第20話(第2巻1話)「新たな世界へ」
朝日が昇る。
街の広場に、人々が集まっていた。
ロクマデス、メゼ、バクラヴァ、グリコが、中央に立っている。
「行くのか」
トラハナスが尋ねた。
「ああ」
ロクマデスは頷いた。
「世界に、ギの真実を伝える」
「それが、俺たちの使命だ」
カサタが前に出た。
「俺たちも、各地で活動する」
「ギの正しい使い方を広める」
スブラキも頷いた。
「我々も、協力する」
カラマリとダクワーズも、拳を突き出した。
「頑張れよ」
ロクマデスは——。
微笑んだ。
「ありがとう、みんな」
そして——。
四人は歩き出した。
街を出て。
世界へ。
三日後。
北の大国・ノルディアの国境。
巨大な門が、聳え立っていた。
石造りの、厳重な門。
そして——。
門の上に、巨大な看板。
『ギ所持者は死刑』
ロクマデスは——。
息を呑んだ。
「死刑……?」
「ああ」
国境警備の兵士が言った。
「この国では、ギの所持は重罪だ」
「見つかれば、即座に処刑される」
メゼは驚いた。
「なぜ、そんな……」
「50年前の大災害だ」
兵士は続けた。
「ギの暴走で、国土の半分が壊滅した」
「それ以来、国王はギを完全に禁止した」
「所持するだけで、死刑」
「使えば、一族全員が処刑される」
グリコは震えた。
「ひどい……」
「だが、これがノルディアの法だ」
兵士は厳しい顔をした。
「お前たち、ギを持っているか?」
ロクマデスは——。
ネックレスを隠した。
「いや」
「本当か?」
兵士は疑った。
「嘘をついても無駄だ」
「入国時に検査がある」
「ギを持っていれば——」
兵士は首を切るジェスチャーをした。
「死だ」
メゼは、ブレスレットを隠した。
バクラヴァも、指輪を隠した。
グリコも、チェーンを隠した。
「……わかった」
ロクマデスは言った。
「検査を受ける」
四人は——。
門をくぐった。
検査場。
厳重な警備。
兵士たちが、一人一人を調べている。
「次」
ロクマデスが前に出た。
兵士は、特殊な装置を取り出した。
「これは、ギ探知機だ」
「ギを持っていれば、反応する」
装置が——。
ロクマデスに向けられた。
ピー、ピー、ピー——。
反応した。
「……っ!」
ロクマデスは警戒した。
「ギを持っているな!」
兵士が叫んだ。
「捕らえろ!」
兵士たちが、ロクマデスを取り囲む——。
その時。
メゼが前に出た。
「待って!」
メゼはブレスレットを輝かせた。
時間操作。
周囲の時間が、止まった。
「急いで!」
メゼが叫んだ。
四人は——。
走った。
検査場を抜けて。
街へ。
そして——。
メゼはギを解除した。
時間が戻る。
「……逃げられた!」
兵士たちが追いかけてくる。
だが——。
四人は、既に街の中に消えていた。
夜。
安宿の一室。
四人は、息を潜めていた。
「危なかった……」
グリコは呟いた。
「この国、怖い……」
「ああ」
ロクマデスは頷いた。
「だが——」
ロクマデスは窓の外を見た。
街には、監視カメラが至る所にある。
兵士が巡回している。
そして——。
広場には、処刑台があった。
「この国を、変えなきゃいけない」
メゼは尋ねた。
「どうやって?」
「まず——」
ロクマデスは考えた。
「この国で、ギを使っている人を探す」
「隠れて使っている人が、いるはずだ」
「そして——」
ロクマデスは続けた。
「その人たちと、協力する」
バクラヴァは頷いた。
「わかった」
「明日から、動くか」
その時——。
ノックの音。
コンコン。
四人は警戒した。
「……誰だ?」
ロクマデスが尋ねた。
「……助けて」
小さな声。
女の子の声。
ロクマデスは——。
ドアを開けた。
そこには——。
12歳くらいの少女が立っていた。
金髪、青い目。
だが——。
彼女の肌は、半分透明だった。
「……お願い」
少女は泣いていた。
「助けて……」
「私、ギを持ってるの……」
ロクマデスは——。
少女を部屋に入れた。
「大丈夫。話して」
少女は——。
震えながら話した。
「私のギは……透明化」
「自分の姿を、消せるの」
「でも——」
少女は、自分の透明な腕を見た。
「使うたびに……色が消えていくの」
「このままじゃ——」
少女は泣いた。
「完全に、消えちゃう……」
グリコは、少女を抱きしめた。
「大丈夫……」
「私たち、助けるから」
ロクマデスは——。
少女の手を握った。
「名前は?」
「……エクレア」
少女は答えた。
「エクレア、か」
ロクマデスは微笑んだ。
「俺は、ロクマデス」
「お前を、必ず救う」
エクレアは——。
初めて、微笑んだ。
「……ありがとう」
だが——。
翌朝。
ロクマデスが目を覚ますと。
エクレアは——。
消えていた。
「エクレア!?」
部屋中を探す。
だが、いない。
窓の外を見ると——。
広場に、新しい処刑台が建てられていた。
そして——。
その上に、少女が縛られていた。
エクレアだ。
「くそ……!」
ロクマデスは走り出した。
メゼ、バクラヴァ、グリコも続く。
広場に着くと——。
既に、群衆が集まっていた。
そして——。
処刑執行人が、斧を持っていた。
「ギ所持者、エクレア!」
執行人が宣言した。
「罪状——ギの不法所持!」
「刑——死刑!」
群衆は——。
何も言わなかった。
ただ、見ているだけ。
恐怖に支配されている。
「やめろ!」
ロクマデスが叫んだ。
だが——。
兵士たちに取り囲まれた。
「貴様も、ギ所持者だな!」
「捕らえろ!」
ロクマデスは——。
ネックレスを握った。
使うか——。
でも、使えば。
また記憶を失う。
その時——。
エクレアが叫んだ。
「来ないで!」
「私のために——」
「死なないで!」
ロクマデスは——。
拳を握った。
どうする——。




