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暗示使い  作者: 夜鳥ツル
第0章 それぞれの視点から見た日常
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黒陽暦282年 視点A

朝は好きだけど、起きるのはのは嫌いだ。


ピ、ピ、ピ、ピピ、ピピ、ピピ、ピピピ、ピピピ、ピピピ、ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピッカチッ


朝が好きなのは、空気が澄んでいるからだけど、空気が澄んでいようが、清々しかろうが、どうにも朝は起きれない。


今日もいつも通り、時計を止めて二度寝する。


決して学園が面倒臭いわけではない。入学して一週間が過ぎ、今日から二週目に突入するけど、学園は楽しいのだ。新しい友達はまだ出来ていないが、同じクラスにハヤテとサキ、カナタもいるのだから、楽しくないわけがない。


でも、朝は辛い。

寝てたい。

学生なんだから当たり前なんだと言い訳がましく思っておく。


そんなこんなで僕、間鍵 (マカギ)シロの一日が、一週間が、始まる。


支度をして家を出る。僕の家は三階建てのオンボロアパートだ。僕は二階に住んでいる。二階から階段を下り、道に出る。


ちょうどそこにバスが来た。


目指す学園はこのバスで十分の位置にある。このバスも少し前までは、風か、土の魔法使いが人力で動かしていた。けど、カガクの発見により今は魔法を使う必要がなくなった。


僕は止まっているバスに乗り込む。


今、世界で最も話題になっているのが、魔法科学、通称カガクだ。


僕たちいる世界では、黒陽暦前から魔法が盛んに使用されてきた。魔法の種類は五つ。


火、水、土、風、そして(メイ)だ。


僕が使用することが出来る魔法でもある命魔法は、文字通り生命を司る魔法で、動植物はもちろん、人間にも作用させることが出来る有用性の高い魔法だ。


…レベルⅠ以上なら、の話だけど。


バスが止まる。同じ学園の生徒が一人乗り込んでくる。


バスは走り出す。


魔法には人それぞれにレベルが存在する。魔力保有量によって、

レベル0、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ

に分かれている。


一般的にレベルⅠ以上あると、なに不自由なく日常生活を送ることが出来ると言われている。


だが実際のところ、レベルⅡやⅢなどは、世界を破壊することが出来るともいわれており、また数える程しかいないため、二つ名がつけられるとともに恐れられているくらいだ。


現状、レベルⅠが世界人口の95%を占めている。


一方、僕はレベル0だ。


レベル0は魔法が使えないわけではないけど、ほとんど使えない。


魔法を使う時に必要な魔力が少な過ぎて、「生成」も満足に行えず、「操作」にいたってはからっきしだ。


命魔法の代表的な「生成」である植物を発生させるというものでも、普通の人なら木を生やすくらいは余裕だが、僕は芽を出させるのが精一杯、といった具合なのだ。


人々の生活は、この五種類の魔法で成り立っていたといっていい。


しかし、カガクが発見されたことによりそれらの常識がひっくり返された。


魔法は魔力、すなわち精神力を消耗させて発動する。もちろん使い過ぎれば精神、つまり心がもたなくなってしまう。


この問題をカガクは解決したのだ。

今では魔法を生活に取り入れている家庭も減ってきた。おかげで僕も、前よりも生活がぐっと楽になった。カガク様様なのである。




…だからだろうか。最近魔法は戦うことに使われることが主流になりつつある。最近の魔法の授業では、「操作」を使った同属性同士の模擬戦がほとんどとなっているくらいだ。


もちろん今まで僕は自主的に見学だけど。


そう思うと今日の授業が少し憂鬱になってくる。


実力を見せるためにも、最初は参加しなきゃだからだ


バスが止まる。


数人の生徒が乗り込んで、バスはまた走り出す。


外の景色は僕が住むオンボロ街から打って変わって、立派な建物が立ち並ぶ住宅街に移っている。


ここからバスは頻繁に止まる。このバスは生徒の家近くまで来てくれる贅沢なバスなのだ。生徒は、区画ごとに別のバスに乗り、学園へと向かう。


…そろそろハヤトとサキが乗ってくる場所だ。


ハヤトとサキ、それとカナタとは、まだ魔法が使えなかった頃からの付き合い、所謂(いわゆる)幼馴染だ。


お互いの家も近く、昔は近くにある公園でよく四人で遊んだものだった。


バスがちょうどその公園を通り過ぎる。


カナタの家は隣の区画になっているので、このバスには乗ってこない。


なので、朝はいつも三人だ。


……


…バスが止まる。二人が乗ってくる場所だ。


ドアの方を見ると、ハヤトとサキが乗り込んでくるところだった。


7月11日 細かい描写を追加

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