずゆりちゃんのお父さんは厳しくて、お兄ちゃんとの交際を認めてくれないの。
まだ、あの高見沢さん、て言う人と結婚させようとしてるみたい。
ボルドーのホテルの資金繰りも大変で、彼のお父さんが勤めている会社に、融資を頼んでいるらしいんだけど…
「それぐらいのお金なら、パパが生きてたら融資出来たのに…お兄ちゃまが、会社を継がないからいけないのよ」
「お兄ちゃまになってるぞ…昔の話しをすると、時々出るな」
お兄ちゃんたら、のん気にパンなんか食べてるけど…
「聞いてるの?」
「仕方ないよ。親父が亡くなった時、僕はまだ中学生だった」
いきなり社長になっても、会社を潰すだけだから、他で勉強してから会社に入れると言っていたな。
僕も、父の会社の人に、社長の息子という目で見られるのが嫌だった。
そして、突然倒れたんだ。
そのまま帰らぬ人となって、重役会議で今の社長が決まった。
「それでも親父が残してくれた物のおかげで、今もこうして2人で暮らせてるんだから…あ…もうすぐ2人じゃなくなるのか…」
「本当に、私、結婚して大丈夫?」
「お前には幸せになってほしい、って言ったろ」
【美咲家】
「お前は、美咲家の一人娘だ。いずれ会社を継ぐ事になる。わかっているのか!?」
「わかっています。でも、高見沢さんとは」
「まだそんな事を言っているのか!?」
「貴方。怒ると血圧が上がりますよ。心臓にも良くないし」
「お前は、黙ってろ!」
【公園】
[心配そうにゆりの顔を覗き込む将]
「美咲先生、何だか元気無いね」
「え?」
「大丈夫?」
「大丈夫よ。皆んなから元気をもらってるから」
「良かった」
「ありがとう」
【桜の樹の下】
もう桜が咲き始めた…6月なんてすぐだな…
いつものように、ゆりさんが子供達と散歩に来ている。
初めて彼女と会った時もああやって園児達と遊んでいたな…
ちょうど去年の今頃だった。
美貴と同じ年だから、今年の9月で23才だ…
僕は、4月で26才になる…
そろそろ結婚を考えないといけないかな…
【池の畔】
「お嬢様。会長がお倒れになりました」
「何ですって?」
「病院までお送りします」
「ここは大丈夫だから行って!」
「ありがとう、お願い」
【車の中】
怒ってばかりの父だけと、小さい頃は優しくて好きだったわ。
ううん、今でも嫌いなわけじゃないの。
「心筋梗塞だそうです」
「そう…」
【病院】
「ゆり」
「お父様の具合は?」
「大丈夫。大した事ないそうよ」
「良かった…」
「失礼致します」
「谷戸さん」
「お迎えに上がりました。これから、会長の代わりに動いて頂きます」
「どうして私が?」
「ゆり。仕方ないのよ」
【会議室】
会社に行くと、重役達が待っていたわ。
こんな時の為に、母の提案で、私は知らない間に社長にされていたの。
もう、成るようにしか成らないわ。
秘書だけは、女性にして欲しいとだけ言ったの。
「これから秘書を務めさせて頂きます真壁です。宜しくお願い致します」
【車の中】
移動の途中、洸貴さんにメールしたの。
「父の代わりにやらなければいけない事があるので、しばらく会えそうにありません(>_<)」って…
彼から返信が来たわ。
「会えなくても、魂は寄り添っているから」ですって。
会いたい…
今すぐ。
【洸貴の会社】
「日本に居るんだから、会おうと思えば、寝る時間削ったって会えるだろうに」
「監視されてるみたいなんだ」
「なるほど…お父さんの代わりに動いてるなら、高見沢って男も一緒かもな」
「ああ…」
「お前、結婚は考えてないのか?」
「考えてるよ」
「だったら、向こうの親父さんに会えば良いじゃないか。もたもたしてたら取られるぞ」
「わかってるけど、会ってもらえないんだ」
【青山】
美容室を出て246に向かって歩いていると、黒い車と擦れ違った。
え?今の車…後ろに彼女が乗っていた。
一瞬だったから、良くわからない…
誰か…一緒だったのかな?
目が悪いので、良く見えなかった…
彼女からメールだ…
「今擦れ違ったわ」って…気づいていたのか。
「やっぱり君か」と返信した。
「この近くに会社が有るの」と返信が来た。
ツインソウルのシンクロ…
もう、このぐらいじゃ驚かなくなっているけど…
こんな所まで来て擦れ違うなんて、やっぱり普通じゃない…
本当に、偶然なんて一つも無いのかも知れない。
「私一人よ(^ ^)」とメールが来た。
ツインソウルは、相手の考えている事がわかると言う…
「良かった( ´▽`)」と返信した。
【美咲家】
数日後、父が退院したの。
しばらく家で静養する事になったんだけど…
監視の目がきつくなって、外に出してもらえないの。
幼稚園にも行かせてもらえないんだもの、どうやって彼と会えば良いの…?
とにかく、家の人達に見つからないように外に出てみましょう。
裏口からお庭を通って、外に出たわ。
【公園】
[テラス、池の畔から、ボート乗り場と洸貴を探すゆり]
どこにも居ない…
もう、こんな時間…
会社に戻ったのね…
【美咲家】
「ゆりを外に出すんじゃないぞ」
「貴方、そんな事仰っても、いつ迄も家に閉じ込めておくわけにもいきませんでしょう」
「外出する時は、誰か付けてやれば良い」
【ゆりの部屋】
洸貴さんどうしてるかしら…?
今は、仕事中ね…メールは出来ないわ。
いつもすぐに返して来るんだもの…迷惑かけられないわ。
「ゆり、ちょっと良いかしら?」
「お母様。私、いつになったら自由になるの?」
「お父様が会社に行くようになったら、お母様がちゃんとしてあげるから」
「……」
「そんなに暗い顔をしないで…窓の外を見てご覧なさい。薔薇の蕾が膨らんで来たわね…大丈夫、あの花が開く頃にはきっと」
[優しく肩に手をかけて、そう言うと母は部屋を出て行った]
あのお花が開くまで…?
桜の季節からずっと会ってないのよ。
早く会いたい。
【家の前】
数日後、あの薔薇の花が開いたわ。
母の言った通り、父が会社に行き始めると、監視の目も緩んできたの。
また幼稚園に行けるようになったけれど、病み上がりの父が早く帰ってくるので、私も真っ直ぐ家に帰らないといけなくて…
【公園】
「あ、おじちゃん来たよ。美咲先生、早く早くぅ」
将君が私の手を引っ張って、彼の所へ連れて行ってくれるの。
この時間しか会えないんだから、って、皆んな理解してくれていて…
「くっついてー、えへへ、ラブラブー」
「あ…もう、将君」
「やっと会えたね」
「ええ…」
彼と一緒に居られる時間は、あっと言う間に過ぎて行ったわ。
「もう行かないと、子供達待ってるだろ?」
「明日は、お散歩の時間無いから、明後日ね」




