女の子の視点12
ツインソウルは、過酷な学びをする人が多い。
魂の学びに善悪の判定は無い。
楽しいと思う事も、辛いと思う事も、必要だから起こっている。
意地悪いな人やライバルが、実はソウルメイトな場合も有る。
彼らは、今生の学びの為に、ただ悪役を演じてくれているだけ。
それが魂の学び。
【美咲家】
「ゆり、早く支度をなさい」
「どうしても行かないといけない?」
「今度ばかりは、お父様が許さないでしょうね」
「向こうには、高見沢さんも行くのでしょ?」
「そうね、先に行っているのでしょう。お母様も詳しい話しは聞いて無いのよ」
「ホテルの視察って、どれぐらいかかるのかしら?」
「さあね、早くても2週間ぐらいはかかるんじゃないかしらね」
「そんなに?」
【空港】
行きたくないわ…
あの人と離れているのが怖い。
私が居ない間に、また他の女の人と会ってたりしたら…
嫌!
こんな事を考えるようになるなんて思ってもみなかったわ。
恋をすると、皆んなこんな気持ちになるのかしら?
【神緒家】
「あれから麗華さんどうした?」
「しつこく電話がかかって来るから、拒否。番号変えると仕事の方が困るしな…」
「ゆりちゃんのお父さんね、顔を 見ると早く結婚しなさい、って言うんだって。結婚したら、ボルドーに行っちゃうのかな?」
「ホテルを継ぐんだろ?僕なら、婿養子は嫌だけどな」
「高見沢さん、て言う人と結婚させたがってるらしいのよ」
「あ、メール…ゆりちゃんから…助けて?」
「助けてだって?」
「お兄ちゃん、早く車出して!わけは後で説明するから」
「わかった」
【駐車場】
「空港に急いで!」
【車の中】
「あ、またメール…ホテルの視察と結婚の準備って、お兄ちゃん大変!」
ゆりちゃん結婚させられちゃう。
どうするのよ、お兄ちゃん。
「ボルドーって、どうやって行くの?」
「シャルルドゴールから乗り換え」
【空港】
「ゆり、いつまでメールしてるんだ!こんな物は、預かっておく」
「あっ、お父様ひどい」
携帯取り上げられちゃったわ。
どうしよう…?
【車の中】
「ああん、もう!こんな時に渋滞」
メールが来なくなっちゃった…
「お兄ちゃんたら、良くそんなに平気な顔してられるわね!ゆりちゃんが結婚しちゃっても良いの?」
「ご両親に祝福されて結婚するなら…彼女の幸せを祈るしかないだろ」
「ゆりちゃんの気持ちは、どうなるのよ」
「着いたぞ」
【空港】
「パリ行き、パリ行きは?」
えっと…
「嘘ぉ…飛んじゃったの?!」
間に合わなかったわ…
(結婚…するのか?
何だろう…この気持ちは…?
嫌…なのか?)
帰りの車の中、お兄ちゃんも私も、家に帰るまで黙っていたの。
これから、どうなっちゃうんだろう?
このツインソウル。
あれから2人ともゆりちゃんの話題に触れなくなったの。
お兄ちゃんの気持ち何と無くわかるから、私からは何も言わない事にするわ。
しばらくはね。
【幼稚園の前】
「おじちゃーん!」
「やあ、将君」
「おはようございます。今日も美咲先生お休みだよ」
「そうか」
(結婚してフランスに行くなら、幼稚園も辞めてしまうんだな…)
【シャトーホテル】
「お嬢様。ドレスの型紙を取りたいそうです」
「今行きます」
【ゆりの部屋】
「どちらの生地になさいますか?」
「そうね…ゆり。どうなの?」
「どちらでも良いわ」
「それじゃあ、それと、それで」
「はい。では、こちらでお仕立て致します。ウエディングドレスは、いかがなさいますか?」
「えっ?」
【美貴のサロン】
「お昼行って来ますね」
「はい、どうぞ」
【ファミレス】
たまには、ファミレスも良いわね。
「美貴ちゃーん」
「あら、拓真君」
「1人だよね?まさか男と待ち合わせじゃないよね?」
「違うわよ」
「良かったー」
彼の話しでは、最近麗華さんがちょくちょく会社に来るらしいのよ。
それで、見つからないように、お兄ちゃんを逃してくれてるんだって。
「お兄ちゃんたら、聞かなきゃ言わないんだから」
「アイツは、そんなにお喋りじゃないからな」
麗華さんとは、そんなに深い縁の魂じゃないと思うわ。
ヒプノをしても、彼女と一緒の過去世を見る事はないもの。
【神緒家】
「今日も、麗華さん会社に来たって?」
「うん。拓真に頼んで帰って来ちゃった」
「彼も大変ね…」
「麗華と付き合った事、後悔してるよ」
「お兄ちゃんの右肩の上で、女神ラクシュミーが言ってるわよ「過ぎた事をクヨクヨしたり、未来のまだ起こってもいない事を不安に思ってもつまらないでしょ」って」
【ボルドーのホテル】
今日のお夕食は、お父様は忙しいから、お母様と…
「ゆりさん。こんな所にいらしたんですか」
「……」
「今日のディナーは、2人だけでしませんか?もう、婚約してるんだし」
婚約?!
婚約と言うのは、ちゃんとプロポーズされて、お受けして初めて成立するものだわ。
好きな人にプロポーズされた時って、どんな気持ちかしら…?
ウキウキしたり、悩んだりするのかしら?
【大階段前】
「もうすぐウエディングドレスも出来て来るっていうのに、何て暗い顔なの?」
「お母様、私…日本に帰りたい」
「式はまだ先だし、視察が終われば帰れるわよ」
「今夜も、高見沢さんとお食事しなくてはいけないの?」
「ゆり…ここは、お客様もいらっしゃるから、お部屋にいらっしゃい」
【シャトーホテルの部屋】
「高見沢さんとの結婚…気が進まないのね。黙っていてもわかりますよ、母だもの」
「ゆり…好きな人が居るのね」
「…どうして?」
「だから、わかるって言ったでしょう。母親にはわかるものなのよ」
そして、母に洸貴さんの事を話したの。
勿論、ツインソウルだなんて言ってもわからないけど…
でも…
「その気持ち…わかるわ。お母様にだって若い時代も有ったんですからね」
そう言ってくれたの。
お母様は、ちゃんと恋をして結婚したのかしら?