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橘の異能?

「終わった……」


僕は蓬野高校異能力者メンバーたちと屋上で昼休みを過ごしていた。


「塁くんって、いっつも人生終わった終わった言ってるけど、しぶとく生き残ってるよね」


「え、それって僕に死ねってこと?」


デカめのライ麦パンをかじっている美玲は冷淡に言い放った。


「でも、今回はまだ一年生の最初のテストだし次頑張ろうよ!」


千弘だけが僕を慰めてくれる。良いやつだお前は。

書いてなかったが、少し前に一学期の期末テストが行われた。


「というか、美玲も赤点じゃん」


「ちょっと何言ってるかわかんない」


「こっちで語り合うしか無いか…」


僕は美玲に拳を突き出す。


「っへ!ボコボコにしてやるぜ!」


美玲も乗り気だ。


「こーら、止めなさい!」


それを止めるために僕と美玲の頭を軽くゲンコツする氷室先輩。


「そもそも、日頃から勉強してれば赤点なんか取らないでしょ?」


「そうだよねー。一回教科書見るだけでも90点は超えられるよね」


それに便乗するようにとんでもないことを言う佐倉先輩。


「いや、それはちょっとキツイんじゃない?」


氷室先輩も引いている。


「そういや、二人って点数とか順位ってどんくらいなんすか?」


「詳しい点数は言えないけど、10位以内よ。生徒会長たるもの生徒の代表でいないとだしね」


すんげぇな。ただのツンデレチョロインだと思ってたけど、頭いいんだな。やはり生徒会長。

あれ、そういえば。


「ずっと気になってたんすけど、先輩は今二年生だから生徒会長になったのって一年生ってことですよね。それって結構すごくないですか?大体なるのって二年生が多いイメージなんすけど…」


すると氷室先輩ではなく佐倉先輩が反応する。


「鏡花ちゃん一年の時、生徒同士の殴り合いの喧嘩を一人で止めちゃったの。それで皆すごいってなって、鏡花ちゃんが生徒会長に立候補したら票を入れまくっちゃったの」


はえー、まぁ確かに先輩も弱いとはいえ異能力者だしな。そりゃ一般人の喧嘩くらいなら制圧するのも容易いか。


「なんか失礼なこと考えてない?」


「そんな事無いですよ―…そうだ佐倉先輩の順位聞いてなかった」


僕が目線を佐倉先輩に移すと佐倉先輩はびっくりしたような様子を見せる。


「わ、私?私のはそんな面白くないと思うけど……」


「大丈夫ですよ。僕よりは高いと思うので」


まぁ、頭良さそうだしな。きっと二桁とか行ってんだろうな。


「じゃあ言うけど…笑わないでよ?……一位」


「ファッ!?」


何が二桁だ、何が笑わないでよだ。笑う要素一ミリもねぇわ。いやもう笑えてくるよ、自分が。


「あんたそこまで謙虚でいる必要ないんじゃない?私より点数高いんだから」


氷室先輩も同意見だった。


「だって…数学…二点逃しちゃって……」


「ここまで来るとキレたくなってきた」


「え!?じゃ、じゃあ…ワッハッハ!す、すごいだ…でしょ!」


「さ、次行くか。千弘と稽太は?」


「無視!?」


涙目になってる佐倉先輩。

そんな佐倉先輩を無視して二人に順位を聞く。


「え、僕?恥ずかしいからちょっと…」


「うむ、俺もだな。テストなどその人間の普段の授業態度の確認のようなものだ。ちゃんと受けていれば赤点は免れる」


この様子…赤点は逃れてるな。


「ちくしょー!じゃあ赤点は僕と美玲だけか……」


「まぁまぁそんなクヨクヨしてたってしょうがないだろ?」


美玲が僕の肩に腕をかける。

お前もだろ。


「さ、そんな雰囲気だと運が逃げるぜ?ほら、現金だせよ」


「元気を出させようと見せかけた巧妙なカツアゲ」


僕でなきゃ見逃しちゃうね。


「追試めんどくせぇなー」


「頑張るしかないわね」


無慈悲な氷室先輩。


「今度から僕も手伝ってあげるからね!」


可愛い千弘。


「103!104!105!」


筋トレをしている稽太。


僕と美玲はショボンとした顔をするしかなかった。


「おい、何終わらせようとしてるんだ」


「「「「え」」」」


全員…というか美玲と稽太以外は皆、階段の方から聞こえた声に反応する。

そこに立っていたのは今朝会った橘であった。


「特別にお前に俺の異能を教えてやるといったのを忘れたとは言わせないぞ」


橘は僕の方を指差し、告げる。


「え、別に頼んでないけど…」


「仕方ないから俺の方から来てやったんだ。仕 方 な い からな」


もう面倒くさいイベントは起きないでくれよ。

橘はポケットに手を突っ込むいつものスタイルで僕の方へ近づいてくる。

すると、氷室先輩が僕に小さな声で囁いてくる。


「ねぇ…あいつって昨日のやつじゃない?」


「うん、そうだね」


「この学校にいるってことは昨日知ったけど…同じクラスだったの?」


「うん、そうだね」


そこで僕は頭を叩かれる。痛い。

暴力系ヒロインはもう廃れてきているというのに!

橘は座っている僕の目の前まで来て直立する。

厄介そうだしここは下手に……


「あ、どうもどうも。先程はありがとうございました。じゃあ面倒くさいんでさっさと異能について吐き捨てて帰りやがれください」


「急に口調が変わるな。だが、俺のライバルとしては丁度良い」


キモ。

こいつ中鳶と同じタイプか?


「ほらさっさと言え」


「分かっている。では、まずは異能から…と言いたいところだが俺の異能は少し特殊でな」


出ました出ました。オレ主人公だから周りのモブとは能力が違うけど最強。オレTUEEEEEE!!!だろ?

死ねってことですよ。


「まず、俺は前世の記憶がある」


斜め上っつうか異能関係あるか?それ。


「うっし、帰るか」


「そだねー」


橘の話を無視して教室に戻る準備をし始める僕と美玲。


「おい待て、まずは聞け」


「大丈夫大丈夫、そういう次期はあるから。そういう次期は」


美玲には珍しい作り笑いで橘を励ます。


「聞けと言っているだろう」


「はいはい、すごいすごい」


「おい美玲、待てよ」


そこで僕が美玲を止める。


「フッ、お前なら分かってくれると分かっていたぞ」


僕を見て軽く笑う橘。

そして、僕は小声で美玲に言う。


「こういうのは脳死でもいいから聞いてやって、そのあとそれっぽい反応してやんないと可哀想だろ。病気なんだぞあいつは。頭の」


「よし、お前らはここで殺す」


橘が片手を上に上げると、空中に魔法陣のようなものが浮き出てそこから炎の渦が発生する。


「わ、ワ―!!凄い凄い!すんごい聞きたくなってきたー!!!!」


「う、うん!そうだね。私、橘様のお話とても興味あるー!!!!」


僕と美玲は速攻で掌返しする。

すると橘は上げた手を下げ、それとともに空中の炎も消える。

橘は「フンッ…最初からそうしておけ」と言って、右膝だけを曲げながら座る。カッコつけやがって。


「では、話を戻そう」


「なんか今のぺこぱみたいだったね」


「な、松陰寺さんだっけ。時を戻そう!っていうやつ?」


僕&美玲はまたもふざける。


「おい」


「「すんませーん」」


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