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第四章:ふたりの温度

春になり、歌恋の手つきもだいぶ様になってきた。


生地の扱い、成形のリズム、焼き上がりの確認――

以前は怒られてばかりだった動作が、今では指示を受けずとも自然とこなせるようになっていた。


店長との会話は相変わらず短く、厳しい言葉も多いが、そこに時折混じる「アドバイス」のようなひとことが、彼の変化を物語っていた。


ある日、成形に迷っていると、佐伯がふと後ろから手を伸ばした。


「こう。中心を意識して、力は抜け」


驚いて顔を上げると、佐伯はすぐに手を離し、ぼそりとつぶやいた。


「……だいぶ、マシな成形できるようになったんだな」


それは初めて、私を褒めてくれた言葉だった。

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