女の子の視点15
ツインソウルは、巡り合うと、相手の今迄の事を全て知りたがる。
ツインレイは、何と無くわかってしまう。
わかると言うより、感じるのかも知れない。
それは、相手が自分の半分だから…
1つの魂が2つに割れたもの。
それがツインレイ。
【美咲家】
「ゆり、こんな時間まで何してたんだ!幼稚園が終わったら、真っ直ぐ帰りなさい!」
「貴方。ゆりだってお友達とのお付き合いも有るのよ。こんな時間て、まだ8時じゃありませんか」
「お前は、黙ってろ!嫁入り前の娘が、夜にフラフラ出歩くんじゃない!」
「お父様、私、高見沢さんとは…」
「来年、向こうで式を挙げるからな」
「嫌です!結婚したくありません」
「まだそんな事を言っているのか!高見沢君が気に入らんのなら、他にいくらでも居る。さっさと結婚してボルドーに行きなさい」
嫌…助けて…洸貴さん…
【洸貴の会社】
「あ、お兄ちゃん。今日帰りにサロンに寄って」
「え?又ヒプノするのか?嫌だな…」
「つべこべ言わなーい。あ、拓真君。お昼行こう」
「はーい」
「何だ…お前達…?」
「私、拓真君と付き合う事にしたのよ」
「そうそう、って、え?!まだ返事聞いてなかったし…本当に良いの?」
「拓真お前!!」
「は、離せよ…うぐっ」
「お兄ちゃん落ち着いて、彼、首…絞まってる」
【会社の前】
「はあ…洸貴のヤツ、予想通りのリアクションだったな」
「あの程度で済んだのは、会社だったからよ…付き合うって言っただけであれだもの、結婚なんて言ったら、どうなっちゃうんだろう?」
「え?!」
「さあ、お昼行こう。お腹すいちゃったわ」
【ファミレス】
「洸貴達も、上手くいってるんだろ?」
「まあね。でも、ゆりちゃんのお父さんが、会社の人と結婚させようとしてるのよ」
「ああ、あのホテルのラウンジで会った人だろ?」
「お兄ちゃんはまだ、女性に対する苦手意識が取れないし…付き合った人は沢山居るのにね」
「あいつ、嫌って言えない性格だからな。今迄は、皆んな向こうからだから」
「何と無くでもお互い惹かれ合って始まったの、ゆりちゃんだけよね」
【美貴のサロン】
夜になって、お兄ちゃんがサロンに来たの。
「さーて、始めるわよ」
「うん」
ヒプノで、幼少期、お母さんのお腹の中と遡り…
そして前世を見ると…
「ツイン…レイ…」
その人って、シスターマリア?!
「……」
「はい、ティシュ…それにしても今回の泣き方は異常ね」
「うるさいぞ」
「ツインレイの涙は異常だわ…」
「……」
「マリアさんがツインレイで、ローラさんがツインソウル?ジャックって、同じ時代同じ場所で、こんなに深い縁の魂と一度に出会っていたのね…これは珍しい事だと思うわ」
「……」
前世でもツインレイと巡り合っていたのね…
その魂は、あのマリアさん。
「今生は居ないわよね?居たら大変な事になるわよ」
「居ないと…思う…」
「まあ、そうそう続けて一緒に転生しないからね…でもこれでわかったわ。お兄ちゃんが恋愛に躊躇するわけが」
お兄ちゃんの魂は、前世の学びでボロボロになったの。
前世の経験が恋愛のブロックになってたのね…
「ツインソウルも、どちらか、もしくは両方とも結婚してたり、恋人が居たりする事が多いの。今生の2人はフリーの状態で巡り合ったのよ。どんな課題が有るのかわからないけど、幸せになってほしいのよ」
「…ゆりさんのツインレイって?」
「長い間巡り合ってないみたい。ツインソウルだって巡り合うのが大変だけど、ツインレイは尚更よ。お兄ちゃんとレイだって、前世の前は、あの中世と5千年位前でしょ?」
「そう…だよな…僕のレイは…宇宙のどこに居るんだろう?」
ツインレイと言うキーワードに触れると、お兄ちゃんは、また泣き出したの。
