ウェアハウス地区
その晩、工業ビルの向こうに日が沈む中、兄弟は倉庫街へと向かった。トーナメント会場は簡単に見つかった。荒くれ者の群れが皆同じ方向へ向かっていくのを追えばいいのだ。
倉庫は仮設のアリーナに改造されていた。格闘技リングの周りには仮設の観客席が並び、辺りは煙と汗、そして期待で満ちていた。入り口近くの受付テーブルには、馬をベンチプレスできそうな大男が二人並んでいた。
「お名前は?」一人が唸り声を上げた。
「ローレルとネルソンです」ローレルは落ち着いた声で答えた。
「年齢は?」
「17歳です」
男はクリップボードから顔を上げ、明らかに疑わしげな目で二人を見つめた。「君たち、本当に大丈夫か?医療費の払い戻しはいたしません」
「大丈夫です」ネルソンはきっぱりと言った。
おそらくこの世で最も恐ろしいであろう免責事項に署名した後、二人は番号を渡された。ローレルは94歳、ネルソンは95歳。そして、試合を待つように言われた。
予選形式はシンプル。シングルエリミネーション方式で、先に降参するか、試合続行不能になった人が負ける。32の出場枠を巡って約200人が争うため、勝ち目は薄かった。
「忘れないで」と、序盤の試合を見ながらローレルはネルソンに言った。「とにかく予選を突破すればいいのよ。必要以上に目立たないようにね。」
しかし、次々とファイターたちが技を披露するのを見守るうちに、兄弟はこのトーナメントが、これまで慣れ親しんできた村の大会よりも厳しいものになることを悟った。




