表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実  作者: 月桂樹
13/45

準決勝 - ローレル vs. イタチ

準決勝にはこれまでで最大の観客が集まった。一方のリングでは、マヤが黒いフードで容貌の大部分を隠す謎のファイター、ベトと対峙する。もう一方のリングでは、ローレルがイタチと呼ばれる謎の男と対峙する。


ローレルはリングに足を踏み入れ、対戦相手について観察したあらゆることを頭の中で駆け巡った。イタチはこれまで全ての試合を一撃で終わらせてきた。圧倒的な力ではなく、何か別のもの――ローレルにはまだ理解できない何かによって。


イタチは冷静沈着に、彼の前に立っていた。そして、何の前触れもなく、指を鳴らした。


彼の両手には、両手のひらに一枚ずつトランプが浮かんだ。


彼はそれを二枚、素早く投げつけた。ローレルは、そのカードが審査員にどんな影響を与えたかを思い出し、咄嗟に横に避けた。カードは彼の横を通り過ぎ、彼の背後のリングポストにドスンと音を立てて突き刺さった。


ローレルは袖に隠していたナイフと布を取り出した。間に合わせの武器ではあったが、無いよりはましだった。彼は布を前に投げ出し、二人の間に視覚的な障壁を作り、突撃した。


彼の計画は単純だった。布を隠れ蓑にして、イタチにはっきりと見えない隙に、不意を突くのだ。


しかし、ローレルが布の後ろに回り込み、攻撃の準備を整えた瞬間、イタチの手が飛び出し、ローレルの手首を完璧な精度で捕らえた。まるでローレルの位置を正確に把握していたかのようだった。


「どうやって…」ローレルは言いかけたが、イタチの握りは鉄のように強く、彼は完全に身動きが取れなかった。


その時、ローレルは背中に鋭く焼けつくような痛みを感じた。


彼は下を見ると、肩甲骨からトランプが突き出ているのが見えた。先ほどイタチが投げたのと同じカードが、どういうわけか飛行中に方向を変え、背後から彼を襲ったのだ。


「勝者:イタチ!」とアナウンサーが叫ぶと、ローレルは片膝をつき、傷口から血が滲み出た。


ナレーター:ローレルが知らなかったのは、イタチが最初からカードを操っていたということだ。指を鳴らして2枚のカードを出したように見えた時、実際には両手に3枚のカードを持っており、巧妙に1枚に見えるよう配置されていた。さらに重要なのは、イタチが生命力を使って各カードにほぼ目に見えない糸を結びつけていたことだ。カードを投げる際、イタチは糸を通してカードを制御していた。ローレルの動きを封じた後、イタチは糸を引っ張るだけで、カードは跳ね返り、背後から相手を襲った。生命力を感知する能力を失ったローレルは、真の能力すら見抜くことのできない相手と戦っていたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