第19話「最後の戦い」
その日の夕方。
街に警報が鳴り響いた。
「全員、避難しろ!」
「ギ破壊者が来る!」
人々が逃げ惑う。
そして——。
街の入口に、大軍が現れた。
数百人。
全員が黒い服を着て、武器を持っている。
先頭に——ダクワーズ。
「今度こそ——」
ダクワーズは剣を掲げた。
「全てのギを、破壊する!」
大軍が、街へ侵攻を始めた。
図書館の屋上。
ロクマデス、メゼ、バクラヴァ、グリコ、トラハナスが集まった。
「来たな」
ロクマデスは呟いた。
「ああ」
トラハナスは頷いた。
「数が多い。苦戦するぞ」
「でも——」
グリコは言った。
「今度は、みんな一緒」
「そうだな」
バクラヴァは微笑んだ。
「俺も、戦う」
「お前たちと」
メゼは剣を抜いた。
「行きましょう」
五人は——。
街へ降りた。
ダクワーズの大軍と、対峙する。
「また来たのか」
ダクワーズはロクマデスを見た。
「今度は、仲間連れか」
「ああ」
ロクマデスは頷いた。
「俺たちは——」
ロクマデスは宣言した。
「ギを否定しない」
「でも、ギに支配されることも拒否する」
「ギは、道具だ」
「使い方次第で、善にも悪にもなる」
「だから——」
ロクマデスは拳を構えた。
「お前たちの破壊は、間違ってる」
ダクワーズは——。
笑った。
「綺麗事を!」
「ギは呪いだ!」
「存在するだけで、人を壊す!」
ダクワーズは剣を振り下ろした。
「だから——破壊する!」
大軍が、襲いかかってきた。
戦いが——始まった。
ロクマデスは、ギなしで戦った。
傭兵時代の技術で。
敵を次々と倒していく。
バクラヴァも、指輪を使った。
力増幅のギ。
だが——適度に。
依存しないように。
メゼは、時間操作を使った。
敵の動きを遅くし、味方を支援する。
グリコは、共感能力で。
敵の戦意を削ぐ。
トラハナスは、剣技で。
冷静に、確実に。
五人は——。
見事な連携を見せた。
だが——。
数が多すぎる。
少しずつ、押されていく。
「くそ……!」
ロクマデスは息を切らした。
「このままじゃ——」
その時。
メゼが——倒れた。
「メゼ!」
ロクマデスが駆け寄った。
「大丈夫か!?」
「……ええ」
メゼは立ち上がろうとした。
だが——。
頭に激痛が走った。
「っ……!」
記憶が——。
戻ってきた。
失っていた記憶。
それは——。
グリコの顔だった。
フラッシュバック。
グリコと初めて出会った日。
「あなたの色、綺麗!」
グリコは笑っていた。
「私、あなたと友達になりたい!」
メゼは——。
微笑んだ。
「私も」
二人は——。
手を繋いだ。
それから——。
いつも一緒だった。
笑って、泣いて、支え合って。
でも——。
メゼは、ギを使った。
そして——。
グリコを、忘れた。
現在。
メゼは——。
グリコを見た。
涙を流しながら。
「グリコ……」
「メゼさん?」
グリコは驚いた。
「思い出した……」
メゼは言った。
「あなたのこと」
「私の、大切な友達」
「ごめんね……」
メゼは泣いた。
「あなたのこと、忘れてた」
グリコは——。
泣きながら、笑った。
「いいの」
「また、仲良くなれるから」
グリコはメゼを抱きしめた。
「私たち、ずっと友達だよ」
メゼは——。
グリコを抱きしめ返した。
「……ありがとう」
二人は——。
再び、繋がった。
だが——。
戦いは続いている。
ダクワーズが、ロクマデスに迫っていた。
「終わりだ!」
剣が振り下ろされる——。
その時。
「させるか!」
バクラヴァが割り込んだ。
指輪が輝き、剣を受け止める。
「バクラヴァ!」
「行け、ロクマデス!」
バクラヴァは叫んだ。
「お前の力で、終わらせろ!」
ロクマデスは——。
頷いた。
ネックレスを握る。
「みんな!」
ロクマデスは叫んだ。
「ギを、共鳴させろ!」
「共鳴!?」
メゼは驚いた。
「ああ!」
ロクマデスは続けた。
「俺のギは、原型ギ!」
「全てのギと繋がれる!」
「だから——」
ロクマデスは宣言した。
「みんなの力を、一つに!」
メゼ、バクラヴァ、グリコ——。
三人は、ギを輝かせた。
そして——。
ロクマデスのネックレスと、共鳴した。
光が——爆発した。
金色、銀色、赤、青——。
全ての色が混ざり合う。
そして——。
透明な光になった。
愛の光。
「これは……!」
ダクワーズは驚愕した。
ロクマデスは——。
手を広げた。
「ギは、道具だ」
「でも——」
ロクマデスは続けた。
「みんなで使えば、希望になる」
「一人じゃない」
「支え合えば——」
ロクマデスは微笑んだ。
「ギに支配されることなく、共に生きられる」
透明な光が——。
全てを包んだ。
敵も、味方も。
光の中で——。
全員が、感じた。
温かさを。
繋がりを。
愛を。
ダクワーズは——。
剣を下ろした。
「……俺は」
ダクワーズは呟いた。
「間違えていたのか……?」
ロクマデスは、手を差し出した。
「間違えてない」
「お前は、ギの危険性を知っていた」
「だから、守りたかったんだろう」
「人々を」
ダクワーズは——。
ロクマデスの手を、掴んだ。
「……ああ」
「なら——」
ロクマデスは言った。
「一緒に、考えよう」
「ギとの正しい付き合い方を」
ダクワーズは——。
頷いた。
「……わかった」
戦いは——終わった。
誰も死なず。
誰も傷つかず。
ただ——。
理解し合った。
その夜。
広場に、人々が集まった。
そこへ——。
カサタが現れた。
「俺たちも——」
カサタは言った。
「考えを変えた」
スブラキも現れた。
「ギは、神ではなかった」
「でも——」
スブラキは微笑んだ。
「希望ではある」
カラマリも現れた。
「本能も大事だが——」
カラマリは言った。
「心も大事だな」
五つの勢力が——。
初めて、手を取り合った。
最適化至上主義。
ギ崇拝者。
本能派。
ギ破壊者。
そして——。
人間性防衛派。
全員が——。
ロクマデスを見た。
「お前が、導いたんだ」
トラハナスは言った。
「俺たちを」
ロクマデスは——。
首を振った。
「俺じゃない」
「みんなだ」
「みんなが、気づいたんだ」
ロクマデスは続けた。
「ギは、道具だって」
「使い方次第だって」
「そして——」
ロクマデスは宣言した。
「俺は、この真実を世界中に伝える」
「それが、俺の使命だ」
メゼは微笑んだ。
「私も、一緒に行く」
グリコも頷いた。
「私も!」
バクラヴァも。
「俺もだ」
トラハナスも。
「我々も、協力しよう」
カサタ、スブラキ、カラマリ、ダクワーズも——。
「俺たちも、手伝う」
ロクマデスは——。
みんなを見渡した。
そして——。
微笑んだ。
「ありがとう」
「みんな」
新たな旅が——。
始まろうとしていた。
ギの真実を伝える旅。
世界を変える旅。
そして——。
愛を広める旅。
空には、満月。
金色に輝く月が——。
彼らを照らしていた。
まるで——。
祝福するかのように。




