女の子の視点13
ツインソウルは、相手の声が好きだったりする。
ツインソウルは、相手の匂いが好きだったりする。
ツインソウルは、名前や愛称が自分の身近な人と同じだったりする。
ツインソウルは、離れていても相手を感じる時が有る。
ツインソウルは…
【並木道】
ああ、お腹すいた。
今日は、どこに行こうかな?
【洋食屋】
「あら、今日はここ?」
「美貴ちゃーん」
「最近良く会うわね」
「ここ、美味しいんだよねー」
「まあ、この辺で美味しいお店は、数知れてるからね」
「一緒に食べようよ」
「良いわよ」
「やったー」
「いらっしゃいませ」
「あら、晴香ちゃん。今日はお手伝い?」
「はい。今日は、学校休みなので」
「ランチの時間は、混むもんね。ピアノ頑張ってる?」
「はい、頑張ってます」
【公園】
「今日は、何になさいますか?」
「鶏肉と茸のトマトソースパスタ」
「お待たせしました」
[いつものように幼稚園の子供達が散歩に来ている。ゆりの姿は無い]
「おじちゃーん」
将君だ。
「おじちゃん。美咲先生居なくて寂しい」
「うん。寂しいよ」
「早く帰って来れば良いのにね」
「そうだな」
帰って…来るのか?
フランスで結婚するんだろ。
【ボルドーの屋敷】
「どうです?この屋敷は。気に入りましたか?」
「高見沢さん、私…」
「結婚したら、ここに住むんですよ。ホテルにも近いし」
「私…」
「ゆりさん」
やめて、触らないで。
結婚なんて嫌!
「あ、ゆりさん!どこへ?!」
【廊下】
あの人の腕は、もっと優しかったわ。
あの人の胸は、もっと温かいの。
あの人は、もっと良い匂いがしたわ。
あの人の声は、もっと優しいの。
あの人は…
【屋敷の前】
「ゆり」
「お母様、私、結婚なんて嫌、嫌なの」
「泣かないで。いつだって、お母様だけはあなたの味方よ」
【神緒家】
今日は日曜日。
お兄ちゃんは、午前中に残っていた仕事を片付けていたみたいだけど、終わったかしら?
「ねえお兄ちゃん、今日何食べたい?」
「うーん…和食」
「じゃあ、荷物持ちお願ーい。一緒にお買い物行こう」
あら、玄関のチャイムが鳴った。
「お兄ちゃん、出てー」
「ハイハイ」
【玄関】
[洸貴が玄関のドアを開けると、腕の中に飛び込むゆり]
(ゆりさん?)
「もう、離れているのは嫌」
「どうしたの?ボルドーに居たんじゃないの?」
「帰って来ちゃったの」
「…大丈夫?」
「そばに居たいの、離れたくないの」
[離れたくない。それは彼女の魂の声]
「お兄ちゃん行こう」
私が奥から玄関に行くと…
「え?ゆりちゃん?!お兄ちゃん早く中に」
「ああ…」
【リビング】
空港から真っ直ぐ来たみたいね。
心身共に憔悴しきっているわ。
ゆりちゃんは、フランスでの事を話してくれたの。
結婚の準備が進められていてる事…
ボルドーのホテルの視察やら何やらで、忙しく連れ回された事…
そして…
お母さんにお兄ちゃんの事を話したら、お父さんに内緒で帰してくれたんですって。
何て話したのかしら…?
「好きな人が居るって…言ったの…だから、高見沢さんとは結婚出来ない、って…」
「お兄ちゃん」
「僕たち、ちゃんと向き合わないといけないね」
良し良し。
「ちゃんと向き合う?」
「うん」
「そばに…居ても良いのね?」
「君がそうしたいのならね」
お兄ちゃんがそう言うと、またゆりちゃん瞳から大粒の涙がこぼれたの。
【美貴の部屋】
それから色々話してくれて…
やっと、少し落ち着いたみたい。
ずっと寝てなかったのね…
軽~くヒプノしたら、すぐに眠ってしまったのよ。
しばらく休ませてあげよう。
【キッチン】
「ゆりちゃん疲れて寝ちゃった」
「そうか」
「私お買い物行って来るね。あ、誰も居ないからって、寝ているゆりちゃんに変な事しないように」
「誰がするか」
「あら、そっとkissぐらいねえ」
「彼女は疲れてるんだ。そんな事しないよ」
「あら、残念」
「たぁくう」
「冗談、冗談」
まあ、お兄ちゃんの事だから、部屋にも入らないわね、きっと。
ハア…本当に…
【スーパー】
(えーっと、アイツの好きなオヤツは…あーコレコレ。コレは何だ?変わったの買ってっても食べないからな…)
「あら、拓真君」
「おおっ、美貴ちゃーん」
「どうして、ここでお買い物してるのよ」
「猫のオヤツを買いに来たんだよ。うちの近くに無くてさ」
「へー猫飼ってるの?何て名前?」
「虎」
「もしかして、トラ猫?」
「そう!キジトラ」
「はあ、まんまなネーミングね…まあ、拓真君らしいけど」
「漢字だよ。そこんトコこだわってるんだ」
「今度見せてくれる?」
「良いよー、いつでも」
「あー買い過ぎちゃった…」
「ほい、家まで持ってあげるよ」
「あら、ありがとう」
【神緒家の前】
「あら、帰っちゃうの?」
「2人で一緒だったの、洸貴に見つかるとウルサイからなー」
「別にやましい事は無いんだから…」
「俺は…その…」
「うん?」
「じゃ、じゃあねー」
「ありがとねー」
まあ、今日は、ゆりちゃんがあの状態だからね…