灰田凪
僕は一人混乱していた。
横の席のやつが横でソースの匂いを漂わせながら、ペヤングをすごい勢いですすっているからだ。
「そもそもなんで学校でペヤング食ってるんだよ」
朝飯でも食ってないのか?
だとしたら頷けるけど…いや、頷けるわけねぇわ。
「え?朝ご飯は食べたよ」
「勝手に僕の思考を盗聴してんじゃねぇ!」
というかどうやってるのそれ!?
アルミホイル巻かなきゃ。
「朝ごはん食べたのにそれ食べてるのか?」
「何言ってるのかな塁君。ペヤングは別腹だよ」
へー、ペヤングっておやつと同じベクトルなんだ。
「じゃあおやつは普通の腹に入るのか?」
「またまた何言ってるのかな塁君。おやつは飲み物だからご飯とかペヤングとかとは違うところに行くんだよ」
お前の身体の中がどうなってるのか知りたいわ。
人体実験の非検体としてお前を闇の組織に売ったら高く売れそうだな。
「ホールケーキとか」
「ホールケーキて…そんなデカいやつ飲み物感覚で飲んでたらのどに詰まらせて下手したら死ぬわ。そこはプリントかにしとけ。アレならギリ噛まずに飲み込めるだろ」
「プリンは空気だよ」
「飲み込む動作すら必要ないというのか!?」
僕たちが激しい口論を続けている間、洋介は不思議そうな顔をしていた。
「えっと……もしかして二人って中学からの友達?」
「ん?いやいや昨日会ったばっかだけど…なんで?」
「だって二人すごい息ぴったりだもん」
洋介は少し笑いながらそう言った。
息ぴったり?こっちは突っ込み疲れたよほんの数分なのに。
というかこんな長々とくだらない会話をしているけど気づいたらもうHRが始まっている時間だ。
どうなっているんだ?先生は?
そう思っていたら、教室の前のドアから誰かが気だるげに入ってくる。
「うぃーっす」
入ってきた男は見た感じ30歳ほどの見た目でぼさぼさな髪をセンター分けっぽくセットし、長い後ろ髪を後ろで結んでいる。髭はちゃんと剃れておらず少し髭が残っている。目はうつろというより、三日くらいオールしたみたいな目をしている。
するとその男はこちらの存在に気づき、「おお」と声をあげる。
「君かー。入学式迷子になってこれなかった奴って」
けらけらと笑いながら低い声を出す。
右手にはクラスの名簿を持っているのでなんとなく見当はつく。
「初めまして。このクラスの担任灰田凪だ」
やはりこのクラスの担任だ。
「えーっと確か名前は…」
「神白塁です」
「あーそうそう。よろしくな神崎トオル君」
誰だよ。
こんなんが担任とか大丈夫かこのクラス。
「あい、じゃあ先生は朝から犬のフンを踏んで不機嫌なので朝のHRはなしで」
ああ、ほらもうやってる。
「あ、今の”フン”と”踏ん”でで掛けたんだけどどう?」
知らねぇよそんなん。
周りの生徒たちもつまらなそうな目で先生を見ている。地獄の空気だ。
とよくわからん感じでHRが終わった。