女の子の視点16
ツインソウルは、ロマンチックな時期ばかりではない。
ツインソウルのパニックが有る。
自分とそっくりな相手の中に、自分の嫌な部分を見せられたりする。
パニックになり、崩壊して拒絶する事も有る。
それがツインソウル。
【ボルドーのホテル】
「あら、お嬢様。ご結婚なさるんですって?」
「あ…」
「お幸せにね」
結婚は…嫌…
でも…もう洸貴さんの事は…
【ホテルの部屋】
「メール…」
もう今は、貴方の事は好きではありません。
[メールの返信を、タップした]
これで終わり…
恋なんて…しなければ良かった…
こんなに苦しいなら…恋なんて知らない方が良かった。
初めから好きにならなければ良かったんだわ。
【チャペルの前】
[兵士がゆりの前を通って消える]
「今のは…何?」
【チャペルの中】
[シスターの姿が浮かび上がり、そして消える]
シスター…マリア…
幽霊?
ううん、違うわ。
これは…過去世…
スライドのように過去世が浮かぶの。
マリアさんが洸貴さんのツインレイ。
宇宙にたった1人の魂の片割れ…
私は、ツインソウル。
12人の中の1人なんだわ。
【拓真の部屋】
「虎ちゃーん。あら居ない…こたつの中ね…何持ってるの?」
「ミュー」
「何か、かじってる」
「え?何?」
「小さな箱」
「えっ?!まさか…」
「リボンかかってる」
「あっちゃ、えーっ?!」
[虎が小さな箱をかじっている]
「うわっ!それ…やっぱりか…」
「あ…包み紙破れてる」
拓真「あー…それ…オシャレなレストランでも予約して、渡そうと思ったのにな…」
「え?もしかして、私に?」
「そうだけど…」
「うわー、指輪」
「婚約指輪」
「え?!私達付き合い始めて何カ月?」
「まだそんなに経ってないけど、子供の頃から良く知ってるし」
「まあ…そうだけど…」
「俺と結婚してください!あーこんなプロポーズじゃカッコ悪いよな…」
「そんな事ないよ。虎ちゃんが手伝ってくれたプロポーズ最高よ。ウフフ」
「じゃ、じゃあ…」
「勿論OKよ」
「良かったー…」
「あ、こういう時は、考えさせてください、って言うのか」
「そ、そうだよな…」
「でも、もうOKしちゃったし。さて…お兄ちゃんに何て話すかだわ…」
【ボルドー】
もう、好きではない、ってメールを送ってしまったのよ。
あの人が心変わりするのが怖かったの。
これで、良かったんだわ…
あの人の心の中に、他の誰かが居るのは嫌なの。
それが、過去世の人でも…
【神緒家】
「早く来て」
「お、おう」
「拓真君大丈夫?」
「だ、大丈夫…交際は認めてくれてるしな」
そうなのよ!
拓真ならって、交際を認めてくれて…
それにしても、よくこのお兄ちゃんが交際を許してくれたものだわ…
で、今日の話しは…大丈夫かしら?本当に…?
「何だよ、2人揃って」
「け、けっ」
「毛?」
「拓真君大丈夫?私が話そう君大丈夫?私が話そうか?」
「だ、大丈夫…み、美貴ちゃんと、美貴ちゃんと結婚させてくれ!」
「はあ?誰と?」
「美貴ちゃんと」
「誰が?」
「お、俺が」
「美貴…ちゃん?」
お兄ちゃんは、頭の中が真っ白になったみたいで、しばらく黙ってたの。
そして…
「俺…葛城拓真は、美貴さんとの結婚をお許し頂きたく…」
「美貴…モーツァルト」
「え?」
「ピアノソナタ」
「何よ?こんな時に…」
お兄ちゃんて、いつもストレスが溜まったり、頭の中の整理がつかない時、私のピアノを聞きたがるのよね。
次の日から会社で顔を合わす2人、気まずくないかしら?
そんな事を思いながらピアノを弾いていたんだけど、後日「妹を頼むな」って言ってくれたらしいの。
【洋食屋】
「いやいや、最初は大変だったんだぞ「何でお前なんかに」って…まあ、あいつは誰を連れて来ても許さないと思ってたけどな」
「花嫁の父…お父さんの代わりだったから、ずっと…」
「だけど、俺が真剣なのをわかってくれて「大事な妹を、他の奴に取られるより良い」って、言ってくれたんだ」
晴香「ご婚約おめでとうございます」
[サプライズのケーキ]
「うわー、ありがとう」
「おお、すっげえ」
私達はこんな感じで上手くいってるんだけど、お兄ちゃん達はね…
ゆりちゃんは、フランスから帰って来ないし…
お兄ちゃんは、ヒプノしてから時々断片的に過去世を思い出すみたいなのよ。
マリア像や、マリア様の写真をボーッと眺めてたり…
思い出すのは、ツインレイのシスターマリア?それともゆりちゃんの過去世のローラさんなの?
ああ、ゆりちゃん、早く帰って来ないかしら…