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流星ナイン  作者: 風間 来夏
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第1球 「決戦前夜」

初めまして、風来坊と申します。

バリバリの初心者です。

サイトにも登録したばかりで右も左も分からない状態ですが、色々ご指導いただけたら幸いです……



第1球 「決戦前夜」



暑いーーー

突き刺さるような真夏の日差しが、嘲笑うかのように身を焦がす。

生き物のように唸りを上げて向かってくるそれを逃がすまい、とひたすら追い掛ける。


「……ようし、今日の練習はここまで! 1年はグラウンド整備をしてから帰ること」


しわがれた声はそう告げて背を向けると、ひょうたんのような身体を左右に揺らしながら岩井(いわい)監督はグラウンドを去った。 時刻は19時を過ぎていた。 1年生が談笑しながらトンボでグラウンドをならしているのをぼんやりと見つめていたら、虎若が話し掛けてきた。


「いよいよ今週末だな、龍」


「うん。 俺たち3年にとっては最後の夏だ、絶対に県大会で優勝しよう」


神奈川県立 潮見(しおみ)中学校野球部。 俺はそこでキャプテンを務める3年の(りゅう) (はじめ)だ。 一緒にいるのは、うちのエース獅童(しどう) 京介(きょうすけ)

今週末に迫った中総体の地区予選。 2日間の日程を通して、計16校がたった1枠の県大会出場権を巡って火花を散らす。


「思い返してみたら、あっという間だったよな、3年間。 俺も京介も1年の時からベンチに入って---」


制汗剤をアンダーウェアの上から腹部に吹き掛けながら、龍が話し始めた。


「思い返すにはまだ早ぇよ。 そういう話は、てっぺん穫って美味い飯でも食いながらしようや」


「あはは、その通りだね。 ……今年こそ、今年こそは海遊に勝とう」


神奈川県立 海遊(かいゆう)中学校。 3年連続で地区優勝を果たし、県大会でも1年目こそベスト8だったものの、そこから怒涛の2年連続優勝を成し遂げた超強豪校である。


「当たり前だろ。 お前が打って、俺が抑える。 それだけのことだろうよ」


冗談めかしく言うものの、獅童の表情は強張っている。 無理も無いことであろう。 昨年2年エースとして準決勝に登板した彼は、海遊打線を相手に3回11被安打7失点でノックアウトされた。 リリーフとして登板した宮田先輩が後続を断ったものの、試合は1-9と完敗を喫した。


「……情け無い話だがよ、俺はこの1年間、あの日の屈辱を1度だって忘れたことはねぇ。 水瀬(みなせ) (とおる)から浴びたあの満塁ホームランの瞬間も……」


そこまで喋って、獅童は口を噤んだ。 彼の身体の震えが緊張から来るものなのか、恐怖から来るものなのか、はたまた怒りから来るものなのか、分からなかった。 ただ、胸に熱い炎が灯っていることだけは伝わる。


「勝とう、俺達は強くなった。 今年の俺達なら、海遊にだって負けないさ」


初夏の夜、通学路。 夕方まで照り付けていた太陽が身を潜め、ほのかにスープの匂いが漂う夜風が汗を冷やす。 コンビニで買ったホームランバーアイスで、龍が当たりを引いた。


「よっしゃ、ラッキー。 これで1本、良い当たりが出るってね」


やかましいわ、と肘打ちをかます獅童の顔に先程見せた緊張の色は既に伺えなかった。


負けられない夏が、幕を開けるーーー




第1球、終わり




拙い文章で読みにくいですが、少しでもお楽しみいただけたら幸いです。


うまく時間を見つけて更新していきたいと思います。


よろしくお願い致します。


2016/1/10 風来坊

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