「お兄ちゃん?まさか!前世みたいに心を閉ざしたりしないわよね?今生の相手はゆりちゃんなんだからね!」
「……」
「愛する事を恐れないで」
【神緒家のキッチン】
「魂は、愛を学び、カルマの浄化の為転生を繰り返すと言われているの」
「ゆりさんは、僕が初めての相手なのに、僕は過去に色々有り過ぎた」
「まあね…色々な人と学んで、ツインソウルと巡り合えたのね」
「そんな自分が嫌になるよ…」
「普通の女性なら、お兄ちゃんと会う前に恋人の1人や2人居たでしょうけどね。絶妙なタイミングよね…ま、天のシナリオがそうなってたのよ」
「ツインソウルと巡り合うなら、他の人と何も無い方が良かったよ」
「そうはいかないのがツインソウル、って言ったでしょ。皆んなそれで苦悩するのよ」
【拓真の部屋】
「へー…思ったより片付いてるじゃない」
「一応片付けといた」
「ミャー」
「居た、居た、虎ちゃん。あら、こたつに入っちゃった」
こたつをのぞいてみると…
ああ、居るー
「虎ちゃーん。可愛いわね」
「ミュー」
「こんなに小さいと思わなかったわ。何カ月ぐらいかしら?」
「獣医さんが「親離れしたばかりの一月半ぐらいだろう」ってさ」
「ちゃんと獣医さん連れて行ったんだ…良いとこ有るわね」
【ビストロ】
今日は、いつものお店で美貴ちゃんと待ち合わせをしているの。
父は出張だから、少しぐらいなら遅くなっても大丈夫だわ。
「お待たせー」
「私も今来たところよ」
そして、2人でお食事をしながら、色々お話ししたの。
「この頃洸貴さん、時々ボーッとしてる時が有るの」
まさか…ツインレイのせいかしら?
「美貴ちゃんは、心当たりが有るのね」
ツインレイの存在をゆりちゃんが知ったら、悩むでしょうね…
「何か知っているなら…話してほしいの」
ツインソウルは、相手の全てを知りたがる…か…
どんな話も聞く覚悟が有るみたいだから、お兄ちゃんのツインレイの事を話したのよ。
「宇宙でたった一つの魂?」
「そう、一つの魂が二つに割れた物だと言われているの」
「それが、中世のマリアさん?」
「うん。前世にも会ってる人」
「えっ?」
ゆりちゃんは、驚いたようで、それからしばらく黙っていたの。
そして…
「…その人とは?」
「宗教にのめり込んでいる人で、お兄ちゃんとの宗教の違いも障害になってたんだけど、夫と子供が居て夫婦で宗教活動をしてたの」
「……」
「それで諦めたのよ「この魂は、何度転生しても同じ魂を愛する事を誓う」って言って、その人の前から姿を消したみたいね」
「何度…転生しても…」
「それより前の過去生は、三角関係ばっかりだけどねー」
「……」
「でも、今生は一緒じゃないみたいだから…そうそう巡り合える魂じゃないもの」
「……」
【美貴のサロン】
そして、ツインレイの話しをして数日後、ゆりちゃんはお父様とフランスに行ったのでした。
あんなに嫌がってたのにねー
【神緒家】
ツインソウルには試練が付き物って言うけど、それにしても…
「お兄ちゃん」
「うん?」
「ゆりちゃん言ってたわよ。まだ一度も愛の言葉を言って貰った事無い、って」
「そんなに簡単に言えるものじゃない…」
「良く言うわよ。今まで付き合った人には、良くそれだけ湧いて出るわね?って呆れるぐらい恥ずかしいセリフ言ってたじゃない」
「今までの人とは違うから、いい加減な事は言えないだろ」
「いい加減て…本気で向き合うって言ったのはお兄ちゃんよ」
「わかってる」
「お兄ちゃんの魂は、どこを見てるの?」
「……」
「マリアさんはこの時代に居ないの、いつまでも過去世を引きずって苦しまなくても良いのよ」
「守ってやれなかった…僕が先に死んじゃだめなんだ…」
「お兄ちゃん…今は中世じゃないの。お兄ちゃんはジャックじゃないのよ。今この時を、ちゃんと生きて」