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シロガネ  作者: ネ月
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4/4

ストーリー4

新たな登場人物


白銀 翼(しろがね つばさ)

19歳。大学生。勇の姉で正確は弟たちとは真逆の純天然。

武器は聖器型Aランク『芭蕉扇』


白銀 天人(しろがね あまと)

45歳。勇の父親、家を留守にしている母親の代わりを努めている間にお姉キャラが定着してしまっている。

武器は聖器型Aランク『銀の腕』(シルバーアーム)





~ストーリー4~


総司と翼



土曜日 

朝 午前7時00分

―白銀家 勇の部屋―


土曜日の朝は現代の学生にとってはある意味、日曜日の朝よりも怠けやすい時間帯であろう。日曜日は明日が月曜であるため正直ゆっくり休めた気がしないが。土曜日は明日が日曜であるためゆっくりと休む余裕ができる日である。


「だが、そんな日でも俺にはやらねばならぬ使命がある」


白銀 勇の一日の始まりは7時00分ジャストに起床し、朝飯を作らず、ジョギングにも行かず、ましてや家族全員を起こすことでもない。



―空の部屋―


「ZzzZz………」


勇の弟、白銀 空の部屋。カーテンが閉めてあり明かりも点けてないため部屋の中はまだ薄暗い。そこに無垢な寝顔で今だ熟睡中の空。そして迫る人影が……。


(激写!!)


勇がいつも通り弟の寝顔写真を撮ろうとカメラを構えシャッターチャンスを窺ったその時……


シュン!!


「!!!」


空の自己防衛用にセットしてあった武器(デュエル)『妖精・フェアリー』が発動し、四つの光線が勇に向けられ放たれた。


ドーン!!!


空の部屋のドアが吹き飛ぶと同時に勇が爆音とともに部屋から追い出される。


白銀家の朝は大抵この爆音から始まる。




白銀家には現在計四人の家族がいる。お馴染みの白銀 勇と白銀 空の兄弟と勇より二つ年上の姉である白銀 翼、そして父親の白銀 天人の四人である。母親の白銀 魅羽(みう)は海外に転勤しているため年に一、二度程しかこの家に帰宅はしてこない。


「ゴフッ……やるじゃねーか…流石は俺の弟」


ガチャ


勇が倒れている前の部屋の扉が開き、黒い長髪の女性が眠そうな顔で現れる。


「むにゅ~…おはよ勇……。また空に変なことしたの……?」


二階建ての一般的住居。勇、空、翼の三人の部屋は二階にあり、勇が吹き飛ばされた爆音で真っ先に起きるのが姉の翼である。


「変なこととは余計だぞ姉さん。俺はただ可愛い弟の寝顔写真を撮ろうとしただけだ」

「相変わらず仲がいいね二人は。でも、私を起こすならもっと静かに起こしてくれる」

「良く言うよ。目覚まし三つも使ってるのに起きないくせに」

「最近は四つに増えたよ~」

「ダメじゃん」


勇と翼は二人揃って階段を下り、そのままキッチンに向かう。


「おっはー!我が愛しのチャイルド達!」


そこにはパジャマにエプロン姿の父、白銀 天人が元気ハツラツとしていた。


「古いぞ、父さん。あと寝坊したなら昨日の夕飯の残りがあるからそれを朝飯にしてくれ」

天人

「ほーい」


白銀家の家事は当番制だが、ほぼ勇と翼が全てを賄っている常態である。

父親の天人は見るからの親馬鹿でさっきのような異常な愛情表現を見せる。勇の異常なブラコンもこの父親が原因といっても過言ではない。だが、昔は凄腕の武器使いでどっかの組織エージェントとして働いていたらしいが今は引退し、雑貨屋で仕事している。


「ひょっとしてまた徹夜で品物の整理していたの?」

天人

「どうしてもミリ単位での並び替えに手間取っちゃって。てへっ☆」

「可愛いくねーよ。つうか気持ち悪いぞ」


「ふあ~……おはようみんな」


そこに我らが天使、白銀 空があくびをしながら姿を現す。


天人

「おおー!我が愛しのエンジェル!よおやくお目覚めか!!」

「おはよう、空」

「おはよう」


「ふあ~…そういえばさっき僕の仕掛けた『オートディフェンス』に誰か引っ掛かったみたいなんだけど気のせいかな?」


単刀直入に犯人探しが行われた。


「ああーそれは……」

「気のせいだ(キッパリ)」


「それならいいけど……。そういえばドアも壊れてたんだけど?」


「ああーそれは……」

「後で俺が直しておくから心配するな(キッパリ)」


「そ、そう……」


余りにも兄の態度が怪しかったが空は深追いしないことにする。

そうやって白銀家の朝食は始まり終わるのであった。父親、天人はこれから仕事があり、空はクラスの友達の集まりがあるそうだ。今日は家に勇と翼の二人きりである。



「うう~……出来ることなら俺が空と一緒に出かけたかった」

「まあまあ」


午前11時00分

二人が出かけてしまい。特に勇はせっかくの休みを空と過ごせないことに嘆いていた。その時……


ピンポーン!


