婚約破棄 ざまー♪に興味なし
「お嬢様、辺境伯の居城に到着いたしました」
御者に声をかけられ馬車を降り、伸びをする。小春日和の日差しが心地よい
「ようこそ若奥様。こちらが辺境伯領の領主であらせます・・・・。私が執事頭を務めさせていただいております・・・・」
白髪初老の紳士が挨拶をしてくる。いかにも執事と言った印象だ。一歩前には身なりの良い若い男。この人が新しい婚約者となった辺境伯らしい。王都では色々と悪い噂が流れているようだが、その割には悪い印象は感じない。
背後にはメイドや小間使、庭師と言った印象の人物が並んでいる。総出で出迎えてくれているということだろうか
その割にはみな揃って顔色が悪い。別に病気という理由絵はなく、怯えている?
「辺境伯様、使用人の皆様お揃いでのお出迎え痛み入ります。この度なんとか王子から婚約破棄され辺境伯家へ嫁入りを賜りましたブラウン伯爵が次女エリザベートと申します。以後お見知りおきをお願いします」
カーテシーを決める。ちなみに「何とか王子」は文脈上の省略ではなく声に出しての発言である
自己紹介の通りなんとか王子に婚約破棄を言い渡され、ついでに王都から追放され辺境伯家へ嫁入りを押し付けられたわけである。
辺境伯様が形式通りの挨拶に続いておっしゃった
「エリザベート嬢が王都を発ってまもなく王城が落雷により炎上。王太子殿下と新たな婚約者様が大怪我をなさったそうです」
「まあ、そうなのですか?」「興味なさそうですね」「ええ、全く」
実際興味はありません。
「仮にも元婚約者と婚約者を奪った相手ですよね?」
そういえば婚約破棄の理由は男爵令嬢と結婚するとか言ってたっけ?どんな顔していたかしら?まあ、どうでもいいけれど
「だってただの政略結婚の相手ですよ?別に私が好き好んで婚約したわけじゃありませんから。名前もよく覚えていませんし」
「それにしたって、仮にも王太子なのに?それにこんな辺境の地の悪名の絶えない私に嫁入りを押し付けられた恨みとかないのですか?」
「特には。実家を出て慣れない嫁ぎ先が王城から辺境伯城に変わっただけでしょう?何か恨まなくてはならないことってありまして?」
全くわからない
「それでは、婚約破棄されて呪いをかけた、ということは」
「御座いませんわ。この地に住んでみてひどく住心地が悪かったり辺境伯様が噂通りの悪人で虐待されたりしたら呪うかもしれませんね。でもその場合すでにひどい目に合われているようなので、災難が重なってお気の毒様かもしれませんね」
「出来るのですか?」
辺境伯様が引きつった顔で尋ねてくる
「できそうな気がしますわ。根拠はありませんが」
辺境伯家の当主使用人一同エリザベート嬢を大事にする決意を固めたことは言うまでもありません。