「あ、お客さんだ。は~い」


家のベルが鳴り、翼が玄関口に向かって足を運ぶ。


ガチャ


翼が玄関のドアを開けるといつも見知っている人が立っていた。


総司

「よお、翼」

「総司!」

総司

「久しぶり…だな……。勇の奴いるか?」

「う、うん、上がって」

総司

「ああ、邪魔させてもらうぜ」


勇の親友兼幼なじみである黒河 総司は翼とは二つ違いではあるが互いに名前を呼び捨てで言うほどの仲である。昔から勇と遊ぶ際は翼も一緒だったため総司にとっては勇と同様の存在になっている。


「ホント、久しぶりだね。」

総司

「そうだな。最後に会ったのが中卒の時だったから約一年ぶりか。高一の時は全く会えなかったからな。」

「ごめんね。大学の受験で忙しかったから」

総司

「なに謝ってんだよ」

「ごめん……。寂しかった?」

総司

「誰が寂しがるかよ。……それより、遅くなっちまったけど…おめでとう。」

「え?」

総司

「勇から聞いた。お目当ての大学に受かったんだろ」

「う、うんっ」

総司

「いつもボンヤリしてるお前がまさか受かるとはな。少し心配だったぞ」

「ボンヤリは余計だよ。でも、心配してくれてたんだ」

総司

「ま、まあーな……」

「………………」

総司

「………………」


「…………………………」


この二人が再会したことを察知し、勇は咄嗟に物陰の隅に避難していた。

それは当然、この二人が両想いの無駄に熱過ぎる関係であることを知っていたからだ。


(俺も人のこと言えた義理じゃないが。この二人は特にもどかしくて堪らん。なんの少女漫画だよ)


「勇、総司が来たよ。……ってあれ?いない?」

総司

「二階にでもいるんじゃねーか?」


翼がリビングの隅に目を向けるとカーテンの裏に隠れている勇を見つける。


「あ、こんなトコにいた。何やってるの?」

「いや……なんとなく殺気がして」

総司

「殺気とは失礼だな。俺はお前に借りたCDを返しにきただけだぞ」

「べつに学園で返してもよかった……というかそうしてほしかったよ」

総司

「?」

「俺は邪魔だからどっか適当にぶらついてくるよ。」

「えー、せっかく久しぶりに総司が来たのにどっかいっちゃうの?」

「いや……なんか確実に空気が重くてな……」

総司

「そうか?べつに酸欠って訳じゃないみたいだが?」

「いや、だからそういうことじゃなく……」

「ガス漏れかな?でも元栓は閉めてあるしガス臭くないし?」

「いや……もうなんでもないです」


昔からこの二人の恋のキューピッド的ポジションにいる勇は正直二人がなかなかくっつかないことにウンザリしていた。


(俺はもう疲れた。しかし、抜け出したくても抜け出せないこの状況。例えるなら男女三人で遊びにいったとき二人がくっついてしまい一人が取りのこ………って、例えになってねーか)


「総司、紅茶とコーヒーどっちがいい?」

総司

「いいよ、翼が好きな方で」

「そ、それじゃあコーヒーで」


(ガクッ!)


「総司はお砂糖は無しでよかったよね」

総司

「そういうお前はまだ4つ以上入れないとダメなのか。相変わらずお子様な舌だな」

「お子様扱いしないでよ。最近は3つに減ったもん」


(ガク!ガクッ!!)


総司

「ほら、代われよ。お前はたまにボケーとしてるから心配だ」

「えっ、でも……」

総司

「いいからほら」


その時、総司と翼の手が少し触れる。


「あっ!」

総司

「っ!」


(ガク!ガクッ!!ガクン!!!)


総司

「わ、ワリイ……」

「い、いや……そんなことは……」

総司

「…………………」

「…………………」


二人の顔はみるみる赤くなり……


ポッ


(ガシャーーーンッッ!!!!!)


「やってられッかァァーーっ!!!!」


総司&翼

「!!!???」



勇はとうとうブチ切れ、家を飛び出してしまった。取り残された総司と翼は訳のわからないという顔でそんな勇を見送る。


(もうやってられるか!!空もいない!!翼姉さんと総司はあのザマ!!父さんは……どうでもいいや。とにかく!土曜の休みなんて大嫌いだぁー!!!)


精神が限界に達した勇は訳のわからないことを試行錯誤しながら5時間ほど近所を激走して行った。



―近所の公園―


「………………………………………」


夕暮れ時、勇は近所の公園のベンチに燃え尽きたと言わんばかりの状態で腰掛けていた。


(…………………………)


声も出ず、思考すらも停止した勇は最早死人同然であった。

そんな勇の前に人影が……。


「あ、やっぱり勇兄だ」


「?????」


現れたのは祝福の天使、白銀 空であった。


「こんな所で何やってるの?」

「そ、そら………?走馬灯じゃない……本物なのか……?」

「何言ってんの??」

「なぁ、空……お前っていま幸せか?」

「あの……?さっきからホントに大丈夫?」

「俺は今とても幸せだよ。死ぬ前にお前に一目会えたんだから」

「えっ!?ちょっ!!勇兄??!」

「お前だけは幸せに生きてくれ……」

「しっかりしろっ!!!」

「!!!!!」


空の怒鳴り声で勇がようやく目を覚ます。


「おお、空か!よかった……さっきまでてっきり本物の天使が降臨したのかと……」

「何があったの?」


勇は事の顛末を空に話す。


「なるほど、それで逃げてきたってこと」

「ああー……世の中のバカップル全て滅べばいい」

「それって自分も含まれない?」

「俺と遥はべつだ」

「言ってる時点でそうだよ」

「はぁ……日も暮れたし、帰るか。空もあまり遅れないようにな」

「はあ……」


勇はベンチから立ち上がり、空とともに自宅へと歩いて行こうとすると。空の手が勇の手を掴んだ。


「ん?」

「たまには一緒に帰ろうよ」

「空………ッう゛う゛~~~~っ!」

「!!?」


そう言った途端に勇がいきなり大泣きした。


「俺、今スゲー幸せ!!!」

「そ、そう……」


大泣きした兄を弟が手を引きながら家へと帰る。……そんな奇妙な絵図を夕暮れが照らしていた。



続く

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